「実在の都市伝説をベースにした、ゾクッとする怖さがあります。」犬鳴村 マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
実在の都市伝説をベースにした、ゾクッとする怖さがあります。
都市伝説として名高い九州の「旧犬鳴トンネル」を題材にして製作されたと言う神をも恐れぬと言うか、祟りをも恐れぬ今作が公開されると言うのは、だいぶ前から知ってはいましたが、この手の作品は割りとチープな作りになってる事が多いのと、現在も実在している地域を題材にしているので、どう転がしても地元からの批判的なのを考慮すると中途半端な物に成りかねないのでどんな風に折り合いをつけるのかが気になっていましたが、監督がホラー映画の巨匠として名高い清水崇監督と聞くと期待度が高まって、期待して鑑賞しました。
で、感想はと言うと、普通に怖い。
最近のジャパニーズホラーの中ではかなり怖い方ではないでしょうか。
和製ホラーは海外ホラーと違って、ベタつく様なネトっとゾクッとした怖さがありますが、流石、清水崇監督。怖いところのツボを心得ております。
村人なんか大量に出てくるのなんて、個人的にはすんごい怖いんですよね。
主題歌の「HIKARI」も映画「らせん」の主題歌の「ゆがんだ時計」を思わせる、何処か悲しげで怖さを含ませてる感じで良い♪
鑑賞された方々が言われてますが、「リング」「貞子」「仄暗い水の底から」と似通った設定箇所が多々ありますが、詰まる所で今のジャパニーズホラーはこの辺りの設定になるのかな?と解釈するので個人的にはそんなに気にならない。
要は如何に怖くて面白いかどうかなので、そう言う点では全然大丈夫。
初っ端からYouTuber気取りの明菜と悠真のバカップルが行ってはいけない所に突入するのは死亡フラグ確定で、そこから一族の呪われた血統へと導かれますがやっぱり怖い。
特に前半はかなり怖くて、いろいろとドッキリさせられます。
ただ、その分、後半が怖さのオンパレード過ぎて、些か恐怖感が麻痺してると言うか、慣れてきてしまった感じもあります。
クライマックスからラストのオチについては個人的には及第点でも、もう少し他の締め方があったかと思うし、他の締め方の方が良かった様にも思えますが、実在の地域をベースにしているのであまりにも最凶の呪われた地区的に断定してしまうと、いろんな兼ね合いで難しいのでなんとなく大人の事情でこの着地点かなと解釈w
ラスボスの摩耶は怖いことは怖いけど、ちょっと弱いかなぁ。
「皆殺しの清水崇監督」にしては割りとマイルドな感じではありますw
犬鳴村の設定もかなり古き因習で大正から昭和初期にあったであろうと感じられる設定も和製ホラーぽくって良い。
この辺りを深く突っ込むと人権差別の類いになるので難しいんですが、歴史の裏側と言うか、社会の歪みや醜い部分ではありますが、こういった負の感情や連鎖的なのはゾクッとした怖さがあって好きなんですよね。
特に和製ホラーって、あまりにも非現実過ぎると冷めてしまうので、“もしかしたらあるかも…”と思わせる現実感がそこはかとなく漂うぐらいが良いかと。
そう考えると都市伝説として名高い「旧犬鳴トンネル」を題材にしてるのはリアル感はあるので良いかと思いますが…実際に取り扱うとなると本当に呪われそう。
犬鳴村の住民の糧などは見ようとよっては放送倫理に引っ掛かりそうな感じがします。
特に秘密とされる「交わり」はかなり禁忌な感じなので、取り扱いが難しいかと思いますが、この作品の忌まわしい過去として成り立たせてる要素としてもなかなかゾクッとします。
清水崇監督と製作サイドは禁断のテーマ的なこの作品を扱うのには結構英断したのではないかなと思います。
ですが、細かい所では気になる所はやっぱりあります。
・三吉彩花さん演じる主人公の葵はちょっと実年齢以上に大人に見えるので高嶋政伸さん演じる父親が父親と言うよりかは兄ぐらいに見えるし、坂東龍汰さん演じる兄の悠真が兄に見えない。弟の康太なんかも弟と言うよりも子供に見えるんですよね。
設定年齢も多分20代前半かと思うんですが、ベテランの臨床心理士に見えるし。高級車を運転するのも板についてるしw
・ネタバレになりますが、古川毅さん演じる成宮なんかも心強い援軍な訳ですが、あまりにも葵とかと普通に接しすぎていて、映写機回したり、クライマックスで摩耶を悠真と一緒に止めたりしてるのを見てると幽霊なんかどうかも分かり難くなるんですよね。
それこそ、犬鳴村の村人達の様に輪郭をボカしたりノイズが走った感じとかなら判別がつくんですが、あまりにもハッキリクッキリし過ぎているんですよね。
・また、ダムの底に沈んだ筈の犬鳴村が夜中2時になると現れ、赤い橋の公衆電話がなると言うのは良いとしても、タイムスリップの設定を絡ませた時点で少々ややこしい感じにはなっております。
他にも悠真と康太だけが何故捕まってるだけで済んでるのかが謎だし、康太はその後何の被害もあってないのもちょいと不可解。
葵の患者でもある、遼太郎の立ち位置も分かるんだけど、遼太郎がいる事で些かややこしくしている感じがあるんですよね。
まぁそんな細かい事を言い出したら切りがないと言うのも分かってるけど、ちょいとややこしくもあるんでもう少しシンプルにしても良かったかなと思います。
都市伝説には都市伝説になるだけの何かしらの理由がありますし、いわくのある土地にはいわくがあるだけの理由があると思います。
怖くて興味本位で覗いてしまいそうになりますが、興味本位で覗くとやはりろくな事がない訳で、昔から言われる「触らぬ神に祟り無し」の言葉は決して大袈裟ではないかと思います。
九州に実在する犬鳴の都市伝説がどうかはさておき、それでもそれを興味本位で覗くのは止めた方が良いよと思わせる。
(実際の旧犬鳴トンネルはもうすんごい恐いらしいんですが)
因習を扱い、横溝正史的な怖さが漂う感じの正統派の和製ホラーとして結構評価してますので、結構お薦めです。
昼行灯さん
コメントありがとうございます。
怖い作品であるのは間違いないんですが、村人のシーンはゾワッとします。
角川映画のミステリーホラーは独特な陰湿さがあって癖になる感じですが、この作品でもそれが感じられるんですよね。
ツッコミどころがある方が何度も観たくなるのは同感ですw
また、お暇がありましたら、覗きに来て下さいね♪
巫女雷男さん
コメントありがとうございます。
極力ネタバレを意識して書きましたが、お褒め頂きまして、ありがとうございます♪
また、お暇がありましたら、覗きに来て下さいね♪
村人出現のシーンは、新しい感じで怖いですよね❗
カドカー映画の、横溝シリーズ。あの雰囲気は、やっぱりJホラーには残して欲しいし、個人的には必要不可欠だと感じています。
ん?何で?って感じたりツッコミたいシーンは、少なからずあった方が、何度も見てしまうのですが……
※あくまで個人的な意見です。