アド・アストラのレビュー・感想・評価
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ここでも同じか。資源をめぐる戦い
映画「アド・アストラ」(ジェームズ・グレイ監督)から。
あまりにもスケールが大きすぎるのか、
はたまた、父子愛がテーマなら、舞台は宇宙でなくても、と
消化不良のまま、観終わった。
主人公が、火星に行くまでのトランジットで、月へ。
その月で遭遇したのが、各国の資源争いに伴う襲撃。
彼は「ここでも同じか。資源をめぐる戦い」と呟く。
これがいちばん印象に残るシーンとは、申し訳ないが、
このシーンがあることで、監督は何を伝えたかったのか、
海王星までの道のり、一番の危険なシーンがこの場面なのだが、
さっぱり、わからなかった。(汗)
人間にとって一番身近な「月」の、どんな資源を争っているのか、
それさえもあまり理解できない設定で、ますます困惑した。
月を中継して、他の惑星へ行く設定は、何度も観てきたが、
月面着陸は、アポロ11号により何十年も前に実現したのに、
未だ、月面基地は未完成のままが、現実の世界だから、
いくらSFと言えども、リアル感が感じられなかったなぁ。
宇宙と父と我が心の旅路の果てに
日テレ(日)夜の人気バラエティー番組の不定期企画“中岡宇宙の旅”。
なんだか『SW』みたいな展開になってきたけど、寧ろ本作がベースだと思う。
…と、まあ、そんな事はどーでもいいとして、
地球外生命体の探求に人生を懸け、16年前に海王星付近で消息を絶った父。
偉大な宇宙飛行士だった父と同じ道を進み、父を捜す為、大宇宙へ旅立つ息子。
何ともドラマチックで、壮大な宇宙への冒険を期待させる内容。
…が、公開したら、圧倒的に厳しい声が。
個人的には言われるほど悪くなかった。
まず、これが監督ジェームズ・グレイの作風。
インディ・ジョーンズのモデルになった実在の冒険家を描いた『ロスト・シティZ』が、エンタメ・アドベンチャーかと思いきやシリアスな人間ドラマタッチだった事もあり、本作もそうなんだろうと。
また、以前『インターステラー』のレビューでも書いたが、藤子・F・不二雄のSF短編で、未知の宇宙への旅立ち、大宇宙の神秘、個人の内面を掘り下げる作品があり、こういう知的SFが好き。
『2001年宇宙の旅』『インターステラー』と並ぶ知的SFの新たな傑作誕生!…とまではいかなかったが、好きなタイプのSF映画。
まあ、厳しい声も分からんではない。
作風は淡々と静か、主に主人公の語りで展開していく。
ド派手ド迫力の見せ場やスペクタクル・シーンはあまりナシ。
『インターステラー』ほどの壮大さ、『2001年宇宙の旅』ほどの圧倒的な哲学性にも欠ける。
が、しかし、
名手ホイテ・ヴァン・ホイテマによる幻想的な宇宙の映像、
リアリティーを追求したセットやロケ撮影、視覚効果や音響など第一級の映画技術、
主人公のドラマチックな旅立ちに始まり、
月面でのチェイス、軍の陰謀、父の衝撃の真実…スリリング性もある。
そして、根底にある主人公の苦悩・葛藤、父子のドラマが深みをもたらす。
これがハラハラドキドキワクワクの娯楽SFだったら期待外れも無理ないが、このシリアスで静かな作風は本作に合っていると思う。
同性でも惚れ惚れするほどのカッコよさ、魅力、スターのオーラを消し、抑えたブラッド・ピットの演技が絶品。アップが多く、細かな表情の変化のみで主人公の複雑な心情を体現している。
父役トミー・リー・ジョーンズも出番は少ないが存在感と印象を残す。
この人気スターと名優の共演も見ものであり、兼ねてから見たかった。
知らされた父の衝撃の真実。
実は父は生きており、太陽系を滅ぼしかねない危険な計画を実行しようとしている…。
課せられた極秘ミッション。計画の阻止と、必要あらば父の暗殺…。
家庭を顧みなかった父。
記録映像に残された、目的達成の為ならばクルーの命さえ犠牲に。
父は狂人なのか…?
