天気の子のレビュー・感想・評価
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君の名は。の世界観に惹かれて…
先月の地上波で放送された君の名は。を初めて視聴し、その世界観に惹かれ、
その時に天気の子の予告編も一緒に見ていたので、
折角の機会だと思い、映画館へ足を運びました。
予告編の内容をあまり頭に入っていないままでしたが、
だからこそ色々な展開を予想をしないで鑑賞出来たのが良かったと思いました。
ただ、女の子が天気を変えられる能力を持っているという事は見る前から物語の軸として捉えていました。(タイトル的な意味でも 笑)
全体を通しての感想は、分かりたかった部分が分からないもどかしさがある、でした。
主人公の森嶋帆高くんの心情がいまいち分からず、何故家出をしてまで東京に来たかったのかを回想でも良いので表現して欲しかったと思いました。
最初は帆高くんに感情移入して鑑賞出来たのですが(東京という町へ1人で乗り込むという不安や好奇心)
物語が進むにつれて、彼にしか分からない気持ちが突っ走る描写ばかりで、このままでは最後まで彼の事が分からないだろうな…と思っていたら、本当によく分からないまま物語が終わってしまいました。
ヒロインの天野陽菜ちゃんが帆高くんを「家出少年と見ただけで分かった」等の描写があるのなら、主人公の家出についての表現は少しでもあると良かったな~と思ってしまいました。
主人公については少し思うところもありましたが、世界観に引き込まれるのは君の名は。と変わらずでした。
陽菜ちゃんの能力についてですが、「今から晴れるよ」という言葉が出た時、自分の能力について自信に満ち溢れている姿を想像してドキドキしたのですが、
物語が進むにつれて彼女が身を挺してまで誰かのため、天候のため、そして最終的には帆高のために力を振るう姿には感動しました。
夏美が人柱について陽菜ちゃんに教える以前にも、自分の身に何かが起こっていたのにも関わらず、
帆高に打ち明けるまで誰にも言わなかったのだと思うととても強い子だなあと思いました。
陽菜ちゃんは主人公を最後まで支えてくれている存在であり、
年齢を偽っていたことを最終的に知りましたが、主人公より年上のお姉さんのイメージで鑑賞していたので疑う余地もありませんでした(笑)
拙いレビューを書いていますが、
やはり自分が求めてしまうものとは別にこの映画の良さを見出せることが大事かなとも思いました。
わたし自身、理解できるほどの頭が足りない(笑)こともあると思いました。
レビューの冒頭で帆高の家出シーンについて言及してしまいましたが、
その部分が気になるまま映画を観続けていたので、少し後味が悪くなる鑑賞方法をしてしまいました。
監督が伝えたい部分はそこでは無かったと受け入れて、機会があればもう一度鑑賞してみたいと思いました。
予告編が出来すぎていたか
『天気の子』の上映が決定した2018年、いざ予告編を期待に胸を膨らませ見てみると、まあ素晴らしい。『君の名は。』を超える大都会東京の情報量の多さをそのままに描く繊細な美術のクオリティに引き込まれる。予告の時点で魅力的でたまらない、期待を裏切らないきっと素晴らしい作品なんだろうと人々に思わせる。
がしかし、今回の作品は控えめに言って本当に新海誠が作ったのか疑ってしまうレベルだ。以下、ネタバレを含み、個人的な見解から真摯に批評する。それを理解した上でご覧下さい。
あくまで個人的に"合わなかった"と感じ、"面白くなかった"とは微々異なるため星2.5評価に。正直、星2と迷ったが彼の画力に圧巻したのは事実であるので僅かながら0.5加算。
