天気の子のレビュー・感想・評価
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アニメ作品としても青春作品としても、一級の作品です♪
この夏の話題のアニメ作品とあって観に行きました♪
で、感想はと言うと、良い♪
映像キレイ。音楽良い。ファンタジー色はあっても淡い青春映画。
期待通りの面白さは十分にあります。
ただ、新海誠監督作品は前作の「君の名は。」から過剰にブランド的に持ち上げられていて、些か閉口感は正直あります。
ジブリブランドの次となる細田守監督の作品と同じぐらいにしようと過剰に持上げ過ぎ感があって、逆にちょっと損をしている感じがしなくもない。
「君の名は。」と同年に公開された「聲の形」や「この世界の片隅で」の方が個人的には響きましたが、好みはあっても、必要以上に“面白いでしよ!凄いでしょ!”感を押し付けられるとちょっと斜に構えた見方をどうしてもしてしまうんですよね。
なので、今回は期待値を上げずに平常心で鑑賞しました。
そうすると…普通に面白かったw
新海誠監督色が今回もふんだんに出てますが、映像がやっぱりキレイ。
特に雨粒の表現が抜群でなんとなく「マトリックス・レボリューションズ」のラストを思い出しました。
東京の様々な場所の描写も良い。
過剰にタイアップしているとの声もありますが、リアル感をあって、観ていても違和感は無し。
様々な場所の描写が作り込まれているのが新海誠作品の持ち味なのでこれぐらいのタイアップは問題ないかと。
オカルト雑誌「ムー」とのタイアップをした事で、妙なリアル感と親しみ易さも感じられるし、良いタイアップチョイスかと。
あと、アニメ作品で“バ~ニラ! バニラ バニラ!”の曲が流れるとは思わなかったので、軽く笑いましたw
キャラクターも魅力的でキャストの声優陣も良い。
一昔前の本職以外で俳優が声優をするとなんとなく浮くと言うのも特に感じない。
主演の二人も問題ないし、本田翼さん演じる夏美も問題ない。
が、小栗旬さん演じる須賀と平泉成さん演じる老刑事の安井はそれぞれに小栗旬さん色と平泉成さん色が多々ありな感じで、特に平泉成さん程の個性的な俳優さんは個々の個性を適度に消すのはなかなか難しい。この辺りが俳優さんをキャスティングする際に重要視して欲しい部分ではあります。
ラストに関してはいろんな意見はあるかとは思いますが、じゃあ帆高の取った行動を否とした場合、陽菜は人柱として犠牲になってた方が良かったか?となるとそれも違うと思う。
大半の土地が海に沈んだ東京は様々な弊害があると思うが、かと言って陽菜の犠牲のラストは正直観たくない。
青臭い事を言えば、青春は時として残酷だけど、それは世界に取っても残酷な結果をもたらす事にもなる訳で、その結果に過ぎないかなと。
1人の少女の犠牲より、海に沈んだ東京であっても、それに適応する人間の順応力の方が遥かに良いのではないかと。
過去の新海誠作品ではアンハッピーエンドも多々あると聞いてますが、映画はハッピーエンドの方が良いし、楽しく観たい。
帆高と陽菜の物語にはハッピーエンドを迎えるだけの魅力は十分にあります。
また帆高が何故家出したのかも特に明確にされず仕舞いと、陽菜が天気の巫女となった切っ掛けのビルの上の神社の経緯と何故あの神社がその切っ掛けのになったのかぐらいの理由は説明があってもよかったかなと思います。
原作の小説を読むとその辺りが明らかになってるのかも知れないけど、基本的に映画単体以外を見ないと完結しない物に関しては、ちょっとズルいと言うか、未完成に感じるので、帆高の家出理由とあの神社の意図ぐらいは知りたかったかなと。
青春映画としても、アニメーションを使った手法の映像作品としても十分に価値のある作品だと思います。
細かく作り込まれた映像とリアル感とアニメ映像の心地好さも良い。
ソフトバンクのお父さんの2ヶ所の出番の内の1つは見つけられませんでしたが、探す事に集中し過ぎるとストーリーや映像があまり入ってこなくなるので、こう言ったやり方はあまり過剰に煽らないで欲しいかなとは個人的に思います。
観る価値は十分にあるので、出来れば大きなスクリーンで映像の綺麗さを堪能して頂きたいと思います。
メッセージを読み取るのがすごく難しい
新海誠監督作品は独白シーンが毎回観てて
