「それは求めていない面白さ」キングスマン ファースト・エージェント サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
それは求めていない面白さ
私にしては珍しく、過去作をしっかり見てからの鑑賞。これはあたり確実なのではと予告を初めて見た時から感じ、前作前々作を見て期待が最大まで高まった。笑いありアクションあり興奮ありの重厚感と品のある映画を期待していたのですが...
正直、期待はずれでした。
今までのキングスマンを想像しながら見ると全く違ったものになっていて、過去作が大好きな私にとっては盛大な肩透かしを食らった気分になった。
もちろん、面白くはある。
カメラワークは毎度の如く天才的だし、主人公に魅力が詰まっているのも変わらない。戦争映画はあまり好きではないが、これは見れてしまう。史実をベースとしながらキングスマンの世界を繰り広げるというストーリーはなかなか面白い。これが1作品目として公開されていたのなら、また違った評価になったのかもしれないなぁ。
前作前々作に増して、アクションと音楽の掛け合いが最高。中でもラスプーチンとの戦闘シーンはかなりいい。リス・エバンスの悪役っぷりが笑える。踊りながら決闘するなんてマシュー・ボーンっぽいなぁ笑 すごく好きなシーンでした。
好きなシーンといえば、冒頭。
キングスマンというタイトルの出し方が震える。待たせたな、ようやくスタートだ!と言わんばかりのかっこよさ。アメリカ大統領がお酒を持ってきてと頼むシーン。これもまた、面白かった。気に入って2回も使ってたし?笑
だが、これはキングスマンではない。
キレッキレなアクション、憧れの紳士グッズ、笑えるブラックジョーク、魅力的なキャラクター達、立ちはだかる悪役、1度世界に入ってしまえばあっという間にエンドロールというテンポの良さ...。これがキングスマンだと思う。本作はまるで無い。もちろん、100年前の話だから紳士グッズが無いのは当たり前だ。だけど、あのキレと笑いはどこにいったの?中だるみも酷く、退屈で眠たくなった。
見やすさとわかりやすさが魅力だったはず。
なのに、本作は重すぎるしわかりにくい。これじゃあ、人におすすめできない。内容の面白味は無く、純粋にスパイアクションとして楽しめない。キャラクターに関しても主人公とラスプーチン以外のキャラクターに興味が湧かず、ボスとの戦いも何ひとつとして緊迫感がなく楽しくもない。やっぱり、前々作以上の悪役はいないのだ。
結構ショックでした。
次回作からは1作品目と2作品目の面白さを取り戻して欲しいな。キングスマンの誕生の秘話じゃなくて、紳士グッズの誕生の話とかの方が面白いのかも。好きなシリーズなので、次に期待ですね。