「バックの波乱の犬生、今CGで蘇る」野性の呼び声 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
バックの波乱の犬生、今CGで蘇る
言わずと知れたジャックロンドンの小説の映画化、これまでに1923年のサイレント以降、何度も映画化され本作は6作目らしい。
ソーントンもクラークゲーブル(1935)、チャールトンヘストン(1972)などの名優が演じています、犬と名優では「HACHI 約束の犬(2009)」のリチャード・ギアさんが真っ先に浮かびますがハリソン・フォードさんも老け役ながらカヌーでアドベンチャー、いい味出していましたね。「最強の二人(2011)」のオマール・シーさんも良かった、バックにリーダーシップを教える名トレーナーでした。
バックも大方は原作のモデルに近いセントバーナードや牧羊犬との混種ですが狼との因縁からジャーマン・シェパード(1972)だったりもしました。
本作のモデルはジャックリーと名付けられたセントバーナードとスコッチシェパードの雑種でクリス・サンダース監督の奥さんがカンザス州の動物保護施設から引き取ったものです。レセプションなどには出演していますが、映画ではモ―ショーン・キャプチャーで全編CG化されています。
人型ロボットがあまり人間に近くなると気味が悪くなる心理現象、不気味の谷現象というのがあるそうですが犬でも当てはまるかもしれません、私も違和感があり馴染むまで少々時間がかかりました。
原作でもバックは擬人化に近いですからコンセプトなのでしょう、むしろ脇役の他のソリ犬たちの犬っぽい表情は秀逸、思い返せば「ジャングルブック(2016)」も良かったですが、熊から狼までなんでも役者にしてしまうCGの進化あってのリメイクですね。
プロットも大方はソーントンはインディアンに襲われるのですが逆恨みした金鉱堀りに変えています、この辺はネイティブへの配慮でしょう。
野性本能の覚醒、自然回帰が本のテーマだったのですが本作はロマンスに寄せています、バックが白い雌の狼キャロルと恋に落ちる顛末は往年のわんわん物語のようですね、ラストは子犬まで登場の大サービスなのでおおいに癒されました。