モニョモニョするんですが、今回もそれは拭えず。そこは合わないんだな〜と思いました。ただ、映像は綺麗。これでもかってほど景色の映像が出てきます。
・帰りたくないからと家を飛び出す主人公
(最初傷だらけだったから虐待されてるかと思った)
・社に祈って鳥居をくぐったら100%の晴れ女になったヒロイン
・あきらかに未成年と分かっているのに、
住み込みで働かせて、自分の身が危なくなると関わるなという男
・拳銃
・性格悪そうな警察官
というあまりにも情報量がとっちらかっていて、内容を理解する前に映画が終わってしまった…というような印象でした。
昔話の人柱って雨を降らすためにって話が多い気がするけれど、そこをあえて晴れ女にするところは面白いな〜と思いました。
東京を沈ませたのは、近い将来こうなることを暗示しているのか、はたまたそこに別のメッセージがあるのか…って感じです。
警察から逃げるところは
「おいおい、このまま逃げてもどうにもならないんだし、早く捕まってた方がいいだろ〜」って見方と「逃げて逃げて〜!!」って見方で自分がこれからの人生をどう歩んで行くのかみたいなものが見えたような気がします。大袈裟だけど。
前者はなんか人生諦め肝心のような。後者はまだ未来を諦めてない、がむしゃらな感じ。
私は前者なのかな〜。
そういう意味では、この映画を見て
「もう少しがむしゃらに生きてみてもいいかも」と感じました。実行出来るかは別として。
ラストは新海誠監督の作品をよく知ってる方なら予想通りな感じです。なんかもうその辺は安心して見れます。
でも、あれだけ拳銃ぶっぱなしたり
警察沙汰になって何ともなかったかのように
みんなが過ごしてるのはさすがに
「えええええ、なんかすごいご都合主義…」感が否めなかった。
とはいえ、ジブリのように考察できるとこは色々あると思ったので、他の方のレビューを見て、色々と自分の中で消化していこうかな〜と思います。
よかった
まず説明しないことが上手いな、と思いました。
隅々まで説明しないからこそのテンポ感、大事な部分の掘り下げに時間が取れたんじゃないかなとそのバランスが絶妙でした。
少年少女が主役の物語だからこその行動の甘さ、迂闊さがあり、そしてどうしようもない理不尽(に見える様)な事が起きる、ということが描かれていました。
その中の一つで拳銃はとても危険なものでそんな物をお守りとして持つなんて、そう僕も思いましたが、家出をして警察には頼れない、何かあったら自分の身を守れる最後のセーフティとしての役割だと考えると腑に落ちました。
最後の傾き方もとても好きでしたがそれを見守る大人たちの温かい言葉がとても印象に残りました、好きな作品ですね。
素晴らしい映画をありがとう!
天気の子、IMAXで観てきた!
マジ最高だった(^o^)
RADWIMPSの音楽がマッチしすぎてヤバかった。
自然と涙が・・・
そして、滝くんや三葉などの君の名のメンバーが出て来て驚いたww
本田翼、いろいろ言われてたみたいやけど、普通に良かった!
CMでも流れてた夏美の最初らへんのセリフ「君の想像通りだよ」のアクセントとかには、確かに少し違和感を覚えたけど、後は気にならんかった。
自分が夏美を見て想像してた声とは違ったけど、いい意味で裏切ってくれたと思う。
そして、天気の子のラスト、言うなれば一人を選ぶか、世界を選ぶかの選択
多分正しいのは世界を取ることなのだろう。自分がその立場になったとしても、その選択を取る、いや取ってしまうだろう。その後、ずっと後悔することが分かっていても。現実ではできないからこそ、天気の子のラストは素晴らしいかったと思う。
少し心理描写の説明不足な所もあるにはあるが、そこは多分想像力を働かせてほしい部分だと思う。また、ちゃんと見ないと分からない部分もあるので、そこは何回か見てもらいたい。
好みが別れる作品になっていると思うが、とても素晴らしく、アニメ好きの私的には、アニメの中でトップを誇っていると思う映像美は、それだけでも見る価値がある。
ストーリーは微妙だけど描写は最高。
私の知識不足、鑑賞力のなさもありますが、個人的な疑問。
・主人公の家出理由が曖昧。
・くそでかい雨の塊が落ちてきたりしてたけどあれは結局なに?
・ヒロインは晴れ女の力なくなったってのになぜ東京はいまだ雨のまま?
・東京の水没は昔の東京に戻ったってことでいいのか
・主人公は拳銃を一時所持してたけど、お守りとして持ってたとか普通にやばい人じゃないか?
