「悲劇的で喜劇的な悪のカリスマ''JOKER''の誕生秘話」ジョーカー 桜さんの映画レビュー(感想・評価)
悲劇的で喜劇的な悪のカリスマ''JOKER''の誕生秘話
109シネマズ川崎のIMAXにて鑑賞。
映画「ダークナイト」で一躍脚光を浴びたヴィラン、ジョーカーが何故悪に染まり、何故「ジョーカー」と名乗るようになったかがこの映画を観ればわかる。
その様はあまりにも悲劇的で、喜劇的。
時折目を覆いたくなるような現実の悲惨さを目の当たりにしながらも、笑うことをやめず、「悪のヒーロー」なんかではなく、「コメディアン」としての己を貫き通すアーサーの姿、笑い声に終始ゾッとせざるを得なかった。
でもアーサーの壊れていく姿を見ていくと、これらに正当性を感じてしまう自分がいた。
こんなにも辛いことがあったのなら誰しもが「ジョーカー」になってしまうような気がしたのかもしれない。
そして、いつしかアーサーを応援している自分がいた。
今作はそういう描かれ方をしていたので仕方の無いところもあるだろうが、どうしてもゴッサムの富裕層が自分には悪にしか見えない。
ただ、個人的には今作はそこまで思っていた程衝撃作ではなかった。
確かにあまりに惨い彼の半生には同情し、恐怖をも感じさせられたが、あまり予想の範疇を上回らなかった。
勿論凄く面白かったのだが、あまり彼のする行動に意外性や衝撃を感じなかった。
「まぁそりゃそうなるわな」という感じ。
やはり「ダークナイト」の方がかなり衝撃を覚えたし、その半生も生い立ちも全てにおいて「謎」であったことも、またカリスマ性を引き立たせていた気がするし、ジョーカーに対立するバットマンという存在もいたお陰で面白かったなぁと思った。
やはり少し思ったのだが、ホアキンとヒースのジョーカーはこれはまた別物だなという感じ。
それぞれに別の良さがあり、特にホアキンのジョーカーの笑い声は、なんだろうな。あんな笑い方出来る人あの人くらいしかいないんじゃないかな。
笑ってるのに全然笑ってるように見えないし、笑い声の中に哀しみや怒りなんかも感じる事が出来るし。
そんなわけで、名優ホアキン・フェニックスの「JOKER」は、凄く面白かったです。