「死霊館:インフィニティ・ウォー」アナベル 死霊博物館 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
死霊館:インフィニティ・ウォー
最強の敵ウォーレンに一度は敗北を
喫したキャプテン・アナーベルが死霊ズ・
アッセンブルして人類へのアベンジに臨む
『死霊館:インフィニティ・ウォー』こと
『アナベル/死霊博物館』がいよいよ公開
(誇大広告やめて)。
死霊館ユニバースの誇る顔面凶器アイドル
『アナベル』シリーズも早いもので第3弾。
監督のゲイリー・ドーベルマンは初監督だが、
前2作や『IT』前後編の共同脚本家さんだそうな。
最初にざっくり結論書いちゃうと、
恐怖度はマイルドだが、怨霊ギミックだらけの
アトラクションホラー感や優しいドラマとの
バランスが上手く取れた良作だったと思います。
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総合的な恐怖度としては死霊館ユニバース中でも
真ん中くらいだと思うのだが、まずまず本作、
恐怖をタメまくる前半についてはかなーり怖い。
冒頭の車内シーン(地図フェイント)や
アナベル発動直後の窓コツコツ少女、
不法侵入が得意な花嫁さんなどなど、
来るか?来るか!?と身構えさせる演出が
ガンガン仕込まれていて肩カッチカチになる。
残念ながら前半でタメ過ぎて後半は
恐怖の緩急の付け方に余裕がなくなり
恐怖度が減衰してしまうのだが、そこからは
バリエーション豊かな演出で楽しませてくれる。
アナベルの頭突きから始まる怨霊アウトブレイク!
呪いのピアノ、呪いの花嫁、呪いの硬貨、
呪いの狼男、呪いの電子管、呪いの卓上遊戯、
呪いのジャパニーズサムラァイと盛り沢山!
地獄の船頭フェリーマンと死人達は
暗闇でぎらつく銀の眼が不気味だし、
“手探りゲーム”は最後に狭い箱から
四方に伸びる腕がキモくて良い良い。
狼男はこいつだけ毛色が違ってモンスター
アクションなノリでなんだか可笑しい。
あと、怨霊だらけでアナベルの出番が少ないのは
残念だが、彼女は相変わらず映るだけで怖い。
ガラス窓の奥からでも顔が怖過ぎるし、机に座ったり
ソファ下に転がってたりしてるだけでも顔が怖過ぎる
(至高の顔面ポテンシャル)。
日本幽霊リスペクトな演出があるのも嬉しいね。
監督は『呪怨』大好き!と語っているらしいので
あのベッドの演出はもう間違いなくオマージュ。
まさか鎧武者も『八つ墓村』……は無いか、流石に。
まぁこれだけ悪霊出たのに犠牲者がコッコ1匹って
実はアイツらあんまり脅威ではなかったのでは……
(特に巻き角のカッコいいリーダーさん)
と思ったりしたが、過去作では数日間に渡って
どんどん霊障がエスカレートしてくパターンなのに、
今回は一晩であれだけの霊障フェスティバルだった
ので、なんだかんだ強力メンバーだったのかねえ。
...
ドラマ面も好き。
ウォーレン夫妻の娘ジュディは両親の評判のせいで
同級生に冷やかされ、くわえて母親譲りの霊視体質
で周囲に怯えて誰とも打ち解けられない(それでも
両親を心配させまいと振る舞ってる。良い子過ぎる)。
いわくつきの品々を片っ端から触りまくる
バーローっぷりを披露したダニエラ姉さんも、
性根は優しい人。霊魂の存在を証明したいのは、
ひとえに死んだ父に会いたい・謝りたいから。
恐怖の一夜を経て2人は前進する。
恐れていた神父の幽霊は、本当はジュディを見守って
くれる存在だったし、“視える”からこそダニエラと
友人になることも出来た。ジュディは少しだけ、
周囲に心を開けるようになれたんだと思う。
罪悪感に苦しみ続けたダニエラもロレインの
言葉に救われる。悪い幽霊が存在するから
こそ、良い幽霊も存在することに気付ける……
ずっと傍にいてくれた、父からの言伝に涙。
あ、それとメアリー・エレンさんはこの手の映画
には珍しく聞き分けが良いし、おまけにめっちゃ
気が利いて優しくて危機にも率先して立ち向かう
という聖人みたいなベビーシッターさんでしたね。
気弱だけどやるときゃやる“タマあり”ボブくん果報者。
...
以上!
恐怖演出盛り沢山で、最後は優しい良作でした。
さて、死霊館ユニバースの次回作はおそらく
『死霊館3』になりそうだが、噂では本作でも
登場した狼男が題材になるとかならないとか……
狼男さん、今回ユーモア要員だったけど大丈夫か!?
<2019.09.21鑑賞>
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余談:
心霊研究家ロレイン・ウォーレンさん、
今年亡くなられたとのこと……合掌。