・主人公が家出して問題起こしておきながら地元にしれっと帰ってきてるのがムカつく。
超常現象がテーマであるからこそ説明ができない部分やしづらいところははしょられて何だか都合の良いところだけ見せられたという感じ。
最後にヒロインを救って一緒に空から落ちるシーンは千と千尋を想起させられた。大粒の涙とか。
ただ本当に背景がきれい。美しかった。東京に住んでないから東京に行きたくなる、住みたくなるような、東京の都会の雰囲気や一歩外れた廃れた街並みとかがよく表れていて、ああリアルで綺麗だなと思った。
雨の描写もジブリより好き。しっとりしていて、なんだかリラックス効果があるようなそんな感じがあって、落ち着いていてすごい好き。
違法行為について
ストーリーの中において違法行為を入れてくるが、少年法であるうえに情状酌量余地を入れた内容となっている。違法行為のくだりは、ストーリー構成上、結果的には不可欠であるが、法律を勉強している身からすると心底楽しめなかった。
"個人の幸せ"か"全体の幸せ"か?
中盤で、主人公を保護する圭介が「人柱が犠牲になるより異常気象が無くなる方がいいと誰でも思うだろ?」といったような発言をしていましたが、この作品では「個人の幸せか、全体の幸せか?」というテーマが描かれていると思いました。
殆どの人は"個人の幸せ"よりも"全体の幸せ"を優先すると思います。私が今まで見てきた映画は"犠牲になったヒーロー"が描かたストーリーばかりでした。
しかし、この映画のラストは真逆なのが新鮮でした。個人にとって、愛する人は全体よりも大事に思えるものなのだと感じました。(その結果として東京が水浸しですが..)
この映画におけるキーパーソンは、この発言をした圭介だと思います。作中で圭介は自分と娘の生活の為に、主人公を追い出すなど、"大人としての対応"をします。 しかし、最後の最後で、ヒロインに会いたいという主人公の気持ちに自分の過去を重ねて、警察官に対峙し、ルールに違反してしまうのです。何だか切ない気持ちになりました。
映像がとても素敵だったので、映画館で見る価値はあると思います。写実的な絵とファンタジーな物語のコントラストも良いと思いました。
予告映像をもう少し…
本編はさすがです。「君の名は。」と好みは分かれると思いますが…今回は予告動画にあまり魅力を感じられなかったというか、「雨男」、「晴れ女」の対の2人の話と、予告で言ってたらもっと興味持って行けたかなーとはおもいます。というのも前作君の名は。は単純に入れ替わるだけの物語かと思いきやの謎という予告に引き寄せられてヒットしたところもあるのでは無いでしょうか?
思い切った設定でしたね
鑑賞当日はちょっと寝不足な上、レイトショーだったので途中眠くならないか心配でしたが、最後までしっかり楽しませてもらいました。
「君の名は。」同様に、超常現象を前提にシナリオが進んでいく点は同じですが、本作はその超常現象がヒロインに発動する必然性がイマイチ良く分からないことも含めて、主人公の2人が置かれたシチュエーションが説明不足のため、感情移入し辛い面がありました。(終盤、隣に座ってた人がハンカチで涙を拭っている風でしたが、いったいどこが泣けるのだろうと不思議に思ったほどです。私の感性が鈍いだけなのかもしれませんが)
そのためか、「君の名は。」の時に感じなかった「そんなワケないだろ」という思いが常にあり、次の展開が楽しみでどんどんのめりこむ・・・という感覚ではなかったです。
それでも、新海誠作品ならではの美しい映像はさすがでした。「言の葉の庭」でも感じましたが、新海誠作品で描かれる雨の映像は本当に天下一品ですね。
実はこの作品を見て、一番思い切ったなと思ったのは、ストーリーそのものというより、これほど注目度の高い作品でありながら、東京を豪雨で沈ませるようなネガティブな状況を描いたことでした。ここ数年毎年のように日本の各所で豪雨被害が発生している中、下手すると(敏感に反応する人たちが騒ぎ出して)上映自粛になりかねないような内容です。そんな状況に今年陥らないことを祈るばかりですが・・・。
とはいえ、単なるハッピーエンドにしないところが新海誠監督作品らしいところでしたね。すべてがうまくいって終わる方が一般受けするのでしょうが、今回のような設定にすることで強いメッセージを送ろうとしたのかもしれません。
「君の名は。」ほど万人に薦められる内容ではないように思いましたが、それでも一度は見るべき映画ではないでしょうか。
雨や空が美しい、監督集大成作品なのでは。
けぶるような雨、落ちる水滴、雲間から射す光、空の魚、空の上の世界。
ただただ美しく、雨の空気の匂いを感じる錯覚すら覚える映像に感動した。
