キングスマン ファースト・エージェントのレビュー・感想・評価
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熱い! 無茶苦茶なのがキングスマンらしさ!
荒唐無稽、成り行き任せ、派手なアクションは健在。
これまでのシリーズでは事件はすべて創作だったけれども、本作ではオーストリア皇太子暗殺のサラエボ事件、ラスプーチンの暗殺、ニコライ2世の退位とロマノフ家の処刑、レーニンの革命など、歴史上の人物と実際の事件を絡めて描いているので、でたらめさはパワーアップ。
いくらなんでも、無茶苦茶だよとツッコミどころばかりの展開でしたが、どんどん「『キングスマン』だしな」と納得していっちゃうのが、やっぱりキングスマン。
そして、おっさん度UP。
主人公オックスフォード公の燃え上がる平和への思いが熱い!
かっこいい!
宣伝ポスターでキングスマンメンバーに見える並びにいるが、強敵のラスプーチンとの殺陣は必見。
ぶっちゃけ、この戦いを観るだけでも、この映画を観る価値はあり。
マシュー・ボーンの胸の内?
第二次世界大戦における独ソ戦での犠牲者は、ドイツが900万人、ソ連が2000万人(と、ラストシーンから思い出しました)。
右と左のバランスを取る闇の指導者連盟?の前に、キングスマンは第二次大戦の勃発を防ぐことも、膨大な数の若者を救うこともできなかったことになります。
次回作はいったいどんな戦いが待っているのか。
マシュー・ボーン監督は、人間が人間を理不尽に殺してしまうことへの嫌悪と怒りが強烈なのだと思います。
現実の世の中でどんな事情があったとしても、すべての犠牲者と残された家族からすれば、なんでこんなことで命を落とさなければならなかったのか、というのが戦争だと思います。
であるならば、キングスマンの役割は、〝なんでこんなことが〟を未然に防ぐことですが、そのためには張り巡らせた情報網から情報入手、分析、アクション(時には暴力的手段で)を起こすことが必要です。
だからスパイ組織なんですね。
って、今さらなに言ってるの?
という感じですけど、今の社会のリーダー層には、このような観点から導かれる戦略的な構想があるようには見えないので、目端の利く人だけが得をして、救われるべき若者のことは本当は誰も考えてないんじゃないか、そんな気がしたものですから。
見かけ(高級スーツの紳士が強いはずない)で舐めてきた相手を鮮やかにかつ軽やかになぎ倒す、という前作までのお約束だった、スカッとするアクションシーンはありません。
むしろ、『1917 命をかけた伝令』を再現したかのような臨場感溢れる戦場のむごたらしさが印象に残ります。
想定外にヘヴィで、いつものマシュー・ボーンに比べるとシリアス。
それでもアメリカの参戦をヒーローが救いにきたようには描かず、あんな理由での腰砕けからイギリスこそが救ってあげたかのように描くあたりは皮肉屋の性格となにがしかの屈折した心持ちが窺えるようで、たぶん監督自身の人間臭さの表れなのだと私は思ってます。
当てずっぽうな想像ですが、個人的に体験してきた様々な苦い思いを映画作りのエネルギーとアイデアにすることができる人。
『キック・アス』以来の大好きな監督なので、引き続き好きなように映画を作って欲しい、そう願ってます。
重厚な前日譚。本編とはテイストがかなり違う
非常に重厚な前日譚です。僕は非常に楽しめました。
所々に出て来る背景や単語にはニヤリとさせられますが、キングスマン1作目2作目とは全く違う雰囲気の作品で、洋楽好きにはたまらないBGMのチョイスや華麗でスタイリッシュなアクションやファッション(時代的にしょうがないですが)は全くありません。メインキャスト達のように地味目だけど、重厚で真摯な展開が続きます。
構成もラストの結成シーンのように時々「?」という説明不足のところはあるにせよ、2作目と較べると比較的丁寧になっています。
ただ、キングスマンのメインシリーズの軽さがないので、何度も観られる作品ではないかな?と(僕は1作目は10回以上、2作目もその程度見てます)。2回、せいぜい3回が限度かなぁ。
