「ジョーカーは、ジョークを言う人」ジョーカー chioさんの映画レビュー(感想・評価)
ジョーカーは、ジョークを言う人
同僚が低身長の人をおちょくる発言をした時の
アーサーの笑い(その後の真顔)、
スタンダップコメディを一人で聞きに行って
大衆とズレたところで笑う。
普通の人に混ざろうとする姿に胸が痛む。
母親と踊る時の表情、
バスで子供を笑わせようとする姿、
小児病棟での明るく優しいピエロ姿、
恋人を見つめる表情、
デニーロの番組を見る時の輝いた目。
笑わせて人を幸せにしたい、
そこから自分の存在価値を見つけたいという人間の姿があった気がする。
笑いのセンスはあまりなかったけども。
「本当に楽しいから笑うんじゃなくて、笑ってると楽しい(かもと錯覚できる)」と日頃から思っている私も、アーサーと仲間かもしれない。
低身長の人を殺さず逃がした時の強く優しい顔。
電車で殺した後のトイレでの恍惚な表情。
ジョーカーになって階段を踊りながら堕ちていく姿。
暴動の中のパトカーの所での最大の自己表現ができた姿。
ヒースのジョーカーとホアキンのジョーカーは人物像が違うので、ホアキンの覚醒したジョーカーの姿を、まだ若いサイコパスのヒースレジャーのジョーカーが暴動のどこかで見ていてダークナイトに繋がったのかなと思ったり。
ジョーカーの一連の出来事全部が、
最後の病院でアーサーが本当に笑いながら言ってた、思いついたおもしろいこと(妄想)だったのかなと思ったり。
ジョーカーはジョークを言う人、という意味なのでこの映画全てがジョークなのかもしれない。
アメリカンジョークが私には全然面白くないと思うことが多いように、アーサーのジョークは腹を抱えて笑う類のジョークではないけどアーサーにとっては面白いこと。
ハングオーバーで私はこの監督に笑わせてもらった。ハングオーバーを撮って、ジョーカーも撮る監督なんて、ジョークが過ぎる。やはり、笑いを作れる人は他の才能に長けているという私の仮説は正しいと思った(逆はスベる事が多い)。
ホアキン・フェニックス、凄すぎた。
最初のアーサーと、ジョーカーと別人のような演じ分け。
この映画、色々言いたくなり過ぎて長文になるけど
もう一つ付け加えると、ホアキンの顔があの眉毛の存在感のせいで私は苦手だったけど、ピエロメイクでそれが薄れ、自信に満ち溢れると、途端に好きなタイプの顔になることを知った。