これ観るだけでも劇場行く価値はあると思う。
ストーリーは、居場所を持たずに故郷を飛び出した少年・帆高が、天候を操る力を持った少女・陽菜に恋をして、世界の異常気象を止めるために自己犠牲を払おうとする彼女を取り戻す(世界秩序よりも大切な女の子を選ぶ)物語。
フォーマットはいわゆる新海誠監督が初期に制作していた「セカイ系」作品にあたると思うんだけど、でも以前は2人だけの世界(僕と彼女)で閉じがちだった物語を他者を巻き込むようなひらけたものにしていて、ある意味進化したセカイ系の物語だったような気がしている。
逃避行には2人にとって大切な弟・凪がいて(この凪くんが聡明なナチュラルイケメン!)、帆高に関わった須賀さんや夏美さんも巻き込んでの物語になっている。
須賀さんがもう一人の帆高として物語を背負っていることがちゃんと描かれているのも良かった。
そしてそんな周囲の人々は帆高が「世界の秩序」よりも「大切な人」を選ぶよう背中を押してくれるのだ。
初期の新海誠監督が、「大切な人」に手を伸ばしきれずに失った喪失感を抱えて生きる男の子たちを描いていたところを(それはそれで作品として私は好きだが)、本作では周囲の人に助けられながら手を伸ばして「大切な人」を選び取っている。
そういう意味でアニメーション制作を続けた監督の新しいアンサーであり、集大成の一つでもあるのかなあと感じた。オタク層のみでなく大衆向けとして完成した映画だった。
(私個人は新海監督の作品の喪失感や痛み中毒者だったのでそこは少しだけ物足りなくもあるけども…。笑)
君の名は。メンバーが出てきたのも、サービス精神たっぷりで嬉しい。
暴力描写が悪目立ち・・・なぜか?
最初に申し上げますが、新海監督作品のファンです。
過去の作品においては「星を追う子ども」以外(笑)は、一定以上のちょっと贔屓目な評価をしてきました。
ほとんどの作品は無論DVDを購入して、たまに鑑賞しては悦に入っている奇妙なオヤジです(笑)。
マイナーで知る人ぞ知る繊細で美麗な映像作品を作り続けてきた監督が、前作でアニメファンや映画ファン以外にも認知され完全にメジャーになったことをちょっと寂しく思いつつもとても歓迎しておりました。
今作「天気の子」も期待に胸を膨らませ(笑)、公開初日で鑑賞いたしましたが、実際「ありゃ?」って感じで拍子抜けしています。
残念ながら、正直いまいち心が動かなかったからです。相変わらずの至高の映像美に終始、陶酔していたにもかかわらず。
その理由のひとつとして挙げられるのが過剰演出ともいえる暴力描写です。
私は基本的に暴力描写自体が嫌いってわけじゃなくて、シナリオや演出上適切に使われるのであれば、大袈裟に言えば殺戮の限りをつくしたってokという人間です。エンタメ作品のフィクションに倫理観を持ち込む様なヤボではありません。
しかし主人公が唐突に拳銃を拾い、違法風俗業に携わるチンピラ店員がグーで高校生を殴り、それに向けて威嚇じゃなくて実際発砲し・・・確かに目を引きましたが、それらの一連のディテールが甘くて「表現上、監督の手の内に入ってない」から、逆に悪目立ちしちゃって違和感しか残りませんでしたよ。
過剰演出の為に、禁断のアイテム(暴力)に手を出した感が否めません。
案の定、拳銃は警察権力からの逃走劇のキーアイテムとして使われ、「陽菜に会いたい」という強い思いを表現するに至ったんですが、「ああ、自分の立場を捨ててまで会いたいんか!」という前向きな共感ができませんでした。
むしろラストシーンで主人公が拳銃を警察に向けながらブルブルするのをみて「当たった後の2作目は失敗できないよ〜」という誰かさんの心の叫びが聞こえてきたのは、私の空耳だったのでしょうか・・・。
昔からのファンなのに嫌味なレビューになってしまった。他のファンの方、ごめんなさい。
次回作に期待します。
では。
新海誠、歴代で最もエンタメ性の高い作品(後半ネタバレ考察)
新海誠の作品は、ほしのこえから全作観させて頂いているが、本作がエンタメとして一番完成されていたと感じる。
まず、
本作で、放映前に散々酷評されていた本田翼の声だが、新海マジックに掛かり、見事に作品に溶け込んでいる。
全編を通して、
話の伏線や、ヒントの貼り方も綺麗なので、観ていて飽きもない。
何より、主人公のガキっぽさを除き、出てくるキャラクター全てに愛しさを感じる。
前作以上に曲との親和性も高く、音楽に語らせるシーンは、キャラ表現を一段と魅力的なものにしてくれた。
前作からのファンへのサービスも多めなので、「君の名は。」を見ていない人は一部カット割りに違和感を覚えるかも。
是非未視聴の方は観てから劇場へ。