私が今作のなかで1番違和感を感じた点は"現実世界との乖離"にある。『言の葉の庭』、『君の名は。』もそうだったが、『天気の子』は"現実世界の東京"を舞台にしている。景色に映る様々なお店やその外観、配置は私達が生きている現実世界そのものだ。「あ!ここ学校への近道だ!」となるほど私達が慣れ親しんでいる景色そのものである。しかし、それに対しての登場人物の設定はあまりにも現実離れしていなかっただろうか。
私は彼らを同じ世界の住人として共感しながら捉えていいのか、それともあくまで東京に酷似したファンタジー世界の住人だと捉えるべきなのか、最後まで分からなかった。(所詮フィクションアニメに現実性を求めるのも、映画をエンターテインメントとして受け入れる軟らかい頭が欠けているが。)
この作品の舞台が東京ではなく異世界であれば、支離滅裂なストーリーもさておき、登場人物達の破天荒さにも目を瞑れた気がする。
以下、疑問に思った点を纏める。そもそも、主人公はもちろんキャラクター全ての設定が薄い。田舎島育ちの高校生が親の援助なしに東京で過ごそうと考えるのは後先考えなさすぎではないだろうか。(帆高君は使ったお金を細かくメモするような真面目少年なので、余計に違和感がある)
拳銃の一連の流れは必須だったか?少なくとも銃社会から隔離された日本人には彼の行動は理解し難いだろう。
未成年姉弟が身寄りもいないなかで約1年アパートで生活する(しかも立地もいい、田端駅から徒歩数分)のは難しいのでは?加えて、全体的に彼らのとる行動が自己中心的すぎる。「誰にも迷惑をかけてません!」と言っているが実際はかけているだろう。(落雷や、水害)たった一人の女の子のために東京を水没させる選択は果たして正しいのか?罪の意識もゼロ?フィクションならなんでもOK?小学生含む16歳以下3人の宿泊先がぼったくりラブホテルである必要性が感じられない。結局最後まで彼らの本質が全くわからない、破天荒な少年少女による日本壊滅映画に感じた。
etc...
あとは新海誠の性癖が所々で滲み出ていて、個人的には受け入れられずに終わった。私はフェミニストではないが気持ち悪いと思ってしまった。『君の名は。』から薄々出てきてましたが今作はひどい。やたらとおっぱいの描写があるし、好きな子にラブホのバスローブを着せる?なんというか、中学生男児が考えそうな妄想を可視化したような。瀧くんは可愛らしい童貞臭さでしたが、帆高くんはちょっと狙いすぎて寒かったかな…。一体どの層へ向けての作品なの?何を見せつけているの?青人向けアニメかとわ
長々と文句を書き連ねてしまったが、これは新海誠に期待していたからこそ。彼の厚みのある美術は本当に素晴らしかった。特に花火のシーンは「こんな綺麗に花火を描ける人がいたのか。」とまで思った、ずっと見ていたくなる絵だった。絵に関しては、今までのどの作品よりも素晴らしかった。人目で新海誠だとわかる色使い、筆の細さ、光の描写。新海誠の画力と合わさってこそのRADWIMPSの音楽も然り。だからこそ、もったいないと感じた。
個人的に『天気の子』は残念であったが新海誠に失望した訳では無い。むしろ、新海誠の可能性を感じた。『君の名は。』とは全く違ったテイストの作品を創りあげる才能の持ち主であるから、次回作は良い意味でも悪い意味でももっと私達を驚かせてくれるかもしれない。
猫のアメが超絶可愛かった。(笑)
責任取れって、逃げんなよって、銃口を向けてきた・・・
昭和世代の胸ぐらを掴まれている気がしていたけど責任取れって逃げんなよって銃口を向けて撃ってくるんだもんなーあにきー。
自然の力には抗えない。
氷河期が来ようと、
台風の中心気圧が750hPaになろうと、
大陸が動こうと、
火山が噴火しようと、
観測史上初でも、
地球にとってはルーティンワーク。
とはいえ、生物にとっては生死に関わる災害。
その災害に希望の光を当てる為に、
10代のガールアンドボーイが命をかける、
2人だけで、、、。
E=mc2に抗えるのか?
愛にできることはまだあるか?
