「「どーせ、そういう映画だろ?」と思っている方は是非劇場へ!」フォードvsフェラーリ キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
「どーせ、そういう映画だろ?」と思っている方は是非劇場へ!
史実については予備知識を入れず観賞。
車にも運転にもレースにもさほど興味のない私だが、本当に観て良かった。
男たちの「意地」あり「プライド」あり「へそ曲がり」あり「わがまま」あり「葛藤」あり「友情」あり、そして「イチャイチャ」あり。
そんな、言葉としては昨今なかなか使いづらくなった「男らしさ」が満載。(ただ、ここでいう「男らしさ」は、どちらかというと欠点や恥ずかしさを伴うモノも多いけど)
それだけでなく、家族論・組織論・ビジネス論…
いろいろな立場の登場人物が、それぞれの視点で問いかけてくる。
もちろんレースシーンの臨場感もさることながら、後半なんてどこでエンディングになってもいいくらい、延々と心を揺さぶられ続ける。
「さあ、彼ならどうする?そしてキミなら?」とずっと問いかけられている感じ。
これはいわゆる弱小チームの大逆転ドラマではない。
彼らが属するのはむしろ自動車メーカーとしては最大手。だからこそチャレンジすることに様々な障害が生まれる。
加えて、主人公は決して天才エリートではなく、才能には恵まれていながら、過去に大きな挫折をし、それぞれ販売店・修理工場を自営する二人。
ひょんな事で舞い込んだチャンスを通じて、二人が大きなチャレンジにむかっていく。
このわがままオヤジたちのキャラクターが「憎たらしいけど愛くるしい」ことに加えて、ケンの奥さんと息子役の二人がまた素晴らしいこと!(この奥さん、登場シーンからもうトリコになっちゃいました。)
ネタバレは避けるが、決して『Ford』社の勝利の栄光や技術力の高さを誇る映画ではない。(むしろ…)
そして、主人公が苦難を乗り越えてレースで優勝、表彰台でエンドロール…といった類の物語でもない。(むしろ…)
タイトルや予告編から「ハイハイ、そういう映画ね」と思っている方や、食わず嫌いで観ていない方がもしおられたら、是非劇場に足を運んでその目で確認して頂きたい。