16歳の少年が、自分の意志で選ぶ事の、強さ、弱さ、愛しさ、その全てと、結末を、
劇場で観て欲しい。
以下、ネタバレ考察に入ります
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本作は、
今、この瞬間に、選択する事の大切さ
を描いているように感じました。
帆高のyahoo!知恵袋に頼るところは、優柔不断な少年そのものだ。
そんな彼が、全てを捨ててでも、今この瞬間に彼女を選ぶ。
彼の人生で、最も優先するべき存在と出会えたからこそ。
だからこその、選択の価値が胸を打った。
何よりもキーマンとなるのが、須賀圭介の存在。
須賀は、過去に妻を失っているが、指輪の描写や流した涙、帆高への言動から、妻が巫女になってしまい助けられなかった(記憶は事故として処理されている可能性あり)事が推察される。
そこから、陽菜を救えなかった穂高が大人になったメタファー→須賀と捉えられます。
今、この瞬間の幸せを望み、願い、選ぼうとする帆高。
過去に選択できなかったまま大人になってしまった須賀。
だからこそ、須賀は帆高に託し、選択をし直す。
彼が語った「優先順位」と言う言葉は、未来の幸せを願っていたり、大衆の幸せを願っているが、今この瞬間の幸せを切り捨てる事も多い。
だからこそ、帆高の選択は、甘く、浅く、それでも愛しい。
今、この瞬間の幸せが続く事が、未来の幸せにも繋がると信じている。
その思いを選択するのは、歳を重ねる事に、躊躇ってしまう。
また、須賀の妻が人柱になっているのだとしたら、あの世界は定期的に人柱を捧げなければ、天の気分を保てない程の狂った世界になっていたと思う。
天の気分としては、悠久の時の中ではこの期間は雨が降る事が、普通の事だったのかも知れない。
彼女や、同様の犠牲を払ってでも、今までの世界を保つ事の方が「正しい」のだろうか。
ラストシーン、陽菜と再会をするシーンで、彼女は祈りを捧げている。雨は止まない。巫女ではなくなっている。
彼が世界を変えたのか。戻したのか。元々狂っているのか。
最後の結末こそが、世界の正しい在り方だったのかも知れない。
全ての責任を感じつつ、それでも彼女がいる世界を選ぶ。
その選択が、帆高にとっての「正しさ」であり、世界と自分への肯定だ。
だからこそ最後の「僕たちは大丈夫」の言葉は胸を打った。
800年も前からの民間伝承としても語り継がれる「天の巫女」
その間にも、人知れず多くの巫女が人柱になっていたのだとしたら。
その世界の方が正しいと感じる事は、気付いた瞬間に出来なくなる。
既存の価値観からの大衆的な平和や正しさではなく、
それぞれの意志と幸いこそが、僕らの世界を作る。
君の名は。と比べられる事が多いが、
救うの視点が違い過ぎる為、比べられる話ではない。
ただ、このエンディングを描く事は、多くの批判を受ける可能性がある。
それでも、この「選択」をした主人公、監督、制作関係者の方へ、最高の賛辞を送りたい。
個人的には、夢落ちのようなエンディングにならず、選ぶ事を恐れなかった事が本当に素晴らしい。
全てのラインをたどりながら、何度も鑑賞したいと思う。
君の名はより好き
※軽度ですがネタバレを含みます
新海節が前回という話を聞き、また評価でもビターな後味との事を聞き見に行ってまいりましたが。見終わった感想としては「新海節とはなんぞや?」と疑問になるほど、後味の悪さは別にありませんでした。
思春期の少年が家を出て憧れの都会へと上京し、そこでの出会いが、経験が、恋が、少年を成長させていく。一夏の青春を描いた王道的なボーイミーツガールだと思います。
細かい設定の粗とか、現実ならどうだったかなんてのは割とどうでも良く、頭空っぽにしてみる類の作品。そもそもリーゼントの警官なんてキャラクターを出してる時点で、リアリティを描こうとしてる感じは全くしないですしね。
前作「君の名は」と比較すると私は断然こっちの方が好きです。
恋愛というよりはストーリー重視で物語の謎を追う事が主軸であり、少しミステリー色もあったのが君の名はだと思います。
天気の子は本当にすんなりとただただ主人公とヒロインの青春を描いた作品。物語に大した謎なんてものも存在してませんし、考えるほど複雑な要素もありません。頭空っぽにしてヒロイン可愛いなーとか思うだけで楽しめる作品かと。
私は複雑な作品よりもこういうスマートで分りやすすい作品の方が好きなので、君の名はより断然こちらのほうが楽しめました。
もったいないなと感じたのはRADの音楽。正直あまりこの映画には合ってなかったのではないかと感じました。
