「読み終わっても全てが曖昧な小説。或いは無意味な考察。」ゴーストランドの惨劇 equinoxさんの映画レビュー(感想・評価)
読み終わっても全てが曖昧な小説。或いは無意味な考察。
長目です。すみませんが。
これ未だにどこからどこまでが現実と妄想と小説で
果たしてその現実部の時系列は正常に並んでるのか、
おばさんの家とお母さんの存在という夢幻の世界を軸に
全くの妄想なりそれに絡む悪夢なりを次々思索する
ちょっと異常な小説家を描いた映画なのか、
メタ映画、メタ悪夢、メタマトリョーシカが
楽しめるような曖昧加減の筈が、無粋な製作の手に掛かり
初心者向けにされちゃったんじゃないかなあ、と感じます。
『ちょっとこれじゃ訳判んねーじゃん』と頭悪い製作から
言われてなかったら、もっとぐちゃぐちゃにゅるにゅるに、
パスカル・ロジェなら、彼の監督履歴からのこの映画の
タイミングと、何故敢えてこのジャンルで来たか、とか
考えるともっともーっとブッとばしてた感じだったかも!
余計なびっくりどっきり驚いたカットも
製作の口出し故挿入せざるを得なかったのかも!
最近の人はホラーって急にワッと言って驚かせて
ナンボだと思ってる人多いらしいけどさあ!
絶対そんなびっくりどっきりカット要らないからさあ!
コントじゃないんだからさあ!
そういう人達こそ廃れつつあるお化け屋敷を
守れよ!映画なんか百年早いわ!
あああ、製作が口出す前の純度濃度鮮度激々々々高い
夢のようなパスカル・ロジェのホラーを観て確かめたい!
怖い夢と美し過ぎる妄想と大人が書いて売れた小説と
少女の書いた夢のような小説とをもっとシェイクして
落差が美しく激しい!と悩んじゃって、
正解は観た人の数だけ存在する的な、
そんなんだったかも。
という、期待値過大気味な人一人の採点です。
だってあのタイミングで警官が来て、
来た理由を説明補間して(しかも理由がゆるゆる!)、
更に変態が実は銃所持者でーって妄想展開甚だしく無いか?
ラブクラフト登場に結晶するなんて何だか臭って来ないか?
まあまあ、それでも残ってるシーン、
夢か現か判らないが何処かモヤモヤしながらも
母娘で呑んでコッテリ語らうシーンとその後の不穏な
シーケンスがコッテリコッテリしてて凄い。
更に主人公目線が続く、その直後の不穏な(濃厚な?)
スローを見せられているのかと思う程の長回しや
悪党両名出てないカットの方がチカラ入ってる感じの
周りの不穏な(美味な?)お人形さんのセリフ多めで
生きてる人間よりよっぽど大活躍なシーンや。
観てる我々に挑んでないか?てくらいの不穏な(刺激的な?)
カット盛りだくさんで(ただのオッサンの感想です)
来てます。
剛力ジャイアンの美少女の足一本釣りからの
直後お姫様抱っこでベスの首が反るシーンからの一連の
恐怖の抱擁タイム、果ては“だるまさんがころんだ”までが
まるで濃厚なラブシーンだったような。
あそこはエクソシスト並の「美しい映画」だったと思う。
毎日こんな事ばっか考えてんだろうなあやはり。
以前マーターズについて、
「エクソシストと並び評されるべき」と書いたが、
こちらは「悪魔のいけにえと並び評されるべき」か。
マジ怖えよ。
にしてもやはり、
ディレクターズカット、というかセルフリメイクを待つ!
アート増しで頼む!それまで死ねない!
勿論エミリー・ジョーンズ起用で!
「マザー」、「マーターズ」、「トールマン」の
超斜め上を飛ぶ、ブッ壊れ方の完成された映画を望む!
やっばりパスカル・ロジェって男は
答えの出ない問いしかブツケて来ないから。
それらを飲み込んだ上での結果や立場や感情や
各々の葛藤や後悔や。
つくづく無責任なイイオトコっているじゃん?