「ベックの演技に拍手。」野性の呼び声 ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
ベックの演技に拍手。
犬を好きな人は多い。実際に飼っている人も多いが、この映画は犬の魅力をたっぷり伝えて犬好きにはたまらない。それも人に可愛がられるだけの存在ではなく、ソリ犬として大活躍して人と信頼関係を築いたり、孤独な男の人生の相棒になったりする。最後には自然の中に戻り、狼の群れのリーダーにまでなってしまう。普段は可愛い犬の無限の可能性を見せてくれるようだ。物語は、犬が人のかけがいのないパートナーとしての存在であることと、動物としての存在の両面を描いている。ソーントンとベックの友情に満ちた関係は人と犬の関係の理想を描くものだ。言葉が通じなくても、心で分かりあっている感じは心に染みる。ベックが元の飼主を離れ、様々な経験を経て野性に目覚めていく過程は、犬の動物としての本質を考えさせる。バカ犬だったベックが仲間や自然から学びながら、どんどん逞しくなっていくのを見るのは、本当に気持ちいい。動物としての本来の姿を取り戻すことは、野性に戻ることでもあった。実際に飼犬が狼の群れに入れるのかは疑問だが、犬の中に潜む動物の本質の表現として受け止めれば納得できる。
ベックは「ライオンキング」のようなフルCGで作られているようだが、気持ちの伝わるような演技は「アカデミー主演動物賞」に選ばれるのにふさわしい。
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