劇場公開日 2019年7月12日

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「ウォーター・ボーイズ中年版 in France」シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ウォーター・ボーイズ中年版 in France

2020年12月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 昨日観た『シンクロ・ダンディーズ!』と同じく、スウェーデンでの実話をもとにした作品。同じ公開年ということは競作?配給もキノフィルムズだし・・・と、イギリス版との比較しながら観てしまいました。

 ダンディーズでのマイナス点は、まず終盤における世界選手権での結果発表。順位なんて関係ないと思っていたのに、下位から順に発表するあたりはコメディだからしょうがないにしても盛り上がらなかった。その点、このフランス版では、どうなったの?と思わせぶりなところを見せるし、結果なんてどうでもよくなる自然さがいい。

 タイトルが表しているように、沈みかけた人生の再起をかけたおっさんたち。うつ病の主人公、自閉症気味の息子を持つロラン、売れないミュージシャンのシモンとその娘、童貞扱いされているティエリ、破産寸前のプール会社社長マルキュスといったメンバーのそれぞれの苦悩の表現がフランスらしさとも言えようか。この点でもダンディーズよりも優れていた。映像の面白さはイギリス版が上ですけどね・・・

 そんな中でもシモンのキャンピングカー暮らしが印象に残るし、好きなことを続けて夢を追いかけてるところがいい。CDを17枚も出しているのに全く売れてないところも・・・。

 音楽の使い方、オリビア・ニュートン・ジョンの「フィジカル」とか、試合で使ったフィリップ・ベイリー、フィル・コリンズの「イージー・ラバー」が冴えていた。80年代の音楽が好きな人はかなりはまりそう。

 そして女性コーチのデルフィーヌも悩みを抱えている。禁酒会に参加するのも、かつてはシンクロナイズド・スイミングの選手だったのに相棒を失い、酒と男に溺れてしまったため。そんなこんなで車いすのアマンダという鬼コーチが彼ら8人を指導するといった具合だ。

 とにかく、中年以降の男性が勇気をもらえる映画。ダンディーズで足りなかった部分を、キャラこそ違うがそれぞれの輝きを見せるところが素敵だった。ただし、選手権での結果は照明効果に影響されてた気がしないでもない・・・

kossy