SHADOW 影武者のレビュー・感想・評価
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太極図をモチーフとし、陰と陽の二人の男の生き方を琴の音を背景に美しく、切なく描き出す水墨画のような映画
雨が蕭々と降っている。 モノトーンに近い色合いが画のベース。 場面に合わせて、琴の音が時に切なく、時にロマンチックに、時に激しく奏でられる。 このシークエンスで、一気に劇中に引き込まれる。 陽の男が抱える葛藤、陰の男が抱く想いが絡み合い、陰陽の二人のバランスが均衡を失っていく。その姿を複雑な想いで見つめる陽の男の美しき妻。 傘からヒントを得た武具を扱う陰の男と豪壮の槍の使い手との舞のような闘い。 又、和平のために敵国に嫁がせられる、哀しき姫の運命に抗う姿が勇ましくも悲しい。 陰と陽の男を演じ分けたダン・チャオと、陽の男の妻であり、陰の男に徐々に心惹かれていく女を演じるスン・リーの哀しみを湛えた美しさに魅了された。 美術のスケールも破格で、それをベースにした小国の奇抜な戦法(見ごたえあり)にも驚かされた中国歴史物語の佳品である。
たまには変わった映画を見たい方にお勧め
日頃、邦画又はハリウッド映画をよく見ていて、たまには変わった映画を見たいと思う人にお勧め。 中盤までのゆったりとした進行が終盤で一気に動きます。 チャン・イーモウ監督作品で色使いがモノトーン調なのは、同監督の「HERO」とは対照的です。 主人公が不死身すぎるのはどうなんでしょうか。突っ込みどころは多々あります。 頭空っぽにして楽しむべきなのでしょうが、陽気さが足りないように感じます。
退屈三昧な武侠映画
水墨画のような渋い映像はとても魅力的だけど、全編これでは陰鬱でつらいです。最初っからお話しがつかみにくい上にまどろっこしく、登場人物も魅力的でなく感情移入できません。光と影、陰と陽とやたらとアートな感じを強調してるのもウザいです。忍耐の末、後半で傘を使った殺陣のシーンが出てきて、やっと面白くなってきたと思ったらあっさり終わり、宮廷に戻ってからのシーンも盛り上がらず、結局なんぢゃこりゃと言う結末でした。
チャンイーモウ的様式美炸裂しまくり
HEROの時の原色使いとは打って変わり、今回は全編墨絵のようなモノトーン。 映像は本当に素晴らしく、映像だけでも十二分にお腹いっぱいになれる作品。 しかも今回は映像美だけでなく、ストーリーも分かりやすいし、最後の最後まで飽きずに見れました。 展開はある程度読めちゃいますが、あれだけの映像を見せてくれて、難解でもなく哲学的でもない内容だったので充分満足です。 ただ、傘については、ビジュアルを先行し過ぎな感は否めないかな。見た目は格好いいけど、理にかなってはいないよね? 花魁歩きみたいな動きも戦闘的には全く意味ないし。 実は夏前に機内でこの作品を見ることができたんだけど、チャンイーモウの作品を機内の小さな画面で見たくなくて、その時は我慢しました。 結果大正解で、小さな画面で見なくて良かった!!
三国志わからなくても全然イケる
■「三国志」初心者や如何に 私は過去、三国志に関する映画、小説、その他ほとんど嗜んだことがないのでそんな人でも楽しめるようにつくられているのか否か?というのが一つの関門だった。 同じような理由で足踏みしてしまう人がいると思うので、そのような方に向けて言うとこの作品は全然イケます。 予備知識なしで観たとしてもわかりやすいストーリーに斬新なアクションシーン、デザイン、演出などなど。派手なVFXを駆使したハリウッドが跋扈する映画シーンにおいて、すべてが新鮮に見えることでしょう。 ■アクション 多くの記事でも目にするように、「刃の傘」という他に類をみない新武器。ややリアリティを失ってしまっている要因にもなっていると言えなくもないが、それでも刀や槍ではなく「傘」っていう笑。その地味さを斬新さとアクロバティックな舞で補い、都督を唯一無二の戦士たらしめている。 こちらのサイトの特集でも動画があったけど、傘で市街地をローリングしていく様は自身も切り刻まれてミンチになってしまうんではないかとヒヤヒヤしたものだ。一体どんな仕組みになっているのか?と突っ込みたくはなるが面白いアイデアだと思う。 ■デザイン 「水墨画のよう」と特集記事などでもよく言われている。確かに和テイスト(華テイスト?)のデザインが新鮮かつ美しい。白と黒を基調とした配色の中、霧の中に聳え立つ山々、降り止まぬ雨、古き中華の建造物。 そしてそんな絵にメインキャラ達がまたハマる。ダン・チャオの凛々しさ、スン・リーの美しさ、いずれも一国の命運を担うがゆえ、死の覚悟した儚さのようなものを感じた。 更に追い打ちをかけるように奏でられる音楽。琴と笛の音をメインに据えた映画というのも中々珍しいのではないか。 配色であれ、ストーリーであれ、演技であれ、音楽であれ、とにかく美しいのだ。 ■後半まで退屈 ストーリーの起伏でいうと、始まりから全体の6割くらいまではド平坦、その先で波がやってきてからは最後の最後まで息つく間もなかったという印象。 特に後半、多くの映画は起承転結の転の部分を過ぎると後はまとめに入って穏やかに締めくくるものだがこの映画は違う。転の後に転があり、転でありながらも結に至るというような、要するに終盤の追い込みが凄い。 なのでこれから観る人は中盤まではちょっと我慢して頂ければ、後は瞬きすら惜しくなるような怒涛の展開がやってくるでしょう。 鑑賞者に考察の余地を与える部分が多いのもまたいい。 ■まとめ とは言え、やはりド平坦部分はけっこう怠いのでこの点数。 その間にも多かれ少なかれ、鑑賞者の目を引くようなアイデアや起伏があれば最高の一作に仕上がったのは間違いない。惜しい。 このところアベンジャーズとかアラジンとかゴジラとかライオンキングとかCGやVFXバリバリのハリウッド大作を立て続けに観てきたのもあり、とても新鮮だった。 ゴリゴリのCG映画ばかり見慣れてしまっているという方は、たまには独自のテイストを持つ中国映画というのもいいでしょう。
独創的
久しぶりの映画鑑賞です。チャン・イーモウ監督作品は「赤いコーリャン」「菊豆」「紅夢」「初恋のきた道」をロードショー公開時に見ています。いずれも20~30年前の作品群で年月の速さに驚きを隠せません。そんな監督の新作を試写会で観ることができました。水墨画をイメージする重苦しい色調で構成されている。この色が排除された世界は見る人の雑念を除き、瞑想状態にも似たリラックスした気分で映画に集中できる効果を生み出す。撮影技術、武術殺陣、合戦に用いる武器、その全てが斬新で驚愕の映像美です。CGを使わぬ生撮りと知り度肝を抜かれた。69歳でこの新境地に立つ凄さです。恐れ入りました。無論、好き嫌いにハッキリと別れる内容ではありますが、見る価値はあります。どうぞ劇場で鑑賞する事をお薦めします。
画面は凝っているが、まどろっこしい武侠映画
三国志時代(戦国時代)の中国。
小国ペイは、強国・炎に国境の地・境州を実効支配によって奪われたまま。
若き王(チェン・カイ)は炎国と和平を結んでいるため、境州を実力で取り戻す意思はない。
そんなとき、ペイの重臣・都督(ダン・チャオ)は炎国国王の誕生日の祝いの席に出席し、境州を支配している将軍・楊と対決を申し込んでくる・・・
というところから始まる物語で、この都督が実は影武者、本物の都督はかつての楊との対決の傷がもとで体を悪くし、姿を隠して、影武者を身代わりに立てていた・・・という話。
だが、とにかく前半の1時間ほどがまどろっこしくて、帰っちゃおうかと思うほど。
墨絵風の黒白の画面構成は初めから登場し、全編を覆っているが、物語の始まりはペイの王宮のセットで展開されるので、目を見張るまではいかない。
さらに、隠遁生活を送っている本物の棲み処もセット然として興を殺ぐ。
で、面白くなるのは、影武者が境州に行ってからになるわけで、ほんと、そこまではツマラナイ。
そこから先は結構、ドラマも展開し、アクションもあるので愉しめるのだけれど。
とはいえ、ひとが変わった後の張藝謀監督、やっぱり面白いというほどではありませんでした。
ビックリしたのは2点。
エンドクレジットのスタッフがとても多い。
たぶん、ものすごい大作なのだろう(そんな感じはしないが)。
都督の本物と影武者、本物は傷がいえずに痩せ細ろえている。
役者は20キロ減量したとのことで、もう、見るからに別人。
でも、こんなに風貌が違っていちゃ、本物の思惑、上手くいかないような気がするのだが・・・
かっこ良すぎて悪いか!