考えてみると、
傷だらけの天使でおさむが代々木会館の屋上で冷たくなったアキラを夢の島に捨てた辺りから世界の形が決定的に変わっていたのかもしれない。
結界点を架空の場所ではなく、
数多ある象徴的な他の場所でもなく、
北海道でもなく、
御苑でもなく、
あえて代々木会館にしていたのは、
昭和世代の胸ぐらを掴まれている気がしていたけど責任取れって逃げんなよって他人顔するなって銃口を向けて撃ってくるんだもんなーあにきー。
E=mc2に沿わない数式公式法則化学式を考えるのはいつも人間、使うのも人間、その返討ちに遭うのも人間、溢れ出す想定外のモノに慌てる人間、アルキメデスの大・・原理だ、ちがうでしょー(苦笑)。
地球を包むくらいの大風呂敷を、
永遠と奇跡と心と魂を、
細かなディテールで綺麗にたたんでしまういつもの技に脱帽。
ありのままで生きていこう、
もう後戻りはできないのだから、
水も溜まったままだけど・・・。
雷神の 少し響みて 降らずとも われは留らむ 妹し留めば
天気の子上映中
謎か多すぎた
見終わったあと、これはどういうことだったのか? なぜこうしたのか? という疑問がたくさん残っていた。
僕の理解力が至らなかったのかは分からないが君の名は。は理解できたので少なくともそれよりは分かりにくくなっている。
ネットにある考察を見れば分かりそうだが、映画館の中でその感動を味わいたかった。
星2を素晴らしい歌に、星1を予想できなかった奇想天外なストーリに評価した。
よく作りこまれている映画だった
新海誠監督らしい作りこまれた映画だったと思います。 「君の名は。」の登場人物も出てきて、旧作を観てきた人へのファンサービスもバッチリなセカイ系映画です。 特に、ストーリー上で展開される登場人物の心情描写は素晴らしいものであると思います。
映画では、分からない部分や小説を読んでその仕草の意味(晴らした後の太陽に手を透かすのはまぶしいや気持ちいいからではない)まで分かるようになっているので合わせて読むと納得できると思います。 『一人のために世界を犠牲にするか、世界のために一人を犠牲(人柱)にするか』という永遠のテーマと、「誰かのために盲目的に一途になる」ということが登場人物の対比が見どころでしょう。
主人公帆高は、陽菜を救うために、非行を結果として繰り返してしまう。それに対して、須賀は「人柱1人で天気が戻るなら歓迎だ」とか「いい加減大人になれよ」と社会的なしがらみ(親権の問題など)や常識的、模範的な考え方、受け答えをする大人の代弁者(見ている自分たちも含めて)の象徴そして帆高とのやりとりによる変化。
映画の冒頭で拳銃摘発のニュース(メタファー)から、拳銃をひょんなことから手に入れて、拳銃を撃つシーンの対比も面白いと思いました。チンピラに馬乗りにされた時の成り行きでぶっ放しているのと最後には強い覚悟を決めて引き金を引く主人公の心情変化が見どころだと思います。
ラストの終わり方や主人公の行動には、賛否があると思います。しかし、大人となった自分の生活を振り返ったとき、どこかで諦めている自分がいて、折り合いをつけて生活している。それを否定するかのように我武者羅に大切な人のために行動する、何かに打ち込むということを思い出させるような映画であったと思います。
※物事の選択には、責任がありその代償もまた背負わなければならないので、主人公のような非違行為を全面的に支持はしておりません。
正直、スッキリはしないが…
「君の名は。」と全く違うテイストだと
思っておくだけでも観る感じが全然違う。
個人的に最後までスッキリはしなかったが
描かれるもの(社会の在り方など)には
考えされられるものもあったし、単に観る
だけではなくあれこれ考察することが面白いと思う。
風景などの絵は素晴らしいがなんとなく
私は「崖の上のポニョ」を思い出した。
この感覚が伝わる人もいるかと思う。
あと、三葉や滝くんが出ていたということは同じ
世界という設定であるだろうからこの世界に
いる人たちは彗星が降ってきたり、異常気象に
巻き込まれて水没したりと大変であるだろう。
うんうん、良かったです
