12か月の未来図のレビュー・感想・評価
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教師の役割を考える・・・
落ちこぼれ生徒をスポーツや音楽で救済する師弟の感動映画は多いが地味な国語教師が主人公、礼儀作法に口うるさく高圧的で保守的な授業風景から、早くも失望の予感、どうやって子供たちの関心をつかむのか・・。
移民の多い貧困層の子たちに人生への希望や興味を沸かせるために選んだのは「レ・ミゼラブル」を読ませることでした。叱るばかりでなく時には褒めてあげることも効果大。
ヘミングウェイが作ったとされる世界で最も短い小説「売ります。赤ん坊の靴。未使用」のエピソードは知らなかったので勉強になりました。
金八先生の「腐ったみかん」のエピソードのような退学ありきの校長のやり方に反旗を翻すところが正念場でしたが、古今東西、要はコミュニケーションの大切さ、生徒との信頼関係をどう築けるかにかかっていますね。
エンドロールに聴き覚えのある懐かしい曲、ポール・マッカートニーがプロデュースした名曲Those were the Days(1968年・悲しき天使/メリー・ホプキン)もよかったですね。
エリート学校から教育困難中学へ赴任した先生の ドタバタした日常を描...
エリート学校から教育困難中学へ赴任した先生の
ドタバタした日常を描く
問題児の多い学校へ赴任した教師の話は聞くが
エリート学校からと言うのがとても
面白いと思った
生徒のために真剣に取り組もうとする
先生にはとても共感した
さらにラストの生徒の言葉には
もうたまらんでしょ!
人は誰でも
学ぶ意欲を持っているはず。
フランスらしく、レミゼラブルを題材にするあたりから面白くなる。ヴェルサイユ宮殿のシーンなども印象的。
フランスの教育制度はよく知らないが、エリート校教師が多様性の強い学校に赴任して、自身も心を溶解していく姿が見えた。
類似のオーケストラクラスより、考えさられる要素が多いかも。個人的には、主人公が大学の恩師に似ていて、懐かしかった。
刺さりました
フーコー先生と子どもの対話が好きだった
「栄養を与えない魂は衰える
食事を摂らない身体と同じだ」
学習性無気力を感じ取り、生徒に伝えつつも、どうしたらいいのかという注入的指導に陥らず生徒自身に考えさせる。
嫌な顔をされようと、笑われようと構わない。それは大きな問題ではない。
理想の教師像だと感じた。あのようになりたいと思った。
授業案の工夫をし、生徒の主体性を高める。
ただ、私にはハードルが高すぎる。
教壇に立つことは私にとって恐怖である。感情を見せればバカにされ嘲笑されてしまう。
生徒の興味を引く語り、生徒の反応を逃さない目、ぶれずに安定した愛情を傾ける姿勢。どれをとっても時間さえあれば身につくという類のものではない。
フランス映画だった。フランスフランスフランスフランスだった。
国内きっての進学校の国語教師であるフランソワは、父親の出版記念会でたまたま出会った女性に、心にも無い、いやあったかも知れない教育概念の話を、他人事としてぶちまけますが、この女性が教育省の官僚だったことから、自らが郊外の低水準の中学校に派遣される事になってしまいます。
もう、それからは、というか、それまでもですが、フランス・エスプリのフランス男女によるフランス会話のフランスストーリー。もう、これでもか!な薄毛のメガネの金八先生の物語。
本当に好き。たまらない感じ。
もうね、女の子がアカン。可愛げも何にも無いです。エロさも可憐さも両方無い、ただの悪魔。それに比べりゃ、セドゥなんて単純で可愛いもんで。
レ・ミゼラブルを使って子供達の興味を引き出す才覚。失敗が続けば熱意は失せる、の原則をクラスに実感させるアイデア。先生、結構出来る男です。評議会の退学処分の議決は、運用ルールを徹底的に調べ、瑕疵を指摘し撤回させます。いや校長のミスを懲戒対象と脅して撤回させる。先生は独身なんか?誰か良い女性、紹介してあげて!
結局、セドゥは自分の強さで学校に戻って来る。来た。戻り方もフランス的で地味に良かった。要するに過剰演出どころか、その逆。不描写。
彼女は他の男と去って行った。この顛末が楽しい、かなり。
「知は自分を救う」でしょ?彼女は去っても、救われるよ。多分。
問題山積の学校なんて行きたくない!
有名高校の優秀な先生が
別嬪さんに、話したことから
超問題中学校の臨時先生に
まあ、大変
しかし、本当の教育に気付き
生徒から教えられるのだ
教えることが学ぶことなんだなあ!