8/22よみうりホールにて 試写会の券を貰ったので観てきました。 「グレートウォール」以来のチャン・イーモウ 監督作品です。「紅いコーリャン」の頃とは違います。チャン・ツィーを世界的なスターにし、ハリウッドでビックバジェットの大作を撮っています。 そして北京オリンピックの総合演出。でっかい 足の花火がスタジアムに近づいてくるのは、度肝を抜かれた。そしたら、、、 CGだった‼️ それやっちゃ駄目なやつだよ! 東京オリンピックは8人の日本人が演出にあたる。 みんな好きな人だが、私が思った事は、 お金の匂いがする所にいつもいる川村元気! みんな川村元気の手のひらの上で踊らされすぎだよ! でも、一番踊ってるのは、私だった! 同じアホなら踊らにゃそんそんってなもんだー!! そしてチャン・イーモウに比較して旗印が弱い! 世界的な知名度がない。世界規模で有名な日本人って・・・ 誰だ?北野武?宮崎駿?坂本龍一?羽生結弦? 最後の人は無理がありすぎだよ! うーむ、思いつかない! さて本作だがチャン・イーモウ3原則(私か勝手に作った)かっこよくする、おもしろくする、 びっくりさせる。それに則った作品だ。 色彩の彩度を落とし(ん?銀残しか?)モノトーンに近い。天気は殆ど雨。あの子を呼んで晴れにしろよ。それは違う映画でした。すみません。 だから山紫水明、水墨画なような風景。 多分モノクロで撮りたかったんたろうな、そう感じた。 雨中の戦闘は、あの映画です。 七人の侍!! とにかくかっこいい!歴史ドラマじゃありません。完全無欠のザッツ・エンターテイメント! 使う武器も斬新です。いつもより余計に回っています。やめろって! 東京オリンピックの旗印を思いついた!埼玉の 高見沢俊彦クラス! 葛飾北斎! グレートウェーブ! CGを使って、 だから、それ一番駄目なやつだよ!
傘の武器カッコいい
監督自身『七人の侍』に影響を受けていると公言していらっしゃる様で、正しくそれだなぁと思っていた自分は納得しました。簡単に言えば『七人の侍』+『300』という感じ。そこに「俺の考えた超カッコいい傘」が織り込まれる。
傘のアクションは3回目くらいでちょっと飽きたかな?というところで刃を曲げての首切りはおお!と感心しました。
話運びはスターウォーズのプリークエルみたいな。
Yingという題名もあります。
この作品を見た後、YouTubeのチャン・イーモウ監督の北アメリカ映画フェスの舞台上の挨拶を見ていたのだが、黒人のMCが彼の業績についてサラ~ッと紹介したところで、北京オリンピックの開会式と閉会式の演出を担当したと説明したときに表情を変えずにいたということはこの監督、英語を理解していないのか?事前の打ち合わせをしていないのか?はたまた、小さなことに関心のない肝の座った方なのか?どうでもいいことは置いておいて、前出のMCが彼の略歴を紹介している中で、ウイリアム・シェイクスピアや黒澤明監督の作品からインスパイヤーしていると言っていたが、そんなことを言ってしまったら、この映画が黒澤監督の「乱(1985)」や「七人の侍(1954)」と多少似ているのがバレチャイますよ。
今回の映像は、前回の映画で、信号機の色のような甲冑(紅など特定の色の構成で有名)で懲りたのかどうか知れないが、この映画を観た誰もが口にするのが、あたかも水墨画で描かれたようで、そのモノトーンの中に耽美的要素を追及しているような感覚になり、見入ってしまう....と。
前回の「The Great Wall (2016)」の出演料欲しさにわざわざオスカーをハリウッドの人非人兄弟の弟に譲ったのに、この映画が100億円近いA box-office bombが大炸裂をしてオスカー受賞会場では他の映画人からいじくりまわされた、オメデタイ人がご出演されていた。この方たちのファンの皆様、レビューを見たからと言って、興奮しないように.........逆効果か?
皇帝の妹役のXiaotong Guan、敵の大将の息子で政略結婚させられようとする相手との格闘シーンは、スタントダブルをしっかりと使ったほうがよかったように見えたが.....。
監督自身が、CGIを使わずに実際に創作したものを使い、リアリティを出した演出をしていると言っていたが、陰陽(yin-yang )の竹でできた舞台や個性あふれる衣装など、それと宮殿の装飾されたパーティーションのようなものも、手作り感あふれているが、しかし、監督は何か誤認されているようで外の背景や山の景色、大勢の人など思いっきり使ってますよ。
多分、このように批判めいたコメントを載せるとチャン・イーモウ監督のファンの方たちは、“大激怒”ですか?
それではお口直しに、アメリカのエンタメ情報誌、Hollywood Reporterの記者は、「 これはおそらくチャンが今までに作った映画の中で最も驚くほど美しいものとなっている。」また、エンターテイメント産業専門の業界紙、Varietyは、「彼の息をのむほど美しい、この映画のすべてが、見事に演出されたスタイルは、おのおのの違った場面にもかかわらず、繰り返される芸術的最小単位にまでおよび、しかもその構図がまたお互いに共鳴している。」とべた褒め!
これぐらいで許してください.......!?
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