「人間って醜い。」ボーダー 二つの世界 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
人間って醜い。
無粋なおもいっきりネタバレしてるレビューなので未見の方は自己責任でお願いします。
●雑なあらすじ
ティーナは匂いで人の悪意などがわかるのでその嗅覚を活かして仕事をしていたら、児童ポルノ所持ヤローを見つけ、児童ポルノ作成ヤローどもの捜査に協力することになる(警察が警察らしからぬ見た目)。
仕事場で何やら匂うが怪しい証拠がないので釈放?する男性?のヴォーレに惹かれてゆくティーナ。ヴォーレは男性に見えるが膣があるらしい。
ティーナは女性として生きているけど、染色体異常と規定されており、子供が産めないらしい。孤独がつらくてロン毛のザビエルヘアーの彼氏と住んでるけど好きじゃない(奴も浮気してるっぽい)。
ヴォーレに感じる何かに戸惑いながら、虫ちゃんを食べ、カタツムリちゃんもたべ、自分は何かを知って行くティーナ。
ついにセックスに至る。ティーナから男性器が生え、ヴォーレに挿入したっぽい。キスの仕方も喜びの声も、確かに人とは違う。
ヴォーレ曰く、ふたりはトロルらしい。
ヴォーレは冷蔵庫に赤ん坊をしまっていて、それはヴォーレが産んだ無精卵なんだとか。
ヴォーレは人間に復讐していて、無精卵の赤ん坊もどき(そのうち死ぬ)を人間の赤子とすり替えて(チェンジリング)、さらった人間の赤子を児童ポルノ制作やろーどもに売っていた…なので児童ポルノ制作やろーを殺した…そしてティーナの近所の夫婦の赤子をさらった。
ティーナはそれが許せなくて、警察にヴォーレを捕まえさせようとするが海に逃げられる。
またティーナは父に自分の本当の親は?と聞く。病院に入れられていたトロルの両親から娘を譲り受け、両親のつけた名前はレヴィナ(名前うろ覚え)だと、父は告白する。ティーナは石だけ置かれた本当の父母のお墓に立ちすくむ。
ヴォーレとも、父や、他の人間とも相容れず、人間社会から離れて森をさまようティーナの元に、しっぽの生えた虫さんを食べる赤ちゃんが届く。フィンランドの絵葉書もあるから、多分ヴォーレが産んだティーナとの子ども。ティーナはこれからどうやって生きてくのかな?
おしまい
●トロルって昔、人形流行ったよな、髪の毛がカラフルなちっこい人形。トロール人形。あれかーと、ひとり納得。小学生時代になんか流行ったことしか覚えてないけど。
●ティーナもヴォーレも、そこまで異形とは思わなかった。特にティーナはメイクの加減でかなりふつうの女性の骨格に見える時があった。
はだかんぼうで湖入ったり、森を走りまくったり、楽しそうでいいじゃん。人間の標準的な見た目、って物差しにずっと苦しんできたティーナが、自らの本能を解き放つのは、美しい光景じゃんよと思った。残酷になることに意味を見出せないというティーナは、人間より人間らしいと思った。
●人間って醜い。ティーナやヴォーレを気持ち悪いという権利はない。気持ち悪いと思ったことを恥じて、その感想のみを表明することはせず、なぜ自分は気持ち悪いと思うのかを問い、自分のその未熟さを矯めようとする思索が、人間を人間たらしめるのではないかと思う。
でも自分がすっと受け入れられないものは、排除していいと思っている人間は多い。トロルを拷問した人達のように。
そろそろ別の種に絶滅させられてもいいんちゃうかな人間なんて、って思った。いやいや仲間割れで自滅するのが先かな。本当に愚かで醜い、わたしたちは。