音楽は全体的に五月蠅いなと感じる事の方が多く「君の名はでウケたから」という理由で使われただけの印象を強く感じてしまい、映画と音楽を合わせようという意識はあまり感じられませんでした。
晴れを扱った作品なのか雨を扱った作品なのかでイメージがだいぶ変わりそうですが、個人的には雨を題材とした印象が強い作品だったこともあり、全体的にジャカジャカした音楽よりも、もう少し静かで落ち着いた曲調のほうがあっていたのではと感じました。
アニメ作品での素直なボーイミーツガールを楽しみたい人にはオススメです。
映画館で見る価値あり
「君の名は」と比べると、それほどでもないけど、娯楽作品としては手に汗握る展開でとっても面白かったです。
最近の新海誠さんらしいハッピーエンドで、エンドロールも小気味よく清々しい気持ちで映画館を出ることができて満足してます。
約46億年の地球の永い歴史の中では、地球全体が氷の天体だったことが2回もあったこと比べると、関東が江戸以前に戻ってもいいんじゃないと私的にはスッとしました。
ただ、残念なのはヒロインの援助交際を思わせる軽率な行動と動機が納得できないのが、すごく残念で、この作品をもう2度と見ようとは思いません。
主体的に生きていい
「大人と子供の対比、主体性、思いの純度の高さ」
適当に思ったことを。まとまりのない文章ですみません。
犯罪を犯しても、東京が水に沈んでも、女の子を救いたい。この選択をとることに迷いがない。
→
主人公は重大犯罪を厭わず犯せるほどのこうしたい・こうあるべきだという混じりけのない思いを持つことができていた。このとき、少年は自分の生活や、周囲の人、社会全体のことはほとんど考えていない。
要は、独善的だけれども単純な思考で、しかも自分の行動が正しいと自分で確信できている。
このような、シンプルに何が正しいのかを自分で決めるのはオトナには難しいし、自分の選択が本当に正しいと自分で確信することは難しい。
通常、オトナは人生経験を経て自分の生活や、周囲の人、社会が波風立たないようにしようという考えが頭に浮かぶので、こうありたいと思っていても、いろんなことを考慮に入れて、総合的な判断で無難な選択しがちだ。
つまり、オトナになると、混じりけのない思いで行動を起こすのが難しくなる。
この点、今回の主人公はいろんなことを度外視して、女の子を救いたいというピュアで強い心のみで行動できていたのをみて、自分も子供のころは今より純粋で強い思いを持てていたなと懐かしく感じた。オトナになった今は無難なことしかできないし、感情の振れ幅も小さくなった。
・世界は変わったんじゃなくて、「世界を変えたんだ」という表現。
→主体性が感じられる。東京が水に沈んでも、引っ越ししたおばあさんが言っていたように、何とかなっている。この世界はもともとくるっているから、自分が独善的に世界を変えても何とかなるから気にするな。周りを気にせず思うようにやれ。ということ。
ラストはアレでいいのかなぁ、うーん…
結局、東京は水没して壊滅状態になっちゃうわけじゃないですか。それは果たしてどうなのかなぁ。
あと、主人公がピストルを見つけて隠し持つという設定って、本当に必要だったのか、ちょっと疑問に思うんですよ。
何か妙に暴力的なリアリティーがあって少し嫌な感じだった。他に代替できたんじゃないのかね。
まあ、あれがあったからこそ警察に追われることになったわけで、ラストの警察とのチェイスを作る要因だから止む得ないのかとも思うけど、なんか違う。
あと、協賛したスポンサーだと思うけど、映画の前にもバイトルやソフトバンクのCMが流れて興ざめだった。
テレビでも日清食品などその手のヤツがヘビロテしてるし、何かそういった大企業にひどく媚びてる雰囲気が感じられてしまったのはとても残念。
そうだそうだ、映画の冒頭で主人公が伊豆諸島の離島から東京に出てくる理由が不明で、なんだかよくわからないままにストーリーが進展していくのがイマイチな取り残された気が。
もしかしたら期待が大きすぎたのかもしれないなぁと。
気持ち悪いと言われる理由
やるぅ!新海誠!!
突き抜けたね、俺らが思ってた以上に突き抜けたね。
前作の「気持ち悪い」批評に、黙れ!うるせぇよ!!とデカく返して来たね。
女性キャラは全員、男の願望で描かれ、主人公の願いのために村に隕石落とすどころか、大都市を永遠に機能停止させる。
少年に拳銃、探偵物語みたいな大人、ラブホで好きな子にガウン、歳上の美少女が実はJC、お姉さんと二人乗り。
愛する人を救う為 非常階段を無限に駈け上がるシチュエーション。
少年の。いや、童貞の夢がぎっしり詰まっている最高に気持ち悪く、最高に最高の童貞映画じゃないですか。
愛する人を救う為なら世界が壊れたって構わない!!
