ジョーカーのレビュー・感想・評価
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社会の闇が生んだピエロ
ジョーカー誕生のお話。 ジョーカー視点で進んでいく。 社会から排除されている人たちが、なんとか生きていくけど、それでも無視されて、 どうしようもなくなっていて そんな人たちの心の中にある これだけは絶対に自分の中で絶対的な物が、 全くのウソであったと知った時 ほんとはただ"ハッピー"をシェアしたかっただけのコーラに、どうなるかもしらずに大量のメントスを色んな人が一気にぶち込んだみたいに、 ふつふつとしていたものが 一気にふきあがって、周りにぶちまけまくった感じ。 ダークナイトでは、自分がジョーカーだったらと ジョーカーの立場に重ねて観ることはないけれど、 この映画では、ジョーカーの立場で観ることが出来て、 ジョーカー生い立ちのお話なので、 いい流れにはなっていかないことは分かっていたけど 次々に追い討ちをかけられ、 辛いよなーと心に響いてくる。 ピースレジャーのジョーカーはとても賢くもあって この作品のホアキンのジョーカーは生まれたてという感じで、 頭脳戦、心理戦のようなところはないけど 人間味がまだあった。 ガリガリに仕上げているホアキンと、 枯れ上がるまでの笑い声 スーツ姿でのラストは痺れた。 オススメの映画。 あまりいないかもしれませんがバッドマンシリーズ未鑑賞の方は ビギンズ、ダークナイトを事前に観ておくことをおすすめします。 ブルースとのやり取りなども楽しめます。
思ってたんと違うけど素晴らしい!
バットマンのスピンオフとのことで、少し気軽な気持ちで観に行ったのですが思いのほか重い内容でした。
バットマンのジョーカーが生まれた理由がわかるとうたわれていた映画ですが、実際の内容は一人の人間が貧困や差別、自分の病気と向き合うなかでほんの少しの希望であったはずの家族からの裏切り、アイデンティティーの崩壊、夢への絶望や鬱屈した日常から遂に犯罪を…
というとてつもなく激重な内容でした。
普通であれば辛すぎる内容に観に来たことを後悔するところですが、そこがこの映画のすごいところ。後悔なんてとんでもない、主人公の演技がとてつもなく素晴らしいんです。基本全編通して主人公(アーサー)がいないシーンというものがなく約2時間15分くらいでしょうか、ずっとアーサーを見ている、アーサーの側に自分がいるんです。もちろん辛いけど全く目が離せなくてどんどんアーサーの人生に引き込まれていく感覚。日本の俳優でこれだけの演技ができる方はいないとレベルの違いを痛感させられました。
アーサーは突然笑いだしてしまう病気なのですが、もちろん可笑しくて笑っているわけではなくむしろ心は悲しいのに笑ってしまう。とても難しい演技ですが、私はこんなに悲しい笑い声を今まで聞いたことがありません。
よく猟奇的な犯罪者を演じるときに既視感たっぷりに「笑う」演者がいますがそれとは全く別物です。
ジョーカーはヒーローだったんです。もちろん今も。
気になる方は是非劇場へ!