肯定は出来ないが、多少たりとも分からんでもない。
まるで観光地のように侵食された月面基地。
宇宙に進出しても変わらない資源争い、陰謀…。
そんな人間たちの愚かさに失望。
だからより一層、宇宙の深遠へ入り込んで行く。
救いと答えを求めてーーー。
命令に背いてまで、父を捜す事に執着。
父と同じ道を歩んだが、父と同じ過ちを。
あるトラブルからクルーを死なす。自分もまた、宇宙の深遠へ入り込んで行く。
宇宙は人の心を惑わし、狂気に取り憑かれ、脆く弱い人間如きが足を踏み入れてはならない聖域なのか…?
主人公ロイは、終始苦渋の表情。見るからに生き方に悩み、苦しんでいる。
離婚を経験しており、他人とも親密な関係を築けない。
ミッション中、大宇宙で一人に。
孤独には慣れている筈なのに…、何だこの、表しきれぬ寂しさ、悲しさは…?
自分は本当はこんなにも、人の温もり、人との関係を欲していたのか…?
クライマックスの父との再会は、決して感動的なものではないが、胸に迫るものがある。
可愛い子には旅をさせろ、と言う。
父捜しの旅を通して描かれる、我が心の旅路。
宇宙の果てで見付けたものは…
父が我が身を犠牲にし、自分は与える事の出来なかった、息子への人生の示しと尊さ。
無論これは自分なりの解釈で、Wikipediaなんか見ると違っている。
でも、自分はそう感じた。
それが知的SFの魅力であり、醍醐味だと思う。
宇宙と人の心が無限に拡がるのと等しいように。
お父さんの話の方が100倍見たかった
何故お父さんを探しに行く側に焦点を当てたのか?
宇宙の果てで、未確認生物を探す父の話の方が100倍面白かった。
争う同僚、なかなか見つからない生物、美しい宇宙の果て…
実際には息子が父を探しに行って帰ってくるだけの話。
内容が無くあまりにも眠くて途中寝て、猿のシーンで飛び起きてしまった。
ただ、月に行けるようになって、観光地化されているという描写が妙にリアルで面白かった。近い将来こんな風に気軽に月に行くようになるのではないか。
月や火星の基地のつくりも面白かった。
ドルビーシネマで見ると、内容が無くても映像と音響でカバーできると思っているのだが、それにしても何だかなぁ…という映画だった。
残念ながら、解らなかった
私には、ちょっと着いていけなかった。
途中に挿入されるインシデントに意味が理解できないものがあった。
月で起きている紛争とか、漂流船のサル(ゴリラ?)とか、、、
宇宙軍の思惑も今一つ。
大佐(だったか?ドナルド・サザーランド)の役割も焦点がボケているような、、、
ビジュアルは新しさもあって、SF作品としての見ごたえはあった。
月へ定期便のようなロケットで行き来できるようになっていて、月側の施設には麻薬犬を連れた警備員がいたり国際便の看板があったりと、アメリカ的なリアリズムがあって面白い。
一方、火星にはまだ特別な人しか行けないようで、火星で生まれ育った所長のいる施設は無機質で“いかにも”な昔の近未来イメージのままだった。
到底リラックスできそうにないリラックスルームとか。
主人公ロイ(ブラッド・ピット)は火星から海王星へ向かう過程で孤独のストレスに苦しむ。ここで「2001年宇宙の旅」的な精神世界の展開を匂わせたが、そうでもない。
割りとあっさり父親(トミー・リー・ジョーンズ)を海王星の脇で見つける。
この親父が16年間も宇宙空間で一人で生き続けられたのは、まぁ、長期探査宇宙船だからそれなりの設備や食料があったからだと解釈しよう。
地球外知的生命体を探索していると言いながら海王星付近に止まっていたのは、太陽系外に出るまでの設備はないからその場で電子的探索を続けていたのだと解釈しよう。
だが、地球に降りそそぐ何とかいう電流(?)は親父の探査宇宙船の反物質装置によって流れ出しているらしいが、何のための装置だか意味不明。
狂った乗組員たちが何かしでかしたみたいだが、それならなぜ今ごろになって影響が出るのか?
ちゃんと説明があったのかもしれないが、私には読み取る力はなかった。
反物質といえば「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」を思い出す。懐かしい!
ブラピの地球への帰路は往路に比べてどうなのかとも思う。
尺的にここに時間をかけられないのは分かるが、、、
一番面白かったのは、冒頭のブラピの超落下シーンだ。
イライラ感満載!
