「【”この美しい世界を描き留めておきたくて・・。”震災により心に陰りを持つ高校生男女が惹かれ合い、再生していく美しい物語。】」薄暮 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”この美しい世界を描き留めておきたくて・・。”震災により心に陰りを持つ高校生男女が惹かれ合い、再生していく美しい物語。】
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■福島県いわき市に住む女子高生・佐智は、東日本大震災で心に陰りを持っていた。
同じく震災に遭い、実家が帰宅困難地域となった男子高生・雉子波祐介は、美しい今を絵画に残そうといわき市郊外の農村で絵を描き始める。
ある日バス停で偶然出会った2人は、祐介が絵を描く間、佐智がバイオリンを弾く事で徐々に惹かれ合って行く。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・今作では、忌まわしい震災の姿は殆ど描かれない。だが、画のそこかしこから、佐智と雉子波祐介の心の陰りが見えて来る。
・だが、祐介はその想いを、福島の美しい農村の薄暮の風景を描くことで、払拭しようとしたのだろう。
・彼のスケッチブックに書かれていた、中学生の時から好きだった女の子は、多分震災により、亡くなっていたのではないかな・・。
けれども、祐介は面影が似ている佐智と出会った事で、再生して行ったのだろうと思う。
それは、佐智も同じであろう。
<今作はシンプルだが、美しく豊かな自然を背景に、男女高校生が淡い恋心を抱き、震災で負った心の陰りから再生していく物語なのである。>
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