今年のアカデミー賞はジョーカーでしょう
ジョーカー、とんだサイコパス野郎じゃね
ジョーカーってやっぱり「どこまで行っても愉快犯のサイコパス」なのかもしれないですね。 僕は映画『ジョーカー』を2回観たんですけど、最初観終わった直後はわりと額面通りにというか、「心に病がある貧しくも心優しい青年が残酷な運命に翻弄され悪の道に……」という映画とみて、今までの「どこまで行っても愉快犯」「まじでヤベーサイコパス野郎」のジョーカーじゃないやん!ある意味真逆やん!と思ったものの、それはそれで、そういう映画としてはけっこうよくできているなと感じたんですよね。 僕は個人的には「バットマンに追い詰められたギャングが工場の漂白剤のタンクに落ちて、白い肌、緑髪に笑い顔の怪人に……」という『ジョーカー誕生秘話』が好きだったんですが、11年前の『ダークナイト』ですらもうそんな設定じゃなかったですしね。現代のバットマンの「リアル志向路線ブーム」では厳しいのかもしれない。 (あれ?でも『スーサイド・スクワッド』ん時、ジョーカー、漂白剤タンクに落ちてなかったっけ……?) 「いわゆるアメコミ映画」みたいな、「宇宙怪獣がやってきた〜!ボカーン!」みたいな方向の表面上の起伏はないんだけど、冒頭から何も悪いことしてないピエロがヤンキーにボコボコにされてるとこ見せられたら、まぁ、人間のこころを持ってる人なら「かわいそう」と思って感情移入します(もしくは「この物語はこのピエロに感情移入して読み進めるべきモノだ」と理解してしまう)。 そういう精神的な引っぱりや突き放しによる物語の盛り上げ方がうまいなっ!っていう……。 で、ヘンな疑りを持たなければそのままの気持ちで最後まで観られてしまう。 自分はやらないけど、もし心を病んでる人がこういう状態に陥ったらこういうことをしでかしてしまうのかも……、と解った気持ちにさせられてしまう。 最近たまにある通り魔事件とか、京アニの事件とかもまったく許せるものではないし、ニュースで聞いたときには「理解できない」って思ったけど、もし自分が大事なものを大企業や社会的に大きな存在に壊されたりパクられたりした(と信じ込んでしまった)ら、こういう暴挙に出るしかない!という精神になってしまうのかな……、と思ってしまいます。(「だったら許されるのか」というのはまた別問題だと思うけど。) で、そういう風に見ると映画を観たあと、「オレたちの星だ!」みたいな感じでジョーカーに憧れてしまう人や彼がヒーローに見えてしまう人がいるのも納得できる。僕も映画館から出てくる時には混乱する電車を後にするジョーカーみたいなステップになってしまったし。 けど、その見方だとどうしても引っかかる部分がいろいろあるんですよね。 25年くらい前、小学生の頃みたドキュメンタリー番組で鮭がクマに襲われるシーンをみた司会のビートたけしさんが「今回はテーマが鮭だからクマが悪者になるけど、クマがテーマの回だったら微笑ましいシーンだよな」って脈絡なく突然言ってドキッとなったのを思い出しました。 小学生のときは「えっ、せっかく鮭気分で楽しく観てるのに、なんでたけしさんそんな冷や水ぶっかけるようなこと言うん……?」って思ったんだけど、この映画に関しては「ジョーカー気分」で観てていいんかな……、みたいな。 映画みて興奮して、ジョーカー気分になったり、それでジョーカーのコスプレしてハロウィンに参加しちゃったり、みたいなのって劇中でチャップリンの『モダン・タイムス』をみて笑ってるトーマス・ウェイン(バットマンの父)や、アーサー(のちのジョーカー)の漫談を笑いものにしてたマレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)がやってたこととおなじじゃないのかな……、みたいな。 そしてやっぱり1番は「バットマン関連モノ」として見ると、ちょっと成立しなくなっちゃうような気がするんですよね。 『シン・ゴジラ』を観たときに、「大昔の恐竜が水爆実験の影響で怪獣に……」という、今まで決して捨ててはいけなかった設定を捨てたことで、むしろ「ゴジラ」という存在の本質を描くことに成功してるように感じたのに対して、『ジョーカー』は一本の映画としてはすごくおもしろいんだけど「これがあのジョーカーの誕生秘話です」と言われてしまうと、大金持ちだけど強く優しいお父さんを目の前で殺されたことで誕生したバットマンという存在やバットマンが活躍するゴッサム・シティという街、執事のアルフレッドなど、いろんなものの存在が揺らいでしまうような気がする。 