出だしのシーンから凄いって思った。
が・・・精神面が先行して別に宇宙ものでなくて良いじゃん!?
宇宙旅行が今の飛行機旅行みたいになってるシーンも適当でムカつく。
今と未来が適当にあわさって・・イライラしてきた。
ブラピさん・・・台本読んで映画決めてるの???
映像や空気感はよい。ストーリーには新鮮味なし。
CM等の前情報が一切ない状態で、鑑賞しました。
近未来の宇宙旅行を描くロードムービーとしては、非常に面白かったです。
ロケット内の過ごし方や、経由地で巻き込まれるトラブルや…。
しかし、問題のストーリー本体には、特に奥行きを感じなかったです。
全部見終わっての印象は、
スケールと美術を凄くした「幸せの青い鳥」を見た、って感じ。
非常に寓話的に覚えました。
私が寓話に対して抱く印象は、「鑑賞者にありがたい教訓を与えようとしてくれるが、
ストーリー自体は面白くはないもの」。
この作品には、何が足りなかったのでしょうか。
①ブラッド・ピットが常に冷静沈着という設定で、とにかくパニック感が足りない。
(このスーパーマンは、きっと無難に解決しちゃうんだろうなーという冷めた感覚)
②宇宙での孤独が人を狂わせることを強調するあまり、とにかく全編が暗い。
③ブラピとトミー・リー・ジョーンズの間の、幼少期における心の交流の描写が少なく、
ブラピが父を追いかける個人的な理由が非常に希薄すぎる。単に命令だから?
ブラピになかなか感情移入できない。
④「地球外生命体はいなかった」と言わせてしまうほど、世界観の広がりのなさ。
特に④ですが、気になった描写は、以下の通り。
・月にむかうロケット内で、枕とブランケットを有料で提供してもらう
・月面の旅客ターミナルに、SUBWAYがテナントとして入っている
・火星の休憩室の描写(プロジェクタ―から投影される映像と、スピーカーからの音楽)
・火星で音声の収録をするのが、よくある無音室
・「地球外生命体はいなかった」
成層圏?にまで伸びるアンテナを冒頭で描き、惑星感ロケットの映像を作りこんで観客をワクワクさせておきながら、自分で世界観をスケールダウンさせている印象です。
リアリティといえば聞こえはいいですが、果たしてSF物を見にくる観客の望んでいたものでしょうか?違うと思います。
最後に、ブラピの演技については、色気と暴力性を匂わせる「ファイトクラブ」のほうが、断然好きです。
恰好をつけているブラピは好きですが、達観・諦観しているイケメンおじさんの役は、どうも…。
何度も睡魔に
ハードSFと書いてあった、感想を見たが、違うと思う。宇宙空間での、主人公の行動が、科学的ではないでしょう。そんなのありかなぁと思ってしまった。
月面での追撃も何だったのか。随所に、未回収の部分を残して終わった。よくも地球に帰ってこれたものだ。
名優⁉︎?といっても、全ての参加作品が優れている訳では無いんだな、という想いを強くした。
プランB作品にしては。
ブラピでプランB製作となったら間違いない映画、、、と思ったら、なんですかね?これ?
インターステラーの縮小版といった感じなのか、、
多分、リブタイラーを配役したのはアルマゲドンのオマージュ?、、っておい!
この映画、、、一体何だったんだ?
途中にマントヒヒみたいなのに襲われたのは何なんだ?
サージの説明も曖昧で誰が何の為にサージって行ってたの?
自然災害だったのか?人為的なテロ行為だったのか?
途中、寝そうになったから見逃したのだろう。
ブラピ、火星から宇宙船に無理くり乗らなければ死人は出なかったよ。
ここまで、潔く「フリと回収」は一切行いません!って映画もなかなか無い。
結局「家族は大事にしろよ!」「仕事に夢中になるなよ」って宇宙規模で語らせた作品。
ドナルドサザーランドが元気な姿を見れたトコは星5つ
駄作と断言できる中身
冗長的な流れ
安っぽいメッセージ
目を見張る所もない宇宙シーン
糞なストーリーライン、実際プロットすら無いのではないだろうか?
