「QUIXOTE VI VE →《夢》や狂気・空想に生きるのも悪くな...」テリー・ギリアムのドン・キホーテ とーりさんの映画レビュー(感想・評価)
QUIXOTE VI VE →《夢》や狂気・空想に生きるのも悪くな...
QUIXOTE VI VE →《夢》や狂気・空想に生きるのも悪くない。ノリノリなアダム・ドライバーとジョナサン・プライスの暴走と凸凹化学反応がひたすら楽しいコンビネーション・チームワークを堪能できる冒険コメディ! 頓挫した制作過程を追ったドキュメンタリー映画『ロスト・イン・ラ・マンチャ』を見ていたら分かる/見ていた方が楽しめる小ネタも、とりわけトビーがドン・キホーテと旅を始めるまでの前半にあって"不可抗力"(←ドキュメンタリーの終盤で保険外にされた要因)。その時と全く同じシーンもあれば、当時の製作時の体験を自虐的に(?)盛り込んだり、あるいはもっと最近・今日の要素も積極的に取り込んだりもしていて、しっかりと工夫やアップデート推敲も試みられている。ちなみなアダム・ドライバーはいつもの彼の髪型のトップを上に留めている形だけど、長さとかが丁度当時のジョニー・デップと似た具合で、ヴァネッサ・パラディが演じる予定だった役柄も似ていた。
ドン・キホーテは確かに生きていた、そして今もこれからも --- テリー・ギリアム念願も念願、超待望の企画がこうやって遂に映画館で見られる日が来るとは!!! しかも、もっと見にくい攻めた作品かと思っていたら、思っていたよりずっと見やすかった。一見ハチャメチャなのに一本しっかりと筋が通っていて目覚めに良い。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』よりしっかり意志を"引き継ぐ"というテーマがきちんと描かれていた。そしてまた、例えば『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』でタランティーノが主人公リック・ダルトンに"時代に取り残される自分"を仮託していたように、本作もまたギリアム = ドン・キホーテなのかな?と感じる瞬間があった。最後に歴代ドン・キホーテ役でキャスティングされていたジャン・ロシュフォール&ジョン・ハートに捧ぐと名前が出て改めてここまで辛苦の歳月を実感した。
「仕掛けが満載よ、気にいるわ」
"I will live forever.'
今年映画館鑑賞10本目