劇場公開日 2019年9月20日

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「今の若者の心に寄り添いつつも、なぜだか昔の自分と再会したような余韻がこみ上げる」エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0今の若者の心に寄り添いつつも、なぜだか昔の自分と再会したような余韻がこみ上げる

2019年9月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今やリアルな日常生活を描こうとすれば、ネットやSNSのやり取りを盛り込むことを避けては通れない。その点、本作は現代社会の最先端をゆく意欲作と見ることができるが、一方で、昔も今も変わらぬ思春期特有の心の揺れ動きをヴィヴィッドに活写し、清々しいほど青春映画の文法にのっとった作品とも言えるだろう。

YouTubeを使って動画配信するも、視聴者はわずか一桁。それはもはや「誰かが見ている」というよりは「自分に向けて語りかけている」と表現した方が適切だろう。まだ何者でもない彼女の中では「理想」と「現実」が激しく乖離している。その状況に焦り、絶望的になる場面もあるだろう。だがこの映画が伝えるのは、リアルな視聴者数ではなく、ふと顔を上げたところにあるもっと大事な視線であり、想いであり、温もりだったする。それはあまりに当たり前の”気づき”ではあるものの、なぜだかこみ上げてくる涙を抑えることができなかった。

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牛津厚信