そして(いい意味で)呆れたのが、悪の手先にあのレーニンを連れて来たこと。おいおい、と。共産主義に否定的な僕ですら「ゲバラ等、その理想に命を賭けた人もいるんだぜ…」とちょっと可哀想になりました。が、それも含めてマシュー・ボーンなので納得です。監督にセキュリティをしっかりつけて欲しいと心配になりました。次回作も期待してるので。
そういう話もあったのね的な
今までのキングスマンを期待して行くと、ちょっと違う感じ。
ファーストキングスマンはそんなに強くないし、凝った武器も持っていない。
アクションもある意味極端。楽しいんだけどね。
話のメインは親子関係です。
まあ、そういう話もあったのね的な感じで観るべき。
こんなブラックスワンは嫌だ(笑)
キングスマンシリーズは良かれ悪しかれポップコーンムービーだろ、と思って鑑賞しに行ったのが、見事にやられました。徹頭徹尾シリアスです。
古代〜中世〜近代文学は好物なので、初っ端からアーサー王の話題が始まるのはとてもワクワクしますが、「いつまでこの格調が維持されるかな?」と思いつつ見ていたら、ずーっとそのまんま。クスッと笑えるユーモアや、1〜2作目に繋がるトピックに膝を打ちたくなるシーンは時折ありますが、品格ある雰囲気は崩れません。
ラスプーチンとの対峙に及んでも、空気は変わらなかったので、もうこれはこのまま最後までいくのだな、と確信を得ました。
もちろんスタイリッシュな戦闘シーンは期待を裏切りません。しかし、前2作品よりはCG比率も少なく、役者の身体能力が問われるのも観る者には嬉しいです。
とりわけ、リス・エヴァンスの怪僧ぷりったら!このテのヴィランでラスプーチンに匹敵するのはフー・マンチューくらいだと思いますがラスプーチンはなんたって実在の人物ですからねぇ。演じた役者は数多おれど、リス・エヴァンスの怪演は他の追随を許さない気がします。彼の役者としての評価を大いに上げる一作となったのではないでしょうか。
1812(序曲)やカリンカを織り込んでのラスプーチンのダンス。スピン(グランド・ピルエット?)は、くるみ割り人形で脳内がバレエモードになっていたので黒鳥の32回転(グラン・フェッテ)が重なりました。こんなブラックスワンは嫌だぁ(笑)
まぁ、コサックダンス=ホパークは元々モンゴルから持ち込まれた東洋武術であり、銃や剣を用いた曲芸的テクニックに昇華されたと聞きますから、ホパークと戦闘アクションの親和性は非常に高いでしょう。21世紀の新しい武装舞踊を生み出したリスと監督&スタッフに喝采です。(特別映像みたいに、BGMがボニーMでなくて良かったぁ。あれが流れたらストーリーに関係なく爆笑しちゃうよw)
今秋は、娘の勉強を手伝って1次大戦前後の世界情勢は個人的にかなり掘り下げて調べたばかりだったので、実にタイムリーに楽しめました。ラスプーチンとロシア宮廷関係を説明するのだけは彼の艶聞や絶◯・巨◯ネタに触れないのは難しく、JCには話すに話せず軽めに流し「興味があったら自分で調べてね」と言うに留めましたがw
しくじれば貞操の危機。コンラッドがポリーに「絶対、毒を入れてね」と念を押すのは息子と顔を見合わせて笑ってしまいました。シリアス調の中で数少ない微笑ましいシーンw
西部戦線におけるコンラッドの戦闘シーンには、微塵もキングスマン流の「舞」は入らず、どこまでもリアリズムに寄せています。ここはそういうイジリを入れちゃいけない!という監督の意志を感じました。これまでマシュー・ヴォーン監督は私の中で「比較的気に入っている監督」という位置付けでしたが、この英独戦シーンの描き方で「特に気に入っている監督の1人」に昇格しました。
しかし、コンラッドが、まさか、、、なぁ。(ネタバレしてはならない箇所かと思いますのでご自身の眼でお確かめ下さい。)
とにかく、息子に「西部戦線異常なし」を観せねば。
「コンラッドは責任を果たした。」の台詞には、英雄ホレーショ・ネルソンの「英国は各員がその義務を果たす事を期待する。」「神よ、感謝します。私は義務を果たしました。」が浮かびました。
「ヴェルサイユ条約は厳しすぎる」の一言は、ラストシーン(中盤と同じですが)にて左のレーニンと対比される右の若者の正体を示唆しています。
(レーニンと19歳差なんですね。初めてそんなの意識したなぁ。)
ラスボスは、気付かなかったなぁ!