庵野秀明がエヴァ破でやって、次作で破壊したテーマですよ。
巨匠と違う回答、気持ち悪い評に油を注ぐ加速度。
うるせぇよ!俺はこれを描くんだよ!!
私にはそう思えたなあ。
こんな小さな私的理想を、夏の大スクリーン全国毎日フル上映。
これが国民的映画になってしまう。
なるほど、パンクじゃないか。
世界の形を決定的に変えたのは新海誠本人ですよ。
ファンタジーのようで、ファンタジーではない。強烈なリアリズム
興収250億円という大記録を打ち立てた、「君の名は。」(2016)の新海誠監督の新作。
まだ未見の方、2度目の方には、"ぜひIMAX大画面で"をオススメしたい。Blu-rayパッケージや配信、テレビ放送になってからでは、もう見られない。
新海誠アニメ(COMIX WAVE FILM)は、光と影のコントラストを特徴とする主観的な印象風景が、"大画面"によく似合う。そこにアテ書きされた野田洋次郎(RADWIMPS)の楽曲が化学反応を起こし、テレビサイズやタブレットでの感動は、サイズに比例して増幅する。
今回、「天気の子」は通常版とIMAX版がある。前作「君の名は。」のIMAX上映は、公開5カ月後に2週間限定で行ったが、正式なサポートではない。
初日は話題の池袋グランドシネマサンシャインで、"IMAXレーザー/GTテクノロジー"の超大画面。2日目は通常版をTOHOシネマズで鑑賞した。
予告編やタイアップCMで多用されている、「グランドエスケープ」(RADWIMPS featuring 三浦透子)がこの作品のキモである。劇中のシーンもここがクライマックスであり、ぜひともIMAXスクリーンで"光"を、"雨"を浴びてほしい。
さて、美しいシーンとウラハラに、これまで以上に、具体的な街の風景と、タイアップ商品の描き込みが激しい。主な舞台は、新宿・歌舞伎町と田端周辺で、代々木、銀座、六本木、台場・有明エリアなどが出てくる。
本作はファンタジーのようで、ファンタジーではない。強烈なリアリズムである。そして「君の名は。」からの過剰な期待と批判にさらされる。だからこそ、新海監督はお決まりのエンディングを避けている。そこが面白い。
テーマは近年の異常気象と、歴史的な神事・言い伝え。地球温暖化によると考えられる高温、豪雨、爆弾低気圧などの自然現象に向き合っている。
日本人は大震災で自然現象の時間単位が"数百年"であることを学んだはず。
それなのに、つい最近でも天災現場のインタビューで、"生まれてから何十年も住んでいるけれど、初めて・・・"というマヌケな発言を耳にする。大自然の前に、人間の100年未満の経験や、気象庁データの150年なんてものは無意味だ。
現代の世界的な異常気象は、人類の歴史的な営みが影響している。それは多かれ少なかれ認めるところだろう。そんな時代に生まれてしまった若い子供たちにとって、それは自分達の責任ではない。
少年・少女は戦う。敵対する大人、常識的な社会規範に向かって、理想と考える小さな幸せのために。けれど大きな壁に跳ね返される。
異常気象に翻弄される登場人物たちが、平穏無事な環境に戻ってハッピーエンド・・・とはならないのだ。東京は雨が降り続け浸水していく。身も蓋もない話だ。
それは、ある意味で"あきらめ"に近い、"現状容認"である。
主人公の少年・少女は、どちらも恵まれた境遇ではない。"経済格差"も世界の潮流である。貧乏で、将来の夢も描けず、奇跡的なラッキーが訪れるかと思いきや、結局は、現状維持というリアリティである。
そんな中にも小さな愛や幸せはある。これをどう受け止めるかは、人それぞれ。
ちなみに劇中の描き込みは、観る回数を重ねて楽しめるもの。カメオ出演が至るところにある。
ソフトバンクのTVCMで、お父さん(白い犬)が、本作にカメオ出演していることが紹介されているが、それが2箇所ある。
さらに嬉しいのは、主人公の帆高と陽菜が"お天気"の仕事で訪れる、おばあちゃん(立花冨美)は、「君の名は。」の主人公の(立花)瀧くんの祖母の家だ。そこに瀧くんが出てきて、帆高と陽菜と会話する。
また帆高が、陽菜の誕生日に指輪を買い求めるシーン。店頭で応対する女性は、宮水三葉だ。さらに三葉の同級生、勅使河原(テッシー)と早耶香がエレベーターの中にいたり、フリーマーケットのシーンにも出てくる。
他にもエンドロールには、宮水四葉の名前もある。もう一回観て、高校生になった四葉を探さなければならない。
(2019/7/19/グランドシネマサンシャイン/ビスタ・IMAX)
良かった...ほんと良かった
良かった...ほんと良かった
前作と比較されがちだと思うが私は今作品も同じぐらい素敵なものとなっていると感じた。
本作では各キャラクターが世界の理不尽に対し紛糾しています。
就職活動がうまくいかない子、親と合わず家出した子、天と繋がる人柱...彼らだけでなく私たちが生きてくるうえで必ずぶつかる不合理に対し帆高はひとつの答えを見せてくれました。
何か大切なものを必死になって追い求める。例え世界の形を変え歪めても....そこに賛否はあるのかもしれない、、誰にも分からない決められない。 けどただ、、そんな譲れないものがあるということが美しく、素敵であり愛おしいことなんだ。そんなことを伝えたかったのかなぁと漠然と考えてました。
そういう意味では割と老警官と須賀の会話が物語の革新突いてるのかなぁと。ただ大切なものがあるというのは羨ましい...