なにより、「どんな時でも明るく楽しい(だからこそ狂っていて怖ろしい)バットマンの最大のライバル」というジョーカーの立ち位置が大きくブレてしまう気がする。 単純に、後にライバル関係になるにしてはアーサーとブルース・ウェイン(バットマン)の年齢が離れすぎてる、とかもあるし、バットマンと異母兄弟(と、劇中で明言はされてはいないものの、映画の中の対立の構造や文脈的にやはりトーマスの子であると見るのが妥当だと思う。)という設定とか、アーサーの妄想や思い込み分を差っ引いたとしても、これが通ってしまうと今までの『バットマンシリーズ』の根底や本質がひっくり返ってしまう気がする……。 で、そんなモヤモヤを抱えたまま2回目を観に行ったら、かなり序盤から引っかかる部分がいっぱいあって、具体的には ・妄想のはずのシングルマザーとのデートから帰ってきたアーサーに、母が「香水のいい香りがする」という ・アーサーが証券マンを撃つとき、リボルバーなのに6発とか8発以上の弾を撃ってる(っぽい?) ・出てくる時計がどれも11時11分(っぽい?見間違いかも。) ・髪を緑に染めてるとき背中にあったアザ(やけど跡?怪我の跡?)がなくなってる(っぽい) ・訪ねてきたピエロ仲間を殺したアーサーに「今夜マレー・フランクリン・ショーに出るんだ」と言われた小人症のゲイリーが「信じられない」と言うのが、「ショーに出ること」に対してなのか「目の前で起きた殺人」に対してなのかあいまい ・そもそもマレー・フランクリン・ショーで自分の漫談が放送されてるのをアーサーが見るのが母が治療中の病院で、番組から出演依頼が来るのが冷蔵庫に入った後。どちらも妄想の中にいる時っぽい感じなので「マレー・フランクリン・ショー出演関連」のシーンはすべて妄想(もしくはウソ)の可能性もある(かも?) ・最後の精神鑑定のシーンは最初のカウンセリングの時に「あなたなぜ入院させられたかわかってる?(だったかな……)」と問われた直後に一瞬挿入される精神病院でアーサーがドアを頭突きする映像と繋がってる(かもしれない)? ……といった部分で、「うわー、コイツの話、全部、全部、最初にヤンキーにボコられてるところからしてすべて!ウソっぱちだったんかもしれん!」と感じたのです。 これは最初に観たときにもちょっと不自然に感じたんだけど、パパウェインに殴られてアーサーが冷蔵庫に入ったあと、カメラが動くんですよね。三脚に固定して撮ればいいのに。 というか、あの部屋にはアーサーしかいないはずで、本来なら観てる自分の存在を観客が意識してしまうような「手持ちのカメラが動く」という演出は不要なはずなのに、カメラが動く。 そしてその画が異様なほど唐突にバツンと切れて、マレー・フランクリン・ショーからの出演オファーの電話を受けるシーンにつながる。 ……やっぱりこれはウソなんじゃないか?と感じるんですよね。 そうなるとすべてがウソっぽいし、単純にジョーカーがパトカーの上で踊るシーンからちょくにつながるとも(時系列の不確かさからも)思えないけど、後にバットマンに捕まってなのか、そもそもバットマンすらいない世界で警察に捕まってなのか、精神病院に収容されて取り調べなのか精神鑑定なのかを受けているジョーカーがでっち上げて語ってるウソっぱちの話なのでは……、 と、考えると、映画『ジョーカー』で「描かないことで描いているジョーカー像」は、やっぱり観客すら担いで楽しむ「どこまで行っても愉快犯のサイコパス」なのかな、と思ったのです。 ……もしそうだとしたら、こんなに「ジョーカーらしい映画」も無いのかもしれませんね。
ホアキン・フェニックスの集大成にして傑作
もう5週目ですか。満を持してIMAXで観賞。 まわりから気味悪がられ、年老いた母の面倒をみながら孤独に生きるアーサー。壊れかけていた心を世間の悪意が完全に砕いてしまった。 彼の爆発、シングルマザーの娼婦への妄想、それらすべてが府に落ちた。唯一苦言を呈するなら、ゴッサムシティの大衆のアーサーに同調した暴走の描写の薄っぺらさだろうか。それも意図したものかも知れんが。 アーサーがジョーカーとなった過程を知るだけでも十分だと思うが、アーサーの母とウェイン家との関係、アーサーの出生の秘密、そしてジョーカーとバットマンの深い関係までも明らかにしてしまう大盤振る舞い。これを観ないわけにはいかんだろう。 オールドファンの長年の思いにも応えた。「タクシー・ドライバー」と酷似した展開、そしてデ・ニーロはアーサーに「私が誰か知らないのか?」と問うた。まるで「俺がトラヴィスだ」とでも言わんばかりに……。 まあ、何だかんだ言って、私のようなアウトサイダーにとってアーサーはブルース・リーみたいなもんかも知れんな〜。彼の暴力に溜飲を下げつつも、明日は会社への足取りが一段と重くなりそうだ。