新海さんならではの、複雑に絡み合った。。。は、少なく感じました。
直感で素直な気持ちで見て、個々の感想がこの映画のエンディング。。。となるのかな?と思いました。
他の方の感想を見た上でまた、見に行こうかな~。。。という気持ちです♪(*´▽`)
新海誠の新たなる挑戦
今回は、親に無断で島を出てきた16歳の金も才能もないのに東京に憧れる家出少年が主人公だ。家出してどこに住むかとか何をするかほぼ決めていない。今現在もマクドナルドで過ごす少年たちは実際いるのかわからないが、そういう少年少女たちとその親たちへ向けて新海誠と川村元気たちが頑張って作った映画のような気がする。勝手な憶測だが。
好きな人を愛する純粋さということでは、新海作品のこれまでの主人公たちと同等だろう。世界のルールをいろいろ無視しても大好きな子をこの世に取り戻してくる元気は素晴らしいというか、あれくらいの強い気持ちはなかなか持てない。
ただ、前作君の名は。よりは物語自体ののパワーは落ちているし、もうふたひねりくらい欲しい感じもある。
「言の葉の庭」にでてくる主人公よりは、すこしバカになり、捨て身になりかつ、エネルギッシュにはなった。ただ、知恵はまるでない。Yahoo!知恵袋の時代の子供たち。このことは何を意味するのだろう。偶然にも拳銃まで手に入れた。あと少しでひとを殺していたかもしれない。
好きな誰かを守るために、世界を破壊しようとするのでは、どうしようもないバカである。新海作品のテーマがもろに出てきている。
この愚鈍な世界を守るために、誰かひとりが犠牲になるということの愚かしさを描いているのだとしたら、名作だとおもう。こんな愚かしい世の中のために誰も命を犠牲にする必要なんてない。その手法は古い。もっと色々なことを暴かなければならない。正さなければならない。
その一方で、公共の福祉という大義は存在する。
製作予算獲得のために間口を広げすぎたきらいはある。そんなに商業主義に走らなくてもと思うが、次回作くらいは新海作品を追いかけていきたい気持ちもある。
映像美と、音楽
普段大失敗をしないよう、ルールを守り生きている自分から、すると、
ひなさんを求め、警察を振り切り、すすむ主人公を始め、自身の保身を省みず、主人公に協力するスガさん、なつみさんの行動に胸打たれるものがありました。
世界と、身の回りの大事な人を天秤にかけた時、大事な人を選ぶ決断に、複雑な想いもありつつ、単純に感銘を受けた。
久しぶりの映画だったが、非日常感を感じられ、自分はとても楽しめた。
映像美と音楽は、やはり前作同様良かった。
思春期に見てたら、堪らないだろうなと思いつつ、30を、越えた今でも青春感を思い出す映画でした。
穂高は、何故あんなにも、地元に帰りたくなかったんだろう。
必ず一度は見ておきたい映画ランキング1位
前作に引き続き、素晴らしい映像美とRADWIMPSの曲がマッチして、何度見ても鳥肌が立ちます。ストーリーも「君の名は」に引けを取らず、鑑賞した友人の中には「天気の子」の方が良かったと言う人も何人もいました。とにかく見てほしい、そんな最高の映画です‼︎
感性が大人な人はオススメしない映画
映画中、ずっと鳥肌が立ってました。
新海監督の映画のよさは美しい背景とリアルな描写だと思うのです。
が、リアルな描写の中のファンタジーさが違和感ありまくりでした。
最初からポエム満載だし。
刑事さんの「(精神)鑑定しますか」にすごく同意したし、線路走ってる時の通行人の「あーいうバカいるよな」にもめちゃくちゃ共感した。
あと夏美さん何社も集団面接受けてるって事は大企業またはそれなりの中小企業の求人に応募してるんだよね。
それなのに、警察とカーチェイスって…。
ネットで晒されて就職できないよ。
あと主人公の少年もなんで離島から家出したのか全然共感出来なかった。
同じような離島出身だけど。あと2、3年くらい辛抱して待てねーのかよッ!って。
中途半端なリアルの描写が鳥肌立つ。
以上ボロクソに書いてしまったんですが、同じように映画を見ていた高校生〜大学生くらいの子たちは絶賛してたので、感性の違いだと思いました。