主人公の無茶のおかげで死ぬハメになった3人の乗組員の家族を描いた方がよほどメッセージ性があるだろう。
盛り込まれたメッセージも
自分の利ばかり追及したら魂を失うよ
この世は神が生み出した人間しかいないよ
身近な隣人を愛しなさいよ
と、キリスト教なら涙を流して喜ぶ聖書通りのコピペに興ざめ。
宇宙空間を精神世界のメタファーとして描いたのだろうが、それも生かしきれていない。
せめて主人公が帰還後に投獄され自由を失う結末であれば、自らの行いの代償としてストーリーやメッセージに結もついただろうに・・
何が作りたかったんだよ この映画(笑)
SF要素はなく完全にヒューマンドラマだが、それでも監督は2001年宇宙の旅を意識した と言っているのだから 逆に凄い。
非常に完成度の低い駄作です。
父と子の物語
これは、インターステラーのような科学を題材とした宇宙物語でもなく、
2001年宇宙の旅のような神秘的な物語でもない。
ただ、冒頭の転落シーンではいきなりハラハラさせられたし、
月がまるで地球化されたのごとく旅行感覚で行けてしまうシーンであったり、
資源を求める抗争による銃撃シーンや、
実験動物に襲われるシーン、
火星、そして海王星へ向かう場面など、
今までのSFとしては一見違う角度から宇宙を捉えているのは新鮮味があった。
宇宙映画・SF映画としては、
映像・音楽ともに素晴らしいと思ったが、
でも確かにストーリーとしては、
一連の伏線と思われるシーンが結末になんの絡みもなく、
単調と思われるかもしれない映画だと思う。
しかし、これは父と子の物語
イかれた親父が地球を攻撃していると思われ、
それをプラピが阻止しに行くという物語の過程の中で、
最後にやっとこさ会えた瞬間の、
トミージョーンズの言葉は少ないがさすがといえる演技と、
幼い頃から父親と距離があった子を演じるプラピの演技
もう二人はええおっさんなのだが、
そのなんとも言えない父と子の間
(しかも地球から何万光年離れた海王星の宇宙で二人っきり)
「船長は船とともに死ぬ」と言いつつまだ未知の生命体を追い求めようとする父親に対して、
「お互いが全てだ」という息子。
クルー全員殺してまで、船に何十年も独り漂っていた父親と
その父親との葛藤と戦ってきた息子の物語としてみれば、
インターステラーの父と娘の愛の物語よりも、
科学の視点や、映画としての巧妙なストーリーがない分
熱く感じるものがあるかもしれません
予定調和の作品
予定調和のおはなしを確認作業のために観る感じだった。海王星は遠いんだな、そしてよく一人なのに精神を病まなかったな、ということくらい。プラピのせいで3人死んだけど、帰ってからのお咎めもなかったようで、サージをうまく処理できた功労によるものなのかな?
中途半端
SFとヒューマンドラマを足して4で割った感じの映画だと思いました。
ネタバレを含みます。
宇宙に知的生命体を探索に行って行方不明になった父親を、主人公が探しに行きその先で「驚き」の何かがある映画なんだと(SFっぽい展開があるはず!!と)思って見てましたが、ただ宇宙の滞在が長くなった乗組員が地球に帰りたくなって反乱して、お父ちゃんその乗組員殺しちゃったし、知的生命体まだ探したいから帰りたくなくて残ってたんだよね、って展開。
父親の失踪により他人に愛情を向けることを苦手とする主人公が、この旅で克服する、というヒューマンドラマとして最初から観られれば良かったのですが、SFを全面に出してましたからね。観てるときにはそこ期待してるから、超残念な展開でした。
ヒューマンドラマとして考えても、各パートごとの物語が淡白すぎて満足はできないかなと思いました。あと見終わって、このパート必要か、と疑問符が浮かぶものも、あったり(救難信号が出ている宇宙船で実験動物に襲われる。何の伏線でもなかった)と、やはりオススメできませんね。
まあ、近未来の宇宙科学や、宇宙での心理的な変化についてリアリティを追求して描きたかったのかなと。そう思って見るなら、見ごたえのある映画かなと思いました。「あー、きっとこんなふうに心理状態は常にチェックするんだろうなー」とか、「おかしくなるんだろうなー」とか、「宇宙でも強盗とかでてくるんだろうなー」って感じで見れば面白いかもしれません。
(๑˃̵ᴗ˂̵)メッセージが、、、何なの?
遠く父より、近くの妻って事なのかな?
だったら妻のことをもっと描いて欲しかったな。
親父と言い争いをする場面は海王星、、、、他人もおらず現実感が全く、なくどうでもいいってことでしょ?
