「【ロードムービー型ヒューマンドラマ×SF映画⁈】」アド・アストラ 3104arataさんの映画レビュー(感想・評価)
【ロードムービー型ヒューマンドラマ×SF映画⁈】
・2019年公開のアメリカのSFスリラー映画。
・かつて地球外生命体の探索に乗り出して行方知れずとなった有名な宇宙飛行士。その息子ロイが、地球で4万人の犠牲者を出したサージ電流を食い止めるために、父がいるであろう海王星に向かっていく…という大枠ストーリー。
[お薦めのポイント]
・SF映画とは思えぬほどの、淡々としたダークな雰囲気
・「人との繋がりとは」を考えさせる哲学的な一作
・ロードムービー好きにお勧め⁈
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[物語]
・仕事にとりつかれて身近な人をおざなりしてきた主人公ロイが、同じく地球外生命体にとりつかれて全ての繋がりを断とうとしている父を探しに海王星という目的地に向けて旅をしていく。そんなロードムービーでした。終始、ロイの視点でナレーションが入ることで、ロイの葛藤を描きます。そして、父との再開によって最終的にロイが一歩前へ進みだす。ヒューマンドラマとしてはささやかな一歩前進、なのですが、それを宇宙を旅しながら…という壮大なスケールで描くところが素敵ですね。ドンチャン、ハラハラを求める映画ではないものの、多少のそれらもありつつ、主人公の葛藤をテーマに、そのゴールへ向けて淡々と進んでいく、まるで文学作品のようでした。
[演出]
・ロイのナレーションしかり、影の使い方しかり、淡々とダークな雰囲気をしっかり演出されており、派手な演出はないにもかかわらず映画の世界に没頭させてくれる作品に感じました。その演出を十二分に感じるには、映画館で観ることが一番良いと思いました。部屋で見るならば、電気を消して、生活音を極力消してごらんになることをお勧めします。この世界観に没頭できない状態で鑑賞し続けても、おそらく観てる途中で楽しくない…と消してしまいそうな気がする映画です。
[映像]
・白と黒の世界、をしっかりと表現されている気がしました。宇宙服の白、宇宙の黒。それ以外は控え目に。これもまた淡々とダークな雰囲気、世界観を築いてくれる一つかもしれませんね。映像技術的にも素晴らしく、本当に宇宙を観ているかのように没頭できます。
[音楽]
・とにかく控えめ。特に何も感じることがない、状態がベストかと。変に盛り上げてもこの映画の雰囲気とアンマッチかと思うので。そういう意味では、邪魔せずに、すーっと鑑賞できるように支えてくれている素敵な音楽なのかもしれませんね。
[演技・配役]
・主演のブラッド・ピットさんが字幕で「僕」と表現されているように、大人なのに父親を忘れられない子供っぽさが残っている雰囲気をしっかりと演じられているように感じました。いつも見る「かっこよさ」とはどこか違う、「うちに潜む弱さ」が観れて面白かったです。父親役にトミー・リー・ジョーンズさんを起用されているのも個人的に痺れました。映画[メン・イン・ブラック]しかりBOSSのCMしかり映画[スペース・カウボーイ]しかり…宇宙モノといえばこの人で間違いないですよね。ちょい役のドナルド・サザーランドさんも個人的にはぐっと来ました。
[全体]
・パッケージを見た時は「(単なる)大作系SF映画」と思いましたが、実際に鑑賞すると、むしろヒューマンドラマ感が非常に強い作品でした。しかも、そのドラマ部分がわかりやすい。主人公が抱える葛藤に対してどう向き合うか、どう行動するか、はシンプルに答えを出してくれる。しかし、テーマ的にもっと広く、「繋がりとは…」「大切なものとは…」「どう生きるべきか…」みたいな様々なものが、観ている私の日常生活とリンクして瞬時に考えさせてくれる哲学観のある映画のように感じました。再度申し上げますが、せっかくご覧になるなら、電気を全て消して、できるだけ音量を上げて、生活音を消して、しっかりと映画の世界にのめりこんで鑑賞されることをお勧めします!ありがとうございました。
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