(だってさ!間違いなくロキシーのご先祖様でしょ?そんなおバカで悪い奴だなんて思いませんよ。ちなみにワタクシ、キングスマンのヒロインはティルデでもジンジャーエール(ハル・ベリー)でもなくロキシーだと信じております。今後の続編で再登場に期待します)
ハンプシャーのシーンで違和感は感じて敵側だとは思ったんだけど、まさかそこまでとは!手先や幹部、スパイじゃなくて当人そのものとは恐れ入りました。あ!そしたら「あれ」はUボートだったのか!今頃、気付いた。VODに落ちたらゆっくり再確認してみよっと。
英国とスコットランド、ウェールズ、アイルランドの確執についてはまだまだ勉強不足なのでもっと色々知らねば。(とりあえずブレイブ・ハートでも観るかなw)
改めてキッチナー伯爵について調べてみましたが、名前はホレーショ。ネルソンにあやかった命名でもあるんですね。
あと、ムネアツはランスロット。
コンラッド自ら任命したランスロットです。オックスフォード卿は「例の一件」のあと、まるで息子のように彼の面倒をみていたのではないでしょうか。描かれざるそんな一幕に想いを馳せるラストシーンでありました。
本作の台詞にもあった「cancerのように不快な」という病にまさか捕まってしまい、思うように映画も観られない日々が続いておりますが、万難拝して3ヶ月ぶりに足を運べたシアターで鑑賞したのが本作で本当に良かった!
個人的好みですが、文句無しの星5です。監督お得意のアイロニーよりも、今作は「ハート」を前面に打ち出し、全面に流れさせた作品でした。皮肉・風刺ももちろんたっぷりなんだけど、なんというか斜めに構えて冷ややかに茶化すんじゃなく、もっとホットで真摯な、ヴォーン監督が普段は隠している真実の顔を見た心持ちです。
闘病の身にはとても素敵なクリスマスプレゼントになった本作でありました。
(あ、「若者より中年が活躍する」というコンセプトは、3作品通してブレてないですねw
あと、ポリーとハリー。絶対血縁だよね?早く続きが観たい〜!)
※ちょっ〜と気になっちゃったんで12/27追記
ヴォーン監督の名誉の為に一言。
本作の撮影は「1917」より先です。そもそも監督は1917は観ていません。
「西部戦線異常なし」や「ディアハンター」の影響は多分に受けているでしょうけれど、そんな直近作品をこの御方が意識するはずないでしょうに。
いろいろと悪意ある演出が面白い
ラスプーチンとかヴィルヘルム2世とかイメージの悪い歴史上の人物をそのまんま悪役に仕立て上げて、ちょっと大英帝国に都合良すぎるんじゃない?
でも、面白いから許しちゃう。ラスプーチンと対決するシーンは、めちゃくちゃいい。流れる曲に合わせてダンス仕立ての殺陣なんだけど、ラスプーチンが肉体派アクションを見せてくれる。ラスプーチンが剣を使えるなんて聞いたことないけど、ここが一番よかった。
ジョージ5世、ヴィルヘルム2世、ニコライ2世がトム・ホランダーによる一人三役もよかったな。悪意ある演出で笑っちゃうんだけど。
本編のキングスマンと違って、結構シリアスもぶちこんんでくる。若者の命が使い捨てられる西部戦線の描写はかなりリアル。下手な戦争映画よりも真に迫っていた。
どうせならIMAXで見たかったな。呪術廻戦とぶつかったからしょうがないんだけどね。
またこのシリーズが観たくなる新作
007のように公開が伸びに伸びたキングスマンの新作。
サラエボ・西部戦線など一次大戦に繋がる歴史背景と一緒になぞられていて、KGBやMI6と同じように派生した組織のような深さを感じます。
またシリーズに見られるようなアホな笑いはほぼ無く、シリアスで泥臭いんですね。
それと構成がメリハリが聞いてて、前半は戦争映画で後半はインディさながらの冒険活劇ってのも面白い。
締めの山羊がやっぱりキングスマンって感じでしたw
ビギニングとして少し違うテイストでしたが、これはこれで楽しめました。
またこのシリーズが観たくなる新作でした。
ラスピューティン
ラスピューティンを誰が演じたかと思えば、イギリスの名優リスエヴァンス!とにかく前半の主役!あのダンスバトルまでの存在感はハンパない!素晴らしいシーンの連続!