うーん、思ったほどではなかった
ネットで結構話題になってて、たまたま昼間時間をつぶすのに丁度良いかと思って観ました
が、思った程感動しなかった。
たしかに見せ場もあるし、音楽や演出など結構力を入れているなと思いますが、主人公が
直情すぎてあまり共感できないし、最後のまとめ方もふーんと言うかあまりサプライズ感
もなかったので、今回は監督がちょっと大振り過ぎたかなと。
まあもう少し煮るか寝かせても良かったんじゃないかと思います。
あと最後にクレジットで中国や他の海外の作画協力(下請け)で名前が上がっていた人達
の中から、あっと驚くタメゴロー的な作品が世に出てくるのを期待したいですね。
「決断の行方」
キャラクターの造形、背景のあざやかさは、前作と変わらず高いクオリティで安定。
私が特に印象に残ったキャラは、夏美と凪でした。
どちらもキャラが立っており、そういった見方では、主人公である帆高と陽菜よりも魅力を感じました。
また、前作のキャラたちがさりげなく登場する場面は、とても微笑ましい演出でありました。
何故、まだ少年である帆高が、単身東京まで家出する事になったのか・・・この辺りをもう少し描いていたら、もっと帆高に感情移入できたかもしれません。
物語を締め括る帆高の決断は、またスケールと世界が異なりますが、私は原作漫画「風の谷のナウシカ」ラスト間際におけるナウシカの決断を思い出しました。
陽菜は救えましたが、その代償はあまりにも大きく・・・まさに晴れのち雨、結末は曇り。
ただ、この先もしかしたら続編があり、雨に沈んだ東京を復活させる作品が・・・これはあくまで、私の観測的天気の子予想ですが。
映像は綺麗
やはりこの監督の作る作品は映像美が素晴らしい。それだけでも見る価値はあると感じる人はいるかもしれない。
しかし、ストーリーは見るに堪えない。誰かの子供が喘息だとかなんだとか、銃のくだりだとか、回収される気が全くない伏線が時間の無駄になっている。一方で感情移入する上で必要であると思われる主人公一行に対する掘り下げがなさすぎる。
その上、映像が現実にかなり近い分、ご都合主義で自分勝手な展開が目に余る。ファンタジーと言えばそれまでだが、現実離れがストーリーの面白さにつながってなければファンタジーとは言えないだろう。ただただストーリーとしての詰め込みが甘いとしか言えない。
まとめると、新海誠監督夏休みスペシャルとでも題することのできる映画。
オチを含めて、この映画を楽しめる人はよく言えば純粋無垢、悪くいえば自分勝手(自分さえよければそれでいい)で周りへの思慮が足りない人だろう。自分は腐っても楽しめる人にはなれそうもないが、彼女にするならこの映画を楽しめる人がいいかもしれない。
子供への暴力シーンが……
個人的には「君の名は。」の方が好きです。というのも、今作は少年への暴力的なシーンがあって、ちょっと引いてしまう部分がありました。ヒロインが水商売の勧誘受けるシーンなども、アニメで観るとちょっと気持ち悪かったです。こういうシーンがあるなら実写でも良かったかなー、と思うところがありました。楽しいシーンより先に暴力的なシーンがあるので、楽しさ半減というか、綱渡りしているかのような不安があって心から楽しめなかったような感じです。映像や楽曲はとても素晴らしい。監督が賛否あるかもとしていたラストも、私的には全然アリでした。色々書きましたが、総じて面白かったです。
小説を読むのと読まないのとで大違い
まず、称賛だけのレビューではないのでお気をつけください。
二回鑑賞済みです。
一度目は特に前情報なしに、二度目は小説を読んだ後に行きました。
まず一度目に感じたのは憤りです。
