「この映画がダメな理由」メン・イン・ブラック インターナショナル nisiさんの映画レビュー(感想・評価)
この映画がダメな理由
とりあえずハズレはないだろうと思って観ましたが、
とりあえずハズレではありませんでした。
子供と一緒に観ると良いと思います。
しかし往年の名作のタイトルをつけるにしては駄作の部類です。
その最大の理由は
クリス・ヘムズワースが演じるエージェントHのリアリティの無さです。
冒頭から毒ヘビに噛まれるミスにはじまり、
オフィスワークでは居眠り、
警戒を怠って王子を暗殺され、
和んでいて究極兵器を奪われ、
元恋人を懐柔できず、
ボディガードに袋叩きにされ
暗殺者にも迫られる。
チャラいだけで何も良いところが見えないのに
支局の最高のエージェントだなんて
もっと優秀な人はいくらでも居そうだし
実際、見習いのエージェントMの方が優秀です。
極め付けは
過去に自分がどうやって「銃と知恵だけ」で戦ったか覚えていない。
記憶を消されていることに疑いもしていない。
本当のおバカ上司です。
こんなのが最高の組織はたかが知れてると思えるし
そんなのと戦ってる宇宙人もおバカでしかない。
だから映画全体で緊迫感がまるでない。
メンインブラックの本来の面白さは
凄い緊迫感の中なのに、余裕で解決しちゃうスカッと感。
と余裕の中でのユーモアのセンス。
緊迫感がないから映画がダラけるけれど
舞台があちこちに移動するのでなんとか持ちこたえています。
もし人物設定で
エージェントHをおちゃらけた新人にして
エージェントMをキツイ女上司にしていたら
かなり引き締まったMIBになったでしょうが
前作のウィルスミスとトミーリージョーンズの関係に似てくるので
ひっくり返したのでしょう。
その安直さがこの映画の最大の命取りです。
世話になった上司がエイリアンになっても
まだ感情を残しているというのに
ぶっ飛ばしても涙ひとつ見せないで、
その上司の代わり昇格して喜んでいるバカエージェント
そのバカを喜んで讃えている部下たち
こんなエージェントや組織が地球を守れてるはずがない
というリアリティの無さがSFとしても致命的です。