「SFであり、心の旅」アド・アストラ shikaさんの映画レビュー(感想・評価)
SFであり、心の旅
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映画を観ることを決めたのはポスターのデザインに心引かれたからだが、なんとなく『ゼロ・グラビティ』の様なサバイバル物かと思っていた。確かに、劇中で主人公は何度も破滅的な局面に直面するが、恐ろしい程の冷静さで全て対処してしまうので、サバイバル物とは少し異なる。
この映画の本質は、父を巡る旅に出る主人公の思索の物語なのだと思う。劇中、何度も現れる心理検査の場面は、最初平静を保っていた主人公が、地球から離れていく(=父との距離が縮まる)につれて、隠していた想いを吐露する様を写し出している。映像が主人公のみを写すカットが多いため、観る人も主人公の想いに考えを巡らせるようになっていく。
父を巡る旅がどうなったかは是非ご自分で確かめて頂きたいが、表情や仕草で魅せる描写が美しく、時間を忘れて観入った、傑作。
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