中盤はサム・メンデスの1917宜しく勇敢かつ残酷な戦争映画の趣。
そして後半はレイフ・ファインズ以下、チームの魅力がたっぷり詰まったまさにキングスマンな出来映え。
全く飽きない多層的な作りで、キングスマンらしさが随所にあり、強い女性も居て、俳優陣はイギリス中心だけど国際色も豊か、グッバイレーニンのドイツ人俳優上手かった。
年末に良いもの見れました。
名優レイフ・ファインズは安定に魅力的で作品を引っ張る
スパイ映画の皮をかぶった第一次世界大戦映画(途中『1917』してる) = 硬派な反戦映画?だから"ザ・"キングスマンなアクションシーンも予告編などで見た部分くらいな気がした。ところどころの不謹慎さというかメインストリームでも抑えきれない頭のおかしさ、ズレた倫理観やジェームズ・ガン的ですらある何でもありサプライズ、どうしても死ぬ最期まで描きたがるクセ(本作におけるそれらの大部分は反戦的メッセージとも取れなくない?)などマシュー・ヴォーンらしさは垣間見えるけど、全体的には普通だった!ぶっちゃけ微妙かも…なんだろう、アクションもユーモアもドラマも歴史モノとしても微妙で結果こんがらってる気がした。好きになりたい自分と好きになりきれない自分。
ここ日本ではマーベルMCU、ワイスピF&Fシリーズ並みに"優秀"という遺伝子が組み込まれているのか、皆手放しで絶賛する一大ブランドと化しているキングスマン・シリーズ誕生を描く前日談。コロナで延びて延びて度重なる延期の末にやっと公開!英国の諜報事情とコロナで公開延期の憂き目に遭った役者の本音ならレイフ・ファインズ(『007』M役)御大に聞け!ジャイモン・フンスーは安定キャスティングだけど一体何歳まで体バキバキにしておかなければいけないのか?主役にならないから見逃されがちかもしれないけど、いい加減『エクスペンダブルズ』に呼ばれてもいいんじゃないか?
戦争映画の側面もあるキングスマン
大英帝国の終わりの始まりをなぞってキングスマンの設立を描いていた。
歴史的な出来事をを脚色して描いている事が多いので、第一次世界大戦よ欧州の状況や出来事を知っておくとより楽しめると思う(ノブレスオブリージュ、ニコライ二世、ラスプーチンあたり)
実在の歴史的人物が次々登場。
第一次世界大戦を背景に、世界最強の国家に属さないスパイ組織「キングスマン」誕生までを描く、いわゆるオリジン。
1914年、世界大戦を裏でひそかに操る闇の組織に対し、“平和主義者”で英国貴族のオックスフォード公と息子のコンラッド、世界中のメイド情報網を駆使して情報を集める銃の名手ポリー、ナイフの達人ショーラが、敵組織の目論見を打ち砕くべく奔走する。
実際の歴史的事件の裏で敵組織のドン「羊飼い」が糸を引き、それをオックスフォード公たちが阻止するべく動くという“伝記”ものならぬ“伝奇”もので、監督のマシュー・ボーンが過去に手掛けた「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」に構造的には似てるかも。
特に、当時ロシアに実在した世界的ヴィラン、怪僧ラスプーチンとオックスフォード公らの剣劇シーンは実に新鮮だしめっちゃ面白かった。
さすがのアクションシーン!
やはり、この映画の見どころは、アクションシーンですかね。
見ごたえ十分!高所のシーンは、足がすくむような臨場感があります。
コロナのため、えらく長い間、予告編を見ていた気がしますが、期待を裏切らない大作といえるでしょう。
劇場のいい席を取って、ぜひ堪能してください!
