「疑問点は多々ありますが…」アド・アストラ 刺繍屋さんの映画レビュー(感想・評価)
疑問点は多々ありますが…
期待値をかなり下げたお蔭か、皆様のレビューを拝読させて頂いて、どういう方向性の作品か理解した上で鑑賞したのが良かったのか、個人的には楽しめましたし、なかなか良い映画だと思います。
まぁ確かに説明不足だったり、ブラッド・ピットさんの語りに加え、BGMがゆったりとした静かなものだったので眠気を誘われるのも分かりますが、途中に挟まるアクシデントなどのお陰で、僕は眠くなる事はありませんでしたよ。
評価が下がっている要因についてですが、多分、先日観た“ゴールデンリバー”と同じではないかと思います。
あの作品も“殺し屋の登場する西部劇”との事たったので、往年の西部劇を思い浮かべて観に行かれた方にはかなり不評だったみたいですが、アメリカ西部開拓時代を舞台にした兄弟の物語だとして見れば良い作品なんですよね。
アド・アストラも同様にアクションやサスペンスを過度に期待せず(個人的には結構ハラハラする場面もありましたが)アドベンチャーやスリラーではない事を分かった上で、宇宙を舞台にした親子のー父と息子の物語としたら、なかなか良い作品ではないかと思います。
男の子にとって父親はいつか乗り越えなければならない一つの目標ですし、それが特に同じ職業に就いてしまえば尚更ですね。
ブラッド・ピットさん、優秀な宇宙飛行士ながら、孤独を愛し、周りとのコミュニケーションが上手く取れず、平気を装いながら実は父親との関係が心の中に大きな傷となって残る主人公を好演していたと思います。
徐々にその心中が変化していく様も上手く表現されてましたね。
僕はロイと正反対でメンタルは豆腐並みですが、独りを望んでいるという点は一緒だったりして(実際に完全に独りになると淋しいと心中を吐露とするあのセリフは胸に響きました)ロイに共感出来ましたし、これは是非、男性諸氏に観て欲しい作品ですね。