しかし、フランス人
女好きやね。
ラストシーン
失恋した先生と生徒の
後ろ姿が
いいね。
ユーモアと人間味に包んだ適温の問題提起
声高に正義を押し付けたり、殊更感動を煽って泣かせに走る事なく、社会や人間の複雑な一面を、風刺とユーモアと人間味たっぷりに、適度な距離感で表現してみせるフランス映画の雰囲気が好きだ。
教育とはどうあるべきか、という、ともすればお堅く説教的理想主義的になりそうなテーマを、反発心煽ることなくスッと染み渡らせてくれるのは、生徒達の子供らしい喜怒哀楽や葛藤だけでなく、教師側をも人間味溢れる優しい目線で描いてくれているからだろう。
フランス屈指のエリート高校で教壇に立つフーコー先生。自分にその気もないのに嘯いた教育問題改善案を政府関係者に聞き留められ、下町の落ちこぼれ中学に1年間の限定派遣。
教師の権威を振りかざす、社交の場で見栄を張る、美人に食事に誘われてウキウキ出向く、長い物に巻かれる。絵にかいた善人ではないが、とても人間らしい。
融通が利かず、頑固だが、馬鹿真面目で仕事に誠実。多人種入り交じる生徒達の聞いた事もないような名前を、呼び間違えないよう必死で覚え、鏡に向かって舌打ちの練習をし、生徒の退学を撤回させるため法規を調べ尽くす。
不器用で欠点もある、だが愛すべき人物像に好感を抱く。
意欲のない不真面目な生徒達、燦々たる成績、教師への反発。頭を抱えるフーコー先生は、やがて問題児セドゥの言葉に、彼等も不安と敗北感に打ちのめされていると気付き、生徒に寄りそう姿勢へと変化していく。
権威的な押さえつけに効果がないと学び、失敗の連続による生徒の無気力を指摘され、成功体験による自主的な意欲向上を図ろうとする。冒頭の高校での、侮蔑的とも思えるコメントと共に答案を返すシーンと、激励や褒め言葉を交えて一人一人と向かい合う今のフーコー先生の対比。
カンニングに気づきながら指摘しなかったのも、頭ごなしな叱責でなく、自分の思いで行動を変えて欲しい、生徒を信じて長い目で見守ろうという気持ちからだったのではないか。
この無気力感は、生徒だけでなく、教師達の問題でもあったのだろう。
「今年は良くしようと思っても、また同じ繰返し」。涙目で溢される同僚教師の弱音。一人の努力や理想では変えられない教育現場の現実が、教師の意欲も奪っていた。
教師もまた一人の人間として、失敗し、迷い、へこたれもする。
諦めず試行錯誤するフーコー先生の姿は、一部教師の心持ちや方針をも変えていく。
ラスト、並んで座ったセドゥとフーコー先生は、従い従わせる者でなく、同じく愛に破れた友人か同士のような心情であったろう。
「来年は頑張れ。君ならできる」親が子を思うような先生の励まし、「高校に戻っちゃうの。…寂しくなる」散々反抗してきたセドゥの一言。
教師としては何よりの、有り難く報われる言葉であるだろう。
その先は敢えて語らず、ほんのりと余韻を残して終わるのもいい。
身内に教育関係者がいたので、少々身につまされてじんわりきた。
家に帰ってからも明日の準備や採点をし、親御さんからの相談電話に長々と応対していた。
困難を極める現代の教育現場で、日々必死に向き合う教師の皆様に敬意を。
何より子供達の未来が輝かしいものでありますように。
見るからにお堅い感じのエリート先生が個性豊かな郊外の生徒達に少しず...
見るからにお堅い感じのエリート先生が個性豊かな郊外の生徒達に少しずつ馴染んでいくのと同時に、子供達も先生に少しずつ心を開いていく様にほっこり。
ラストシーンは、恋心を寄せていた相手が別の相手を選んでしまった(先生はもともとその予定だったので仕方ないけど。。。)先生とセドゥ(生徒)が寄り添っていて、ちょっぴり笑えた。
感動したり興奮したりできる映画じゃないけど、何か好き。
中学生で「退学」処分とは、厳しい現実
題名からいかにも生徒と教師の素晴らしき友情物語なのだろうという感想を思い描き観賞させて頂いた。作品の甲乙は、作品の流れと展開である。
作品の流れは、日本とフランスの教育システムが全く違っていたということに気付かされた。
何となく閉鎖社会から抜けきらない日本の教育システムしか判らないので、フランスの教育システムが理解出来ない部分もあった。問題を起こした生徒に対し「評議会」があり。最悪、中学生で既に「退学処分」があるということだ。日本には、PTAの存在があり、余程のことがない限り問題を起こした生徒に反省させ、その生徒を守る立場にある。だからなのか判らないが、「退学処分」がない。だから、9年間はぬるま湯教育である。日本は9年間ののんびり教育だから中学終わりまでの学力の差は、かなり開く、結局、中学生でその差が開いたままで、社会へと進むものもいれば、高校受験に進むものもいる。中学の2年ぐらいで「これから」のことを考えても遅すぎるのだ。教師たちも、なんのフォローもない。今後の人生は、生徒自身が考えなけれならない。残酷な教育制度である。今回の作品のように中学校で「退学制度」を設けた方が、厳しいことではあるが、幼い時から「自己責任」の大切さが学べてよいのではないだろうか。その方が、親切であるとも言える。
今回の作品を観て、「勉強する」ことが嫌であるということや数学では、公式、言語の教育では文法。これらを学ぶ必要がある。学生にとってこれが一番大切なのであり、社会に出る「武器」となる。でも、これを習得するのは、非常に面倒くさい。だから私も勉強が大嫌い。
この作品は、教師フーコーと生徒「エディ」を中心に信頼できる教師に出逢える作品である。
教師フーコーが、生徒の名前を必死に覚えようとする場面やエディが「退席処分」にならないための条文の記載を一生懸命探す場面は、あいくるしくもあり感動もした。
12カ月の期間であり、二人の距離感が近くなる時間としては、すこし早すぎであった。作品が「12カ月」という期間限定でもあるので、其処は残念。今後、二人が共に、フーコーの持てる力を発揮し、エディは内面から成長し、人生が変えられるという力が学べることを丁寧に描かけたかも。
ベルサイユ宮殿は、さすがに荘厳だ。
しかし、そこで「自撮り」はないだあろう。
ラストで、問題児であるエディがフーコーに「寂しくなる。」と言わせた所は、個人的に感涙である。エンディングテーマは、聴いたことがあり、涙を誘った。
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