「なぜ、彼女はたちあがるのか」たちあがる女 とえさんの映画レビュー(感想・評価)
なぜ、彼女はたちあがるのか
これはなかなか面白い映画だった!
原題は「Woman at war(戦う女)」
アイスランドの田舎町に暮らす主人公の女性ハットラが戦う話である
では、ハットラは何と戦っているのか
彼女が戦う相手は、地元に進出してきた中国系の工場である
ハットラは、その工場が撤退することを願って、工場につながる送電線を切り続ける
いつか政府に逮捕されるかもしれないという恐怖を感じながらも、国と工場に立ち向かっていく
なぜ、彼女はそこまでして戦い続けるのか
そこには、アイスランドならではの理由がある
アイスランドは、国土の約11%が氷河に覆われている
そのため、温暖化が進んでその氷河が溶けたら、アイスランドの美しい景色は失われ、国土が水で溢れてしまうのだ
彼女が戦う理由はそれだけではない
ハットラに念願の養子縁組が決まり、娘ができることになった
だからこそ、将来、娘が生きる未来を考えて、このまま、環境破壊を続けさせてはいけないと考えたのだ
そして、これは、ハットラとアイスランドだけの問題ではない
日本にだって、黄砂と共にやってくるPM2.5による健康被害が心配されている
しかし、そのことに対して、誰も具体的な策を練ろうとはしない
だから、ハットラが立ち上がったのだ
そして、この物語では、アイスランドと共に、重要な意味を持つ国としてウクライナが登場する
なぜ、ウクライナなのか
ウクライナは、冷戦時代のアメリカとの競争で、急激な工業化を行った結果、チェルノブイリ原発事故が起きた国である
その後、ウクライナはどうなったのかという映像がここで描かれるのだけど、それは、工業化したアイスランドの未来を暗示している
便利になって、町が豊かになっても、人々が暮らせない土地になってしまっては意味がない…
ハットラは、女性だからこそ、美しい景色と、草花や、未来の子供たちの心配をするのだ
この映画を観たジョディ・フォスターは感動し、ハリウッドでの
リメイク権を買ったのだという
アメリカでは、トランプ大統領が「温暖化など起きていない」と言い、工業化を進める宣言をしている
そのアメリカで、ジョディ・フォスターがどう立ち上がり、戦うのか
その企画が進んで、トランプ大統領の任期中に映画化されることを願っている
これは、今、世界中で起きている問題なのだ