バットマンと繋がらない、、
何もかも信頼できず追い込まれていく感じが
凄くて、全く笑えなかったけど興味深い映画でした。あのキャラクターで、バットマンと対決するイメージが湧かなくて、結論として、この映画のジョーカーは初代で、後にバットマンと対決するのはジョーカーの意志を受け継いだ、二代目か三代目ではないかなと。
他の方のレビューを読みながら考えたりしてました。
映画好きの人から評価が高い
評価は別れているが、音楽映像演技全てがよかった。 これはヒースと比較するべき作品じゃないと思う。全く別物でしょ? アメコミのそういう部分をわかってない人にはきついかも。
これはフィクションではない。
この映画を観終わった時、タイトルの通りの感想を抱きました。
まず他の方のような正統派な映画レビューではない事を先にお伝えしておきます。
大なり小なり、誰もが不幸や辛いことが立て続けに起こり『もう生きるのが嫌だ』と考えた事があると思います。
街を幸せそうに歩く見ず知らずの人間に、理由もなく憤りを感じてしまい、そんな醜悪な感情を抱く自分に涙が出てきてしまう程、辛い時が僕にはありました。
そんな時期に、とあるニュースを見て同情にも近い感情を抱いた事を思い出しました。
2018年6月に起きた、東海道新幹線内殺傷事件です。
このレビューを見ている方の中にも記憶されてる方がいらっしゃると思いますが、加害者の境遇がワイドショーで取り沙汰されている中に、
事件を起こした加害者家族のテレビ取材の受け方、話し方(加害者の祖母は居間に寝転がりながら記者へ対応していました)が、まるで他人事のような態度だった事を僕は痛烈に覚えています。
ニュースで知ることが出来た情報を聞く限り、
加害者には学校や職場、家庭に至るまで、一切の居場所がなく、どこに行っても拒絶され、
誰にも必要とされる事がなかったような人生を歩んで来たようです。
僕は家族の支えもあり、立ち直ることが出来ましたが、もしその支えが無かったら、この加害者のような人間になってしまったんじゃないかと、怖くなった事をよく覚えています。
人生とは、人と人との繋がりの集合体であると思います。
誰との繋がりも無くなり、失える物をとことん失えば、誰でも劇中のようなジョーカーになり得るのだと思います。
音楽や演技の素晴らしさを称賛するだけでなく、悲劇をスクリーンの外に生み出さない為に何が自分に出来るのか、考えてみるきっかけを作ることがこの映画の本当に伝えたい事だと勝手に思ってます。
ただ…ブルースとトーマスとの絡み要るか?と思ったので星4.5です笑
タイトルなし
前評判がえらく高かったのからするとちょっと期待したとこまで届かなかった感じ。ジョーカーの狂気の演技は迫真だったけどストーリーは割とありがちというか…。 ジョーカーって本来楽しいイメージだったピエロに恐怖のイメージを追加したキャラの一人でヴィランとしてもやたら人気あるけど、そうまでなった理由はこの映画からはあまり感じられなかった。そもそも結局彼が今後犯罪を犯していく行動原理は何だったんだろう?特権階級への復讐? この映画一番の山はウェイン父がジョーカーを指して「顔を隠さないと行動できない卑怯者」呼ばわりするところかな?と。それアンタの息子もだぞ(笑)
演技とはその役を生き内面の感情を(説明ではなく)自然に感じさせることだ
正直アメコミものは食わず嫌いだったが、サイドストーリー的な人間ドラマだったのと、『ボヘミアン・ラプソディ』に似た勢いを感じていて半分義務感に駆られながら鑑賞。 たしかに、肋骨や肩が浮き出るほど痩せこけ狂気に満ちたジョーカーに見事になりきったホアキン・フェニックスの演技は圧巻。 そして現代の匿名で罵り合う人間の醜さというテーマとメッセージには突き刺さるものがあった。「本当の悪は笑顔の中にある」外面はいい格好して腸は煮えくりかえっている殺伐とした世の中。「狂っているのは僕か?それとも世間か」 ただ個人的には期待を持ちすぎたせいか…そこまで話題になっているほどの感動は覚えなかった。役者の内面の感情表現にフォーカスを当てているためか、ストーリー自体は唸るものがなかった気がする。 しかし兎にも角にもアメコミもマンガのように、子どもだけが楽しむものでなく立派なエンターテインメントだと改めて感じさせられ、アベンジャーズ含めシリーズを観てみたくなった。 結局創ってるのも描いてるのも人間で、そこのすべてにドラマがあるわけだからね。
時計の時刻はレトリックなのか?
