劇場公開日 2020年1月10日

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「「どーせ、そういう映画だろ?」と思っている方は是非劇場へ!」フォードvsフェラーリ キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「どーせ、そういう映画だろ?」と思っている方は是非劇場へ!

2020年1月12日
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史実については予備知識を入れず観賞。
車にも運転にもレースにもさほど興味のない私だが、本当に観て良かった。

男たちの「意地」あり「プライド」あり「へそ曲がり」あり「わがまま」あり「葛藤」あり「友情」あり、そして「イチャイチャ」あり。

そんな、言葉としては昨今なかなか使いづらくなった「男らしさ」が満載。(ただ、ここでいう「男らしさ」は、どちらかというと欠点や恥ずかしさを伴うモノも多いけど)

それだけでなく、家族論・組織論・ビジネス論…
いろいろな立場の登場人物が、それぞれの視点で問いかけてくる。

もちろんレースシーンの臨場感もさることながら、後半なんてどこでエンディングになってもいいくらい、延々と心を揺さぶられ続ける。
「さあ、彼ならどうする?そしてキミなら?」とずっと問いかけられている感じ。

これはいわゆる弱小チームの大逆転ドラマではない。
彼らが属するのはむしろ自動車メーカーとしては最大手。だからこそチャレンジすることに様々な障害が生まれる。

加えて、主人公は決して天才エリートではなく、才能には恵まれていながら、過去に大きな挫折をし、それぞれ販売店・修理工場を自営する二人。
ひょんな事で舞い込んだチャンスを通じて、二人が大きなチャレンジにむかっていく。

このわがままオヤジたちのキャラクターが「憎たらしいけど愛くるしい」ことに加えて、ケンの奥さんと息子役の二人がまた素晴らしいこと!(この奥さん、登場シーンからもうトリコになっちゃいました。)

ネタバレは避けるが、決して『Ford』社の勝利の栄光や技術力の高さを誇る映画ではない。(むしろ…)
そして、主人公が苦難を乗り越えてレースで優勝、表彰台でエンドロール…といった類の物語でもない。(むしろ…)

タイトルや予告編から「ハイハイ、そういう映画ね」と思っている方や、食わず嫌いで観ていない方がもしおられたら、是非劇場に足を運んでその目で確認して頂きたい。

キレンジャー