劇場公開日 2019年3月2日

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「40年近く前に美術手帖でその名を知った」ヨーゼフ・ボイスは挑発する 堂々庵さんの映画レビュー(感想・評価)

3.540年近く前に美術手帖でその名を知った

2019年3月20日
iPhoneアプリから投稿

過去を遡ると、高校時代にボイスという人間を知った。『死んだうさぎに絵を説明する方法』や『コヨーテ -私はアメリカが好き、アメリカも私が好き』の写真を見て、初めてパフォーマンスという言葉を知った。かなりの衝撃を受けたことを記憶する。
今こうして当時の映像を見ると、その印象がかなり変わった。
「民主主義は面倒くさいがアートとして成り立つのだ」と、身を挺して教えてくれている。
そう感じた。
決してボイスはカッコ良くない!
それは石彫家が石の粉を体中まみれながら格闘している姿と何ら変わらない。
「芸術概念の拡張」とするボイスのアプローチであるが、拡張すべきはそのようなアプローチとかモノに向ける我々の眼差しやイマジネーションであるように思う。それこそが、「誰もが芸術家」とするボイスの想いではないか。

堂々庵