「企業ドラマとしてはバランスが悪い」フォードvsフェラーリ バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)
企業ドラマとしてはバランスが悪い
レースシーンが迫力があるとかそういう部分は置いといてレビューします。プロパガンダかと思うぐらい同じようなレビューが多く、何故ここを指摘しないという部分をあえて言います。
ケン・マイルズとキャロル・シェルビーが主人公だから仕方ないとしても、焦点が集中しすぎていて、フォード自体の企業内の動きというのが、前半ではなんとなく描かれているが、後半ではほとんど孤立してしまっていて、フォードの会社側の主人公的立場であるリーの印象も薄れがちになってしまっている。そのため企業映画としては、上と中間と下の立場での人間ドラマのバランスが悪い。
せめてもっと描いてほしかったのは、レーサー間での関係性だ。
ル・マン24時間耐久レースは2人で交代で挑むわけで、ケン・マイルズのほかにもう1人いるわけだが、その人はチラリと映るだけでほとんど触れられない。ちょっと待ってくれ!いくらケン・マイルズが知識もテクニックも優れたレーサーで一匹狼かもしれないが、ル・マンは一瞬気を抜けば死が待っているという極限の状態、ケンが走っていない間はもう1人が無事に繋いでくれなければ、この挑戦自体が終わってしまうし、勝つこともできない。もう1人の存在も絶対に重要。つまりそのもう1人も戦友なのだ。
この人を雑に扱うのはいかがなものだろうか。
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