「凸凹」僕たちのラストステージ U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
凸凹
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コメディアンという総称の原型を見たような感じだ。
1人の天才と、その相方。
昔のコントだったり、アメリカンなテイストだったりはするんだけど、不思議とクスッて笑ってしまう。
ドリフターズを知ってる世代なら、彼らの源流はここにあったのかと懐かしめるだろう。
物語は、かつて頂点を極めたコメディアンの晩年を描く。
「引退」の描き方が腑に落ちた。王道な展開ではあったが優秀な脇役達のおかげで観やすかった。
特にラストステージを観る高慢ちきな妻が、相方の妻の手をギュッと握るカットは至極だった。
その手からパーンアップされた妻の表情には不安など微塵も現れない。
口角を上げ笑ってるようにも見える。
まさに命がけのステージの裏側を客席の自分たちの反応からでも読み取らせてはいけない、と言ってるようで胸が熱くなる。
最後のテロップに泣かされる。
1人はこの巡業を機に引退し、もう1人はその相方との台本を生涯書き続けた。
夢も熱もあったのだろう。
コメディアンの表と裏を存分に堪能できた作品だった。
日本で言えば、カンニングの竹山さんなんかが観たら号泣するのかと思う。
ただ彼もプロなので、公の場では相方の悪口の1つも言って「笑い」を産むのだろうと思う。
あの業界に踏み込んだ人達には珠玉とも言える作品なのかもしれない。
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