「タブーへの挑戦」ハイ・ライフ Raspberryさんの映画レビュー(感想・評価)
タブーへの挑戦
人類の種の保存のために「閉じた世界」に送り込まれた男女。地球の社会に馴染めなかった反骨者たち。
だが、タブーがタブーでなくなっている「閉じた世界」では、彼らは抗いながらも支配に屈している。主人公を除いて。
主人公だけはここでも反骨者であり、「個人」の尊厳を貫いていた。
冒頭で赤ちゃんのウィローに教える。
「排泄物を食べたらダメだよ。タブーなんだ。」
社会と個人の間に横たわるタブーへの挑戦。ところがタブーに挑めばそこに隠れていた矛盾は自分に返ってくる。その矛盾を引き受けないかぎり反骨者にはなれない。
犬のように繁殖しなければ、人類の種は絶たれる。近親相姦か種の保存か。最大の難問が突き付けられる。
そこで、ウィローだけが「社会」と「個人」の間に走った亀裂をつなぐことができた。
美しいオレンジ色の帯の向こう側には、我々の分離した思考をひとつに包むような解決策が存在しているに違いない。
ウィローのように、人類の叡智を超えた宇宙の智慧を受信することがハイライフ(至高の人生)かもしれない。
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