劇場公開日 2019年7月26日

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「幾重の解釈が映画の中で煮詰め切れてない印象、ただ怖い…的な」よこがお たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0幾重の解釈が映画の中で煮詰め切れてない印象、ただ怖い…的な

2021年9月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

知的

難しい

幾重にも解釈できるけど、あんまりハマらず。人間の気持ち悪い成り行きの感情を濃縮還元したような映画。モヤッとするしドロっと痰を吐き捨てるほどの無情さが在った。

あらすじをちゃんと読んでなかったというのもあるが、そもそも前提として、2本の軸で描かれていたのね。過去と現在、浮かび上がる2つの顔。魔性ぶりと堅実ぶりが同居する。遠い放物線が次第に重なり合うとき、ようやく合点がいった。ささやかな復讐をコピーで見ただけにどうなるのかと思ったけど、重く鈍い感情が居座る程度。序盤に引き込まれないとちょっとその違和感や恐怖が匂って来ないように思える。

キャストに関しては何処も豪華でびっくりなのだが、誘拐される子は小川未祐だったのね。すっかり顔の印象が違くて気づかなかった。また、主演の筒井真理子が怖いこと。何を考えているのかもわからず、何を腹の中で考えているかすら見えない。市川実日子との関係性も利用と提供の関係にしか見えなかったから、あの台詞が表立つのも一定の理解を示してしまう。また、掌を返して情報に熱を持って追い続けるメディアの気持ち悪さも上辺だけでアンドロイドのよう。実際あんなもんなのだろうか…。

凄く丁寧かつ多角的に"腐敗"を映し出していたが、ヨーロッパでウケるのも納得である。音楽の使い方も少々わざとらしくて気になったし、まだ映画で完結しきれていない部分があると思った。

たいよーさん。