「不思議な世界へようこそするのは…」テリー・ギリアムのドン・キホーテ chakauooさんの映画レビュー(感想・評価)
不思議な世界へようこそするのは…
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自分をドン・キホーテと信じてやまない男と、業界人風を吹かせるいけ好かない男の物語。
アリスの時計うさぎを担うのは不思議とだんだん可愛く見えてくるジプシー。
村に行ったあたりから、
現実と夢(悪夢)がどんどんぼやけていってその境目は最後には消えている。
映画館を出た後、自分は何の世界にいるのか分からなくなる脳のふわふわを味わえる。
おかしいと分かっていたはずなのに、何度も繰り返されることで何を基準にそんなことを…のループ。
もうテリーギリアムの世界に引き込まれている。
繰り返される「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」はまるで呪文のよう。
見えているものは真実か、まやかしか、気がつきたくない現実なのか。
あのムーンライトショー(と勝手に名付ける)では、現実よりも夢のほうが真っ当に思えた。
ものを作るということ。
作り手は思い描いた世界を実現することに必死だ。
鑑賞者は目の前で起きていることのエンターテイメント性を、
ビジネスマンは成功したかそうでないかを。
でも作品の背後にはそれだけでは推し量れない関わるものたちの感情や事件が隠れている。
それらを無視することもできない。
しかし全てに汎用であろうとすると作りたかった世界には到底辿り着けない、どうすりゃいいのよ、という苦悩が伝わってきた。
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