「私は心の匂いを嗅ぎ分ける!」ボーダー 二つの世界 だいふくさんの映画レビュー(感想・評価)
私は心の匂いを嗅ぎ分ける!
いや~正直どんな映画なのかが全く想像ができなかったのですが、予告みて一瞬で鑑賞してみたいという気持ちになりました。
謎々…の物語です。人とは違った容姿の税関職員ティーナの正体は?彼女はなぜ匂いで人間を嗅ぎ分けれるのか?突如現れた彼女と同じ容姿の奇妙な旅行客のボーレの正体は?そんな謎ばかりの前半でしたが、二人が会った瞬間に惹かれあって関係性を深めていくにつれ、謎は中盤過ぎくらいでようやく明かされます。
ですが、正体をしった時点では、「あ~、え!?そうきたのか!」というのが正直な感想でした。全く予想は出来ませんでしたが、個人的に二人の正体が知った瞬間は期待外れの感情も湧き出し複雑な気分でした。
しかし、本作は正体が分かってからの展開が面白く、ティーナの葛藤や行動は興味深い展開でもありました。恋愛物っぽい要素も含むのですが、決して恋愛で簡単には語れない、ティーナの複雑で純粋な心情が描かれています。
本作はラスト直前で画面が暗くなるシーンがあります。てっきりそこで映画が終わりエンドロールと思いましたが、続きがありました。いったいここから何を描くのかと思ったら…。観終わった後の感情は表現できないが正しいかもしれません。凹むとか嫌悪感という感情でもないのです。ただ一番に思ったの何か観てはいけないものを観てしまったという感情が近しいのかもしれません。
それは何か、「グロテスクな美しさ」という相反する言葉が当てはまっているかもしれません。これは容姿の意味だけでなく心情的な意味でも当てはまる映画でした。想像できない世界観を体験した映画です。なんだか映画の新しい世界観や深さを改めて知ることができた作品に出会えた気持ちになりました。