【秘密結社とか、バランス・オブ・パワーとか】
どんなに時代を経ても、世の中の人は、映画のテーマとして、秘密結社が大好きだ。
何か自分達の知らないところで、誰かが、いや、怪しい集団が、世界を操って…というか、牛耳ってるというやつだ。
フリーメーソンは、よく候補に上がるが、当のフリーメーソンは、これを否定している。
その代わり、近年は、Qアノンやディープ・ステートが白人至上主義者や、日本だったらネット右翼の間で大流行りだ。
これまでも、「キングスマン」シリーズは、選民思想や、人々が陥りやすい怒りや憎しみに任せた感情の罠を皮肉たっぷりに描いてみせてきたが、今回の「ファースト・エージェント」は、何かが世の中を陰謀で操っていて、バランスを保ったりしてるんじゃないかという考え方をアクションたっぷりに、コメディ感はやや少なめに皮肉ってみせている。
そして、主要な歴史上の登場人物だけはしっかり抑えて、物語は歴史考証などお構いなしで、映画を観るものをおちょくっているようにも思える。
(以下ネタバレ)
コサック・ダンスなのかバレエなのか踊る怪僧ラスプーチンとのバトルは笑わせてもらえるが、ただ、このラスプーチンの存在と、そして、レーニンの登場は、帝政ロシアの崩壊に繋がったのは史実だ。
そして、いきなり、エンドロールの”レーニンとヒトラー”の出逢う場面については馬鹿馬鹿しくて笑えるけれども、実は、ここで語られる”バランス”は、まさにイギリスの重要な外交政策であったのだ。
ヨーロッパの島国であるイギリスは、大陸ヨーロッパに突出した脅威が発生し、不安定化や紛争に繋がらないように、自らがパワー・バランサーになって、ヨーロッパに均衡(バランス・オブ・パワー)をもたらしたいと画策していた。
しかし、この第一次世界大戦が証明したように、そんなものは幻想に過ぎなかったのだ。
そもそも、その前から、アメリカがイギリスから独立し次第に力をつけ、フランスでは革命が起こり、ナポレオンが登場するなど不安定化は避けられなかったのだ。
だが、こうした歴史を経て、イギリスでは諜報機関が発達したのも事実だ。
マトリックス ・シリーズでも主要なテーマになっている善と悪のバランスや二元論的思考は、エヴァンゲリオンでも同様だったと思う。
善には悪、神には悪魔、天国には地獄、民主主義には全体主義、左には右でバランスを取るという二元論的な考え方は、物事を単純化してしか考えることが出来ない僕たち人間の愚かさの表象だ。
今回の「ファースト・エージェント」は、ブレない女性や黒人の執事が登場してポリコレ感を残しているものの、コメディ感も含めて、前2作より、ちょっとあっさりめで、戦争や、二元論をベースにした考え方の愚かさや、戦争で人々は命を落とすということ、そして、そんなものの中に均衡(バランス)などないのだと言っているような気がするのだ。
秘密結社的な発想も、実は、イギリスが取り組んで果たせなかったのだと、もう子供じゃないんだから、秘密結社だの、Qアノンだの、ディープ・ステートだのバカなことは言ってるんじゃないと皮肉っているのだ。
「キングスマン」シリーズは、アクションやコメディ感もそうだが、実は裏読みがかなり楽しい。
ファースト”Manners maketh man”もありましたね!
自分の内面は人格に出るっていい言葉だった 戦争で死ぬのが英雄じゃな...
