「地味だが良質な社会派ドラマ。高い注目度も喜ばしい」ある町の高い煙突 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
地味だが良質な社会派ドラマ。高い注目度も喜ばしい
新田次郎原作、仲代達矢出演など注目されるポイントはあれど、明治の山村で日立鉱山の出す煙害と闘った人々という基本的に地味なテーマ。それでも、公開2週目の週末(6/30)時点で注目作品ランキングで27位は頼もしい。こういう社会派の良作に観客が足を運ぶと、邦画の底上げにつながるはず。
松村克弥監督の前作「サクラ花 桜花最期の特攻」を観たときは少ない予算での苦労を感じてしまったが、今作はぐっと予算規模が大きくなり、キャストも絵作りもスケールアップしていて嬉しい。話としても、住民対企業という二項対立に単純化するのではなく、鉱山会社の中の良識派と住民のリーダーが認め合って協力する筋や、村人も一枚岩ではなく多様な思いがあるなど、より複雑で豊かなドラマとなっている。
教育番組のようなナレーションと、演技が大きいこと、煙突建設の工程の描写が少ないことは、個人的に難点だと感じた。
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