これは監督が描きたかったもう一人のジョーカーである。
そして、誰にでも潜む心の闇を昇華させたとき。小躍りし悲劇から喜劇を愉しむ瞬間を表現した秀作。
世界中の貧困層が観たら非常事態宣言にもなりかねないメッセージ性がある。
アメリカでは暴動に発展してしまいかねないから警官もでてきて上映禁止地域もある。中国全域で上映禁止なのも想像を超えた現象を危惧しているからだ。
レトリックで気になった点は、やはりラストシーンで全てが妄想オチとなっているのか?どうなのか監督のコメントをぜひ聞きたい。
序盤の11時11分が2回、クビになったときのタイムレコーダーで3回目。
しかし、マレーの番組出演のときは時計は確か。10時40分位を指していたのた。しっかり写していたから意図があるとしか思えない。
ご存知の方、ご教示願います。
自分の感情の変遷を感じて驚く。
ヴィランのストーリーと分かっていても、どこか同情や共感してしまう部分があった。 しかし、ストーリーが進むにつれ染み出すように異常性が湧いてきて、ふとした時に共感したと思っていたことが全くズレていたことに気づいた。 そして、アーサーが解放された時の笑顔につられて自分の口元が歪むことを抑えられなかった。 かっこいいと思ってしまった。 これがカリスマだと思った。
悲しい定めの現実的社会映画
物凄く共感する映画。格差社会の中で貧困と差別にもがき苦しむアーサー。普通を装って生きなければ、社会から外れる…。満足な職にもつけない世の中は荒んでいて、人権の尊重もない。政治家や富裕層は口だけで世論を味方につけようとしたり正論のような言葉でねじ伏せたりするけど、庶民の気持ちなんて本当は何も理解してない。それがメディアに晒されたジョーカーを通して庶民をバカにしてると核心に触れ苛立ちに火をつけ世の中のピエロたちが街に溢れかえり暴動となる。日本にも当てはまる事多数…。心無い人の言葉や態度がアーサーの精神を追い込んでいく様がリアルに描かれていたと思う。我慢しても笑いが止まらなくなる病気になってしまったこと。病気は先天的なものじゃなく実は自分は養子で幼い頃母親がネグレクトをしていたことを知ったアーサーが、落胆しつつもどこか自分を責め続けていた心が解放されたように思えた場面があった。他に信じられるものや無くすものがなく、唯一肉親だと信じてきた母親が幼い頃に自分をここま追い込んだ原因でありながら知らずに介護してきた現実にタカが外れ憎悪するかもしれない。人の自制心には限界があると思う。アーサーにも当初は自制心があったはずだけど、人からバカにされ冷たくされ貶められていくうち、その自制心が底をついて人格が壊れていく葛藤…。子供の頃から人を笑顔でハッピーにしたい…そう思って生きてきた純粋な心は、人から愛されず罵られ、存在すらも認められず生きてきた事で、何度ももがき苦しみいつしか病んでいき、やりどころのない痛みが決壊したように溢れ壊れていく。アーサーは世の中の代表のような存在で、誰にでも起こり得ることだと思う。危機感はあったのに援助も受けられなくなりどうしようもなくなった。もう自ら止められない。したことは非道でもそれはもはや心の損傷。ピエロは同じ境遇の庶民の心の叫びに共鳴した。アーサーの我慢しても出てしまう笑いは脳が損傷する程我慢し病んだ行き場のない悲しい心の叫びと悲鳴。かすかに残る心の葛藤がピエロで作り込んだ深い悲しみの笑顔と重なるところが見事な見所だった。
自分の身近な人にも病んでしまった人はいるし現実にギリギリで精神を保ってる人や予備軍、罹患者はたくさんいると思う。余裕のない世の中は荒んでいくだろうし、それがラストの富裕層殺害に繋がった負の連鎖だと思う。