自分の内面は人格に出るっていい言葉だった
戦争で死ぬのが英雄じゃないって確かにって
誰かが誰かを殺さなきゃ行けない世界線なんておかしいし変えていかなきゃなのに気持ちだけで何も変わらないよな世界つよ、
冷や水
「ゴールデンサークル」で下降気味だったシリーズをどう立て直すのか?が最大の見どころ
「1917」的な塹壕戦や華麗な剣劇もたっぷりで楽しい
中盤まで誰が主役なのかがわからない構成
ディズニー傘下で下品な笑いはほぼ一掃されながらも正真正銘のキングスマンがここにある
揺るぎないフランチャイズは確立されました
前日譚で深化するキングスマンの世界
当初の全米公開予定から2年以上、延期に延期の末やっとお目見えした本作。その間映画館でポスターやフライヤーが出現するたびに何度ぬか喜びをしたことか。そんなこんなで自分の期待が過度に膨らみすぎているのではという不安さえ感じながら観に行ったが、杞憂だった。
前の2作に比べると、エグ味は少ない。みんなの頭が爆発するとか、人間がミンチにされるとか、あっけらかんと胴体チョンパみたいなレベルに相当するシュールなシーンはなかった。個人的には、初期の劇場予告がシリアスな雰囲気だったのでテイストを変えてくるんだろうなという心構えはしていたが、前作の延長線上のどぎつさを期待すると、少し肩透かしを食らうだろう。でも、スタイリッシュでテンポのよいアクションは健在だ。
コリン・ファースやタロン・エガートンを見たい気持ちもあったが、実際見てみると、正統な3作目の前に前日譚を持ってきてキャストを一新し、別の角度の物語を見せたことは、マンネリ化を避ける意味で正解のように思えた。
今回のおふざけは、第一次世界大戦当時の歴史上の人物をバンバン登場させているところだろう。とりあえずラスプーチンやサラエボ事件のことは事前におさらいしておくとより楽しめる。トム・ホランダーが一人三役で英独露を統治していたのは笑ってしまった。
史実や逸話そのままの描写が結構あり、それが物語の流れの中でとても上手に生かされている。ちなみに本作のパンフレットに、登場した実在の人物(マイナーな人まで12人)の説明と、彼らが作中でどのように描かれたかがコンパクトにまとめられている。このパンフ、当時の時代背景や過去2作の写真付きまとめもあって、小さいし薄いがなかなか便利だ。
史実を取り込みながらも創作は大胆に皮肉たっぷりに。右も左も、レーニンもヒトラーも全部陰謀かよ!
中盤で描かれるコンラッドの戦場での話は、キングスマンの雰囲気から離れた戦争映画のような出来だ。そこだけはおふざけがなく、顛末もインパクトがある。オーランドがキングスマンを創設する強い動機につながる大切なシークエンスだから、シリアス寄りの描写で重みを持たせたのはよかったと思う。
過去作のエージェントのコードネームの由来を匂わせる場面なども多々あり、最後まで見ると1作目にかちりと繋がる爽快感がある。Manners Maketh Man の決め台詞が似合う世界観は一貫している。
毎回眼福な壮年英国紳士アクションだが、レイフ・ファインズが頑張っていて(もちろんスタントも使ったんだろうけど)もう本当にありがとう、という感じだった。あんなに渋くて威厳があるのに、一番ドジっ子な行動が多いのがまたたまらない。英国紳士の身だしなみをばっちり決めた姿から、乱れ髪に無精髭の疲れた姿、ズボンを脱いで太ももを舐められるシーンまであってサービス満点。そこまでしてもらってよいのでしょうか。
最高級の仕立ての英国スタイルを表現した衣装や、緊迫感があって時に壮大な劇伴も、とにかくいちいちかっこよかった。今回はロシアつながりでチャイコフスキー。クラシックで盛り上げるのが上手い。
ラスプーチンが強烈過ぎて、ラスボスがちょっとかすんだのが惜しい。ネットのない時代に凄すぎる使用人情報網と、ヤギがいい仕事をしていた。
過去の作品においてハリーやエグジーが帯びた使命の背景が明確になったことで、1、2作の再鑑賞がまた一味違うものになりそうだ。楽しみを増やしてくれる、シリーズへの期待を裏切らない前日譚。
面白い
最近のアクション映画が思ったより不発気味が多い中、今作は鑑賞後とても満足しました。盛りだくさんのツッコミどころ満載でありながら演出が最高です。
中でもvsラ、、、が最高。思った以上に活劇してます。一押しです。羊さんもキレて大活躍します。どれを観ようか悩んだら、是非見てください。損はしません。
スカッとした展開に圧感
まさか、主役が親父だとは思わず、息子を注視していたら、
家族を亡くしても、友人を亡くしても、果敢にメソッドを貫いて行く初老親父の立ち直りは、
ストーリー全部に貫かれて心地良い。
三部作で1番切れ切れ良いと思う。
次作は悪の巨人が予告されて、ストーリー展開がより楽しみだぜ。
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