「近未来の日本がこうなりそう」AI崩壊 兎さんの映画レビュー(感想・評価)
近未来の日本がこうなりそう
近い未来、桐生浩介が開発した医療用AIが普及して"AIのぞみ"が第五のライフラインになった日本を題材にした映画
過去にAI使用の認可が国からおりず、妻がガンで亡くなった浩介は娘の心と海外に住んでいた
"AIのぞみ"は弟の悟の会社HOPEで管理されている
その悟から浩介へ「浩介が総理大臣賞を授与する。AIのぞみのサーバー増設用の新施設開設の式をするから日本に帰ってきてくれ。」と連絡がある
妻が亡くなった葛藤で日本を離れた浩介にとって帰国は悩ましいことだった
娘の心は父の功績であるAIのぞみが普及した日本へ行きたいと言い出し、意を決して二人で日本に向かう
AIのぞみのサーバールームを見学した後、開設式を迎えたがアンチAI派の連中に邪魔されて途中で中止された
総理大臣賞を授与するために移動しようとした浩介達だったが、娘の心が「写真がない」と言い出し悟と一部社員と心でサーバールームへ
浩介は秘書(?)と車で移動していたが急遽AIのぞみが暴走を始める
銀行口座は凍結、車と医療機械は停止、ペースメーカーの誤作動による心臓麻痺の発生
社員は異常事態の復旧へ向かい、サーバールームで一人に取り残された心は閉じ込められる
"AIのぞみ"の暴走はハッキングによるプログラムの改竄だった
発信元は、浩介のカバンの中にある一つの端末からだった
「桐生浩介はテロリストだ」
浩介は容疑者として追われることとなった
AI開発の進んできてる現代を先んじる題材でとても面白かった
AI関連の映画はいろいろあったけれど、洋画と邦画は中身が違ってくる
洋画はAIの暴走
邦画は人間によるAIの操作で起きる暴走
今回の映画も【AI暴走】も「(人間による)AI(の操作で起きた)暴走」
リアリティある題材なのだけれど、いくつかいまいちなことがあった
①サーバールームに閉じ込められた娘の心
心は写真を探してサーバールームに閉じ込められたが、なぜ写真がAIのぞみのコアの下に滑り込んでいたのか?
最初は犯人がサーバールームでマルウェアをAIのぞみにうつす為に侵入目的で写真を隠していたのかと思っていたが、単に無くしていただけっぽい
写真は鏡になった写真立てに入れられていたが、落としていた割に鏡は割れていなかった
不自然な無くし方がどうにも違和感が凄かった
あと、サーバールームが設備を冷やす関係で氷点下になるのだけれど
娘の心が全く寒そうにしていない
普通人は寒くなったら肌を晒そうとしないし、震えが止まらないはず
AIのぞみのコアが発熱しているのならば、もっとコアに寄り添うだろう
自然な形としては、コアに寄り添って震えながら手を服の内側の脇に入れて震えている
顔に霜が降りていたが、床に伏せっていただけで「暇そうに待っている」ように見えた
最後にドアが開いて浩介や社員が心に向かっていくのだが、
衣類を羽織らせるだけで誰も寒いサーバールームから連れ出そうとしないのか
氷点下で冷え切っているのだから一刻も早く外に出すべきじゃなかろうか
あそこがリアルだったらもっと臨場感あったと思う
②なぜ浩介のカバンへプログラム改竄の発信元の端末が入っていたのか
最初は悟が犯人で、荷物チェック後に入れていたのかと思ったが、犯人は別の人物で入れるタイミングは無かったんじゃなかろうか
③警察のAI「ヒャクメ」
警察が浩介を確保する為に使っていた警察独自のAI
始動して間もないので逃走パターン等、まだ確立していない
そんなAIだが割と簡単にハッキング&改竄されている
AIのぞみは犯人によるマルウェアのバックドアがあった為、起こった出来事だが
浩介は普通にハッキングして自身のデータを別の人間のデータに書き換える様に改竄した
脆弱すぎる
④警察の機動隊
浩介を確保する為に警察から送られた機動隊
装備ガチガチで対テロリスト部隊なのは分かるのだけれど、
丸腰で逃走中に何回も服を交換している浩介へ「丸腰が分からない!」と銃ぶっ放しまくる
国民の命が係わる自体なのに何で実弾で殺そうとするのか
逃走先の元浩介の大学院で協力者の悟に至っては「何をするかわからない!」と急所を複数撃っている
確かにテロリストが爆弾を持っている可能性もあるのだけれど、そこは近未来 ゴムスタン弾や高圧スタン弾で制圧しようという考えはなかったのか
アレだけ殺傷能力を持つ銃や警察官の協力もあったのに、下水道で確保できなかったのはなぜだ
後方と脇道から挟み撃ちに出来たのだから、下水道の出口を張ることも出来たのではないか
下水道の逃走経路を考えるとAI「ヒャクメ」とコンボで確実に捕まえられたはず
以上の点を踏まえても普通に面白かったです
SFともドラマ系とも違った邦画で新鮮でした