須賀と帆高の対比もよかったですね。大切な人を亡くしもう会うことができない須賀と大切な人を取り戻したいともがく帆高。
最後の廃墟のシーンの須賀の心情の変化を考えるとこみ上げてくるものがあります。
本作も美しい描写とRADの曲に魅力されました。
こんな素敵な作品をありがとう!!
まぁまぁかな
映像と音楽は素晴らしいです。
ただ、君の名はと比べたら、劣る映画だと思った。映画が始まって数十分はあんまりにも退屈でした。
でも映像が美しいので、そのお陰で寝ることなく見れたかな。
映像は本当に良かった。CG使ってるのか、ビルの屋上でカメラが一回転したり、花火のシーンでは立体的に見えて凄いと思った。
ストーリーをざっくり。
16歳の島育ちの高校生、森嶋帆高が家出をして東京に出る。東京は何故か悪天候。
帆高はお金がないのでアルバイトを探すが中々見つからない。マクドナルドに入り休んでいると、天野陽菜18歳(本当は14歳)にハンバーガーを差し入れされる。
その後、帆高は船で助けられた恩人の須賀圭介(30代?)の下で働くことになる。圭介の仕事はオカルト記事を書くこと。帆高は圭介の姪の夏美と共に取材したり記事を書いたり、職場に住込みながら生活することになる。
その後、陽菜がアルバイトをクビになり、怪しい仕事に手を出そうとする。偶然陽菜を見かけた帆高は陽菜がチンピラに絡まれていると勘違いし助ける。
帆高は東京に来て仕事を探していた時に偶然ピストルを拾っており、チンピラに向かって発砲してしまうのだが、弾は当たらなかった。しかし、この時の映像が残っていたため、後に警察に終われることになる。
帆高は陽菜を救い、陽菜の家で陽菜の弟と3人で生活することになる。ここで、陽菜から自分が晴れ女であることを打ち明けられる。
帆高は陽菜の晴れ女の力を使ってお金を稼ごうと、サイトを作り仕事を取ることに成功する。陽菜は能力を使うことに乗り気でなく、積極性に欠けていた。
仕事に成功すると益々仕事は増えていく。ある時、テレビに映ったことから依頼が殺到してしまったため、暫く営業休止にする。
やがて陽菜の家に警察が訪れる。ピストルを発砲した帆高を捜索しているためだ。適当にあしらうと、帆高らは家を出る。
丁度、東京は帰宅難民が出るほどの悪天候が襲う。そのため、ホテルは満室で中々休めるところが見つけられない。
やっと見つけたホテルで帆高は陽菜から自分が晴れ女の力を使うと体が消えていくことを打ち明けられる。事実、体の一部が透明になっていることを確認した帆高は、何も知らずに晴れ女の力を使わせたことに後悔すると共に、消えて欲しくないと強く願う。
その夜、陽菜は消えてしまう。晴れ女の運命は人柱となり消えることであり、その対価として悪天候が正常に戻った。
帆高は目覚めると陽菜が消えたことに気付いた。陽菜を取り戻そうと、陽菜が晴れ女の力を手に入れた場所(ビルの屋上の小さな神社)へと向かう。そこで、陽菜を取り戻すことに成功したが、その代償として悪天候へと戻ってしまった。
3年経過したが悪天候は続き、東京は3年間雨が止まず、多くの土地が水没した。
帆高は島の高校を卒業し大学進学のため東京へと向かう。3年間、陽菜とは連絡を取っていない。たまたま道で陽菜と再開し、ここで映画は終了する。
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