「タイトルなし」マーウェン kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
タイトルなし
主人公はPTSDに苦しむ実在の人物で、ロバート・ゼメキスは彼を描いたドキュメント映画を観て着想したそうだ。
きっと、そのドキュメンタリーを観ている最中にこのアイディアがひらめいて、ゼメキスは膝を打ってワクワクしたんじゃないだろうか。
主人公が造り上げた、自分や周囲の人たちを投影した人形による空想の世界。
役者に人間劇と人形劇の両方を演じさせるというアイディアとそれを具現化するテクノロジーの見事さ。
アバンタイトルから驚きの映像で惹き付けられる。
人形からリアルへ、リアルから人形への遷移場面がまた、アイディアに富んでいる。
本当に一見の価値ある映画だ。
人形劇が面白すぎるので、人間劇のインパクトが弱い気はした。
主人公を取り巻く人々の優しさや暖かさ、そして主人公の自分との闘いは、心打つものではある。
法廷の場面などで一部人間劇にもアクションを持たせてはいるものの、やはり派手なところは全部人形劇が持っていく。
このアイディアの諸刃の剣だったのかもしれない。
人間パートが与えられていないダイアン・クルーガーの魔女が「デロリアン」で登場する場面は、ゼメキスファンでなくても胸が踊ると思う。
心憎い。
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