ジョーカーの最後のセリフ「ちょっとねジョークを思いついて。君には理解できないさ」の言葉の意味は様々取れるが、心はあくまで純粋に、まともに生きてきた人間には分からない自分に起こった悲劇を喜劇と表現し、自分はコメディアンでいたいんだという葛藤の中の精神を最後まで崩さなかった唯一の証だとも思え、バカバカしい世の中を揶揄した発言とも取れる。
笑いにはいつも涙が滲み、アーサーの心からの笑顔はこの現実には無く、いつも妄想の中だけにあった。
現実ももっと人を尊重する世の中になって欲しいと思う。でなければ現実にジョーカーは生まれては繰り返し、いつか自分に返ってくる負の連鎖になる事をもっと人は自覚すべきだと思う。悪はどこから生まれたのか…ジョーカー誕生に重ねた社会派映画だった。
ここまで魅せられるのか…
「たった1人」に焦点を当てた 映画は多々あれど、この スポットの当て方は新しい。 従来のバットマンを想像すると 少し違った印象になり賛否両論だが ジョーカーと言うモンスターが なぜ生まれたのか…?と言う 解決に焦点を当てると、 これほどまでの見応えになるとは… 見終わった後に 爽快感は無いものの 妙な開放感と解放感があった。
敗者のカリスマ
バッドマンシリーズのジョーカーは、どこか人間離れした超人的なキャラクターでしたが、今作のアーサーは誰よりも感受性が強くて感性の塊みたいな人間だったので、意外と言えば意外でした。ただ、良く考えるとコメディアンという職業は、人よりも感受性が強くないとできないし、ジョーカーも感受性が強くないとあんな人間の闇を突く様な事を思いつくわけがないですよね。
アーサーが何故ジョーカーになったのかは、作品を鑑賞していれば自ずと理解ができると思います。アーサーは実際に殺されてはいませんが、実質は社会に殺されているのと同じです。
今年の夏に京都で無差別殺人がありましたが、日本に限らず世界中でも無差別殺人が沢山起こっています。アーサーも彼らもギリギリのところで自分を保っていたものが、何かのきっかけで爆発してしまった。それは、貧しさからの差別だったり、解雇されたり、馬鹿にされたり、そんな他人からしたら些細な事の積み重ねなのかもしれません。アーサーは特別に凶暴な人間ではなく、どこにでもいる資本主義に飲み込まれた敗者です。
資本主義のお祭騒ぎが終わり、気がつくと世の中はゴッサムシティじゃないか。私には、何の後ろ盾もないし、誰も助けてくれない。災害や不況で私達は簡単に貧困になる。人々は助け合うのではなく、自分より弱き人を押し除ける。アーサーは、ディストピア化した未来の私です。
興味深かったのが、アーサー自ら洗練されたジョーカーに変化していったのではなさそうだということです。周囲が、ジョーカーを奉りカリスマに作り上げていったのです。だって、自分達の代表が情けなくてダサい奴だと、自分も情けなくてダサい奴って事じゃないですか。
仮に観たものの全てがジョーカーのネタだったとしても、私達はこんなにアーサーに熱狂しています。アーサーに共鳴しています。私達は冷酷な強者を求めているのか?敗者のカリスマを求めているのか?
ジョーカーから離れられなくなる作品です。
ホアキンうまい!
喜劇と悲劇は表裏一体。それを体現したホアキン。悲しきjokerが世間の不満や怒りを体現する悪のヒーローに祭り上げられる様はまるで周りに踊らされるピエロそのもの。 個人的にホアキンのjokerはとっても好き!
救いのない悲しすぎる話。ジョーカーに同情を禁じえない話。社会的弱者...
救いのない悲しすぎる話。ジョーカーに同情を禁じえない話。社会的弱者が犯罪者になってしまう過程は現代社会のリアルでもあると思う。この作品を見てジョーカーに共感してしまうところは、R15指定も納得。 それにしてもホアキンフェニックスの演技圧巻。映像の迫力圧巻。
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