よくわからん映画だった。
父=神の孤独と人の孤独
レビューで評判が悪いのもわかります。
これはキリスト教の感覚を知っていないと理解できない話です。「自分探し」の小さな話と誤読してしまうのもその辺が理由でしょう。
しかし、これは神と人類についての映画です。
「父は死亡した」「いや、姿を隠しているだけだ」
神は死んだのか、どこかに存在するのか。
宇宙の彼方に消えた主人公の父が「サージ」の源とされているのも、神がしばしば雷として表現されることを想起させます。
それに、主人公の妻の名がイヴ。その夫である主人公は神の直接の息子であるアダムとして暗示されています。
宇宙の探査が進み、人類がどんどん宇宙に進出したら、宇宙は神秘性を失い、通俗化していきます。
主人公がテーマパークのようになった月に苛立ちを覚えるのは、そのまま神殿に巣食う商人に怒りを表したキリストです。
このように宇宙が神秘性を失っても、人類は「神」の存在を感じ続けることができるのか、というテーマが伏在しています。
一方で、非常に現代的なのが、神なんかがいるということになると逆に困ったことも起こる(宗教対立など)。もはや神は人類の敵ではないかという転倒も描かれています。
それでは、「神なんかいない、いらない」ということになればよいのか。でも人は今でも神に祈るし、人が死んだら神のもとへと送り出します。(そういうシーンがわざとらしい感じもするくらいに出てきます)
しかし、神と人、実は共通するところもあり、恐ろしく孤独な存在だということです。後半はそこにテーマが絞られていくように感じました。
暗く、孤独な無の彼方へ…
全編通して、モノトーンな画面と暗いストーリーの展開に、途中やや中弛みで、眠気との闘いでした。
それでも、ブラピの魅力と最後に登場のトミー・リー・ジョーンズの存在感で、作品としての重みを感じさせるのは、カリスマ的な役者なんでしょうね。
宇宙飛行士の父が、ミッション途中で失踪し、それ以来、心を閉ざした息子。その息子役のブラピが父探しに、宇宙に旅立つストーリー。
この旅は、父と子の親子の絆を確かめると共に、息子自身にとっての自分探しがテーマになっていると思います。
宇宙ステーションや惑星旅行が可能となった近未来の設定で、海王星に行くまでに、地球から月、月から火星へと飛行機を乗り継ぐように、ロケットを乗り継ぐのは、いつか現実になるだろう、というリアリティさを感じました。
ただ、最後に海王星から脱出場面においては、あまりにマンガチックで、それはあり得ないだろう…と思えましたが…(笑)
大切なのは、遠い彼方の夢を追うことなのか…、それとも身近な人との幸せを追うことなのか…。重い選択ですね。
主役ブラピ、トミーリー、サザランド3人の平均年齢70歳
地球はソーラーシステム(太陽系)の惑星の一つで、太陽の重力に支配されて太陽の周りを24時間で1回転しながら公転している。地球のほかには、マーキュリー(水星)、ヴィナス(金星)、マーズ(火星)、ジュピター(木星)、サターン(土星)、ウラヌス(天王星)、ネプチューン(海王星)の7つの惑星が、ほぼ同じ平面状で、円形に近い円軌道にのって太陽の周りを公転している。学校の科学の時間に、太陽から近い順に、水、金、地、火、木、土、天、海、瞑、(スイキンチカモクドテンカイメイ)と記憶させられたが、最後のプルート(冥王星)は、サイズも質量もほかの惑星とは異なることが分かって、2006年に国際天文学連合会で、惑星の分類から外された。プルートは、アメリカで人気漫画の主人公の犬の名前になっているし、根強い人気のある惑星だったので、ソーラーシステムのプラネットの仲間ではなくなったことで随分と論争が続いた。
ウラヌス(天王星)も)、ネプチューン(海王星)も、氷でできた惑星だ。サターン(土星)には大きな輪が付いていて、輪の厚さは150メートル、小さなチリや岩石の混じった氷の粒子からできている。月は、地球のまわりを回る、唯一の衛星で、地球の3分の1の大きさだ。
