「【一夫多妻制の中、”与えられた運命”の中で必死に”役割”をこなそうとする女性たちの姿を、美しき色彩の映像を背景に描き出す。、”女性は子供を産む道具じゃない!”と言う激しい怒りを秘めた作品でもある。】」第三夫人と髪飾り NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【一夫多妻制の中、”与えられた運命”の中で必死に”役割”をこなそうとする女性たちの姿を、美しき色彩の映像を背景に描き出す。、”女性は子供を産む道具じゃない!”と言う激しい怒りを秘めた作品でもある。】
■19世紀 ベトナムが舞台
僅か14歳のメイは富豪の”旦那様”のもとに第三夫人として嫁いでくる。
ー彼女が川船に乗っている時の、前を向きキリっとした顔つきが美しい。彼女の”決意”が表されている-
この映画で登場するのは、成人男性は、ほぼ”旦那様”と第一夫人の”甘やかされて育った息子ソン”のみ。
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第一夫人の”ハ”は優しくも威厳があり、富豪一家を支えている。(男子を産んだことも影響している事が、劇中描かれる。)
第二夫人の”スアン”は娘を3人持つが、古株の使用人ラオから”男の子を産んでいないから、奥様とは言えない・・”と陰で言われている。
そして、彼女は”ある秘密”を持っている・・。
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■印象的なシーン
1.冒頭、メイの初夜のシーン。
”旦那様”はメイの腹部に卵を乗せ、それを飲み込んだ後、行為に移る。
―少しだけ、”タンポポ”のワンシーンを思い出す。卵って、エロティック・・-
そして、翌朝、メイが純潔であった”印”を庭の柳の木に掛けてあるシーン。
2.”甘やかされて育った息子ソン”に若い夫人トゥエットが嫁いでくるが、ソンはある人が忘れられずに、”手を付けない・・”。
そして、トゥエットは慣習にはないが、実家に戻される事に。
親戚と思われる男から”家名に泥を塗りやがって‥”と叱責されるトゥエット。
(心中、それはおかしいだろう、と激しく突っ込むが・・・)
あの、哀しきシーンが遠いアングルで描かれる・・・。
3.メイの出産シーン
男の子を望んでいたが、必死の思いで産んだ子は女児。
河原で幼き女児の顔の上にメイは”黄色い花”を添える・・。ええっ。
<運命に翻弄される夫人達の姿を、美しきベトナムの自然の風景、富豪の家に灯るランタン、夫人達が纏うアオザイの色彩を背景に描き出した作品。
が、19世紀が舞台とはいえ、”女性は子供を産む道具じゃないぞ!”と今さらながらに思わされた作品。
アッシュ・メイファ監督(女性)の強烈な怒りを”穏やか”だが”とても残酷な”幾つかのシーンで描き出した作品でもある。>
<少しだけ、チャン・イーモウ監督の”紅夢”を思い出してしまった・・。>
NOBU さんコメント頂きましてありがとうございました。
監督は
「ニッポンドットコムおすすめ映画」の解説によれば―1985年にベトナムに生まれ、中学・高校をオーストラリアの寄宿学校で過ごし、英国オックスフォード大学を経て、ニューヨーク大学(NYC)で映画制作を学んだ
― と。
彼女がベトナムを離れたのはいみじくも14歳(!)。
現在はアメリカとベトナムを行き来しているんだそうです。
主人公メイと同い年で祖国を離れ、ふるさとの自然と歴史、そしてそこに暮らす人々の生活を外から客観的に捉え直せて、それであの作品と相成ったのでしょうね。
洗練された透明感と、自国の文化をある意味突き放して描写できるスキルを得て、外国人向けでもある世界に通用する映画になったのだと思いました。
コメントありがとうございました。
なるほど、NOBUさんの解釈、納得です。モヤモヤが解消できました。悲しい選択ですが。それにしてもあの赤ちゃんもものすごくキレイな可愛い赤ちゃんでした🤱