この映画の時代背景は「近未来」。宇宙飛行士ブラッド ピットが月から火星へ、そして木星、土星を通り過ぎて、父を探して海王星まで旅行する。浮遊感のある宇宙で、音のない空間に浮かんでいる惑星の姿が、それぞれとても美しい。赤い火星、輪のある土星、青い海王星がことさら美しく感動的だ。
ストーリーは
30年前、マクブライト司令官はクルーを率いて宇宙に生命体を探索に出たまま帰らなかった。16年前に彼らが海王星に到着したことまではわかっているが、その後消息が絶えてしまった。リマ計画とよばれるこのプロジェクトは、何かの事故で宇宙船乗務員は全員死亡したものと判断され、マクブライト司令官は国民的ヒーローとして尊敬され人々に記憶された。当時幼かった息子のロイは、父親のあとを追って自分も宇宙飛行士になった。
ある日、ロイが宇宙基地で訓練中、突然原因不明の電流(セージ)が襲い犠牲者が多数出たが、ロイは九死に一生を得る。怪我が癒えたころロイは、米軍本部に召還され、大佐から意外な命令を受ける。リマ計画の責任者だった父親は、16年前に姿を消し死亡したものと思われていたが、海王星で生きているらしい。突然地球を襲った殺人的セージは、海王星に居る父親が意図的に地球に送信しているらしい。それは宇宙に残っていた反物質(anti matter)のパワーを利用したもので、このエネルギーは途方もない破壊力をもち、制御不能な連鎖反応は、ソーラーシステムを全部破壊する恐れがある。ロイは火星まで行って、父親とコンタクトを取って欲しい、という命令だった。米軍首脳部は、マクブライト司令官が意図的に反物質を使って地球を攻撃していると考え、ロイを火星に派遣して父親をおびき出して殺して、彼のもくろみを破壊しようと考えていた。ロイは、亡くなったと思い込んでいた父親が生きていると言われて、半信半疑で命令されるまま父親探しに宇宙船、ケフェウス号に乗る。
ロイはかつての父親の親友だったというブルイット大佐とともに月の宇宙基地に行くが、月の資源を奪おうとする盗賊団に襲われてクルーのほとんどを殺される。ブルイット大佐も怪我をして一緒に火星まで行けなくなった。ロイは一人で火星に到着、軍に命令されるまま父のいる基地と交信し、軍に与えられたメッセージを読んだ。毎日それを繰り返されて、ロイは、とうとう自分が父親に向かって話しかけていると思うと、感情が勝って子供だった自分が父親にしてもらった思い出などを語り掛けることを止められなかった。それがもとでロイは軍の任務から解任される。ロイは基地の中でヘレンと言う娘に出会って、父親が写っている秘密のヴィデオをみせてもらう。彼女は父親が司令官だった隊員を両親のもった、火星生まれの女性だった。彼女の助けを借りて海王星に向かうケフェウス号に忍び込むが、船内でロイを排除しようとする3人のクルーを揉み合いになって、3人は死んでしまう。ロイは一人で海王星に行く。
海王星でロイを待っていたのは父親ただ一人だった。クルーは、司令官と意見の違いから反乱をおこして全員死亡していた。この争いのために損傷をうけた基地に反物質装置が発動して、地球にサージを引き起こしたのだった。宇宙に生命体は居ないことがわかった。ロイは父親を説得し宇宙服を着せて、海王星基地を脱出し、ケフェウス号に乗船しようとする。しかし父親は自ら命綱を絶ち宇宙空間に去っていく。
というおはなし。
ストーリーはメロドラマ。浪花節っぽい。息子が父の汚名を晴らそうと、父親探しの旅に出て一緒に帰ろうとするが、それがかなわない。哀しい息子の、父を慕う気持ちと、立派になった息子を見て、もう思い残すことはないと自ら去っていく父親。
ブラピが万感の思いで、口を閉ざしうつむく父に宇宙服を着せるシーンには泣ける。ブラピファンはここで号泣する。お父さん、あなたを尊敬していました。お父さんに誇ってもらいたくて今まで頑張ってきました。そう訴える息子の悲しみに満ちた目。ピットの感情を極力抑えた哀しい顔って、世界一哀しい顔だ。
それにしてもストーリーが、つっこみどころ満載。
宇宙船が損傷をうけたために反物質が発動して、海王星発、地球行きの、太陽系をまるごと破壊するほどのセージが襲う、それで人類全滅って、ちょっと無理な科学論理かもしれない。また最後にロイは、空気の無い宇宙なのに、宇宙に浮かんでいるケフェウス号で搭載していた原子爆弾の爆発波で、海王星から地球まで帰って来るって、いうのもちょっと無理っぽい。また、16年間たった一人で海王星で壊れた宇宙船で生き残っていた父親は、何を飲んで何を食べていたのだろうか。帰り、ロイは海王星から直接地球に帰って来たのに、行きは月に途中下車してクルー全員盗賊団に襲われて死んだりしたのは、まったく無駄な寄り道だったのか。月で襲った盗賊団はクルーを殺しただけで何も奪うものなど無かったうえ、自分達も全滅したが、それもただの無駄死になのか。なにか意味があったのか。また月に行く宇宙船で、殺人ゴリラが、飛行士の柔らかい体でなく宇宙服の強力なヘルメットを食い破り、顔を攻撃して殺しているがそこに意味があったのか。また殺人ゴリラ2頭は、なにを食べて宇宙船の中で生き残っていたのだろうか。それにしても殺人ゴリラの登場は、「エイリアン」の怖さに比べたら、全然まったく怖くなかった。
それと後ろ姿と横顔しか画面に出てこないロイの妻は、映画の初めのシーンで鍵を置いて出ていくところで始まって、映画の最後で戻って来るが、どうして? 別れようとしたり、もどってきたり、もうどっちでもいいからはっきりしなさい。
総じて、ストーリーに筋が通っていなくて、子供っぽくで、宇宙科学の知識に乏しい。役者は良い役者を使っている。しかし、84歳のドナルドサザランド、73歳のトミーリー、55歳のブラッド ピット、この映画の主役3人の平均年齢が70歳って、どうなんだろう。映画界は本気で若い優秀な役者を育てようとしていないのではないか。困ったことだ。
宇宙の画像は、「ゼロ グラビテイー」(2013)よりも、CGやモーションピクチャーの技術が進んでいるから、ずっと良い。でも同じように命綱で結びあってるブラピの鎖を自ら外して宇宙の藻屑として消えていくトミーリーよりも、「ゼロ グラフィテイ」で同じようにサンドラ ブロックの命綱を自ら切って、宇宙の闇に消えていったジョージ クルーニーを見る方が、はるかに悲しい。
この映画を「宇宙の旅」(2001)と「アポロ13号」(1995)と「インターステラ―」を足して割ったような映画だという人が居たが、私の目には、この映画は、人情っぽい中村宙哉の漫画「宇宙兄弟」と、ひとりきり宇宙で危機に立ち向かうサンドラ ブロックの名作「ゼロ グラビテイー」に限りなく近い。漫画「宇宙兄弟」も今や佳境に入って、太陽の異常フレアで、月に取り残されたNASAのムっちゃんを、ロシアクルーの弟ヒビトが救えるか、救えないのか、、、とても大事なところで、とてもわくわくして次作を待っているところだ。
空は無限に高い。宇宙は広くて大きい。宇宙の写真や画面を眺めるのが大好きな人、宇宙遊泳をしてみたい人は、この映画見逃してはいけない。月から眺めるブルーマーブル(地球)の美しさ。赤い火星、輪のある土星、巨大な木星。音の無い世界で確かに浮かんでいる蒼い海王星の美しさは、言葉に変えられない。美しい惑星の横で宇宙を浮遊するを飛行士の姿を映す映像で、ベートーベンの「月光」が静かに奏でられている。感動的だ。
「惑星ソラリス」見られる人なら
いわゆるSFやエンタメを求めている人には向かない作品かと。
SFの皮かぶった若干小難しいヒューマンドラマです。雰囲気が静謐なのでそれが合えば結構楽しめるはず。
わりと突っ込みどころは多いです。距離とか時間とか気にしてしまうとダメです。その辺は努めて無視しましょう。
ただ、途中出てくる猿と、ラストシーンに出てくる別れた妻はちょっとあかんかったかな。。
特にあまりに変わっていない元妻は作品のスケール感を一気に小さくしてしまった印象。
そんな感じ。
SFではなく、ヒューマンドラマ
予告の感じからするに何かが地球を脅かすSFモノかと思いきや、一人の宇宙飛行士の心情を追うヒューマンドラマだった。
しかしそれがつまらないかと言われるとそうでもなく、映像の美しさも相まってそこそこ楽しめた。
冒頭の宇宙ステーションからの落下シーンが印象的。
全105件中、21~40件目を表示