映像自体は新海監督の作品らしく他の追随を許さないほど綺麗です。神宮外苑花火大会で晴れを呼ぶシーンなんかは神々しささえ感じられるほど。でも話の内容には相当な不満を抱きました。なんなんだこのストーリーはと、むかむかともやもやを抱えて帰路につき、しばらく収まりませんでした。もやもやの対象は主に主人公の帆高くんです。作中では帆高くんがどうして家出してきたのかは明確に語られていません。息苦しいとか、光の中に行きたかったとか、狭い田舎の世界が嫌で家族とも折り合いが悪いんだろうなあと想像させる程度の描写で済まされています。これで帆高くんに「世界の形を変えてしまう」ことに繋がるほどの理由があれば、こんなにもやもやしなかったのかもしれません。周囲に不満を抱えていてもそれを我慢して折り合いをつけて大人になっていく人が大多数だとは思うんですが、帆高くんは違う。いくら好きな子の命のためとはいえ、世界を犠牲にする(青空を奪う)というそんな展開はなんとも救いがない……。そんな話に感動的な音楽をつけても感動できるか!とクライマックスものめり込めない。あと個人的に雨が好きで、雨が救いになっていた『言の葉の庭』と違ってこの映画の雨は疎まれている存在なので、やっぱり雨の描写は言の葉の庭が最高……と考え始める始末。そんなものだから、これは二回目はないなあと思いました。でも、ずっとこんな風にむかむかもやもやしているままでは気持ち悪いので、帆高くんの背景が書かれていることを期待して書店で本を買って読みはじめました。普段、映画のノベライズは読まないのでわたしにとっては珍しいことです。
それで二度目を観に行ったら、結果もうぼろぼろ泣きました。小説の段階ですでに泣いてたんですが、改めて映像がつくとやっぱり泣く。曲も、一度目はいまいち噛み合ってないななんて思っていたのに本当にぴったりで、今はもう曲を聴くだけで泣きそうになるくらいです。
前回あんなに帆高くんにもやもやしていたのは、結末に比べて彼の存在や動機が作中で語られている分では弱かったというより、根本的にわたしがこの映画の主旨を履き違えていたせいなのかなと思いました。この映画の結末のように少数(一人)のために多数を犠牲にするのは適当に折り合いをつけてやってきた人には受け入れがたい選択なんじゃないかと思います。まさに大人になれよと言いたくなる。でも物語としてそれでも一人を選ぶというのならそれなりの理由がほしいのに、帆高くんにはどうもそれが足りない。だから納得がいかなくてもやもやする。でも本当は、その一人を選ぶ理由なんていうのはどんな些細なものでもいいのではないのかと、読後、映画のあらすじに書いてある『自らの生き方を「選択」する物語』という文章を見てそう感じました。
帆高くんは東京でのバイト先も陽菜ちゃんへの差し入れや誕生日プレゼントもとりあえずネット(知恵袋)で聞くという他人の選択に頼るような子だったのに、そんな子が「世界の形を変えてしまう」ほどの選択を自分の意思でするなんて、改めて考えたら凄まじいことだなと思いました。それと対照的なのは線路を走る帆高くんにスマホを向ける人たちなどの、現代の一般大衆ですね。この作品は大衆向けの「恋愛」をメインにしていた『君の名は。』とは違って社会性の強いメッセージが多く、前作の後でこれは勇気ある選択だと思うのでこれからも監督には挑戦していってくれたら嬉しいなと思います。
話は戻りますが、小説のあとがきでは新海監督が小説と映画の違いについて、クライマックス近くで夏美さんが帆高に向かって「帆高っ、走れーっ!」と言うシーンを例にあげて説明してくれています。映画ではそのひと言に関わる、役者の声とか音楽とか、諸々の要素があってぐっとくるようなシーンになっている(といい)けれど、小説では、そのひと言だけで同じ効果を持たせるのは難しいので、比喩を用いたり、物語の前半から夏美の人生をある程度描いていく必要があると仰っていました。
その言葉通り、小説では夏美さんはもちろん、須賀さん視点の所もあり、映画ではそこまで焦点の当たっていなかった二人の過去や考えもより見えてくるので、二人の行動にも納得がいきました。
この二人の行動や考え、帆高くんや陽菜ちゃんの心情がよりはっきりしてくると、この映画はただの青春映画というわけでも、子どもがいいとか大人がいいとかでもなく、自分で選ぶことが大事なのだと思わせてくれます。帆高くんもクライマックスで「僕が選んだんだ」とはっきり言っていて、この一言にこの物語の全部が詰まっているんじゃないかなと思いました。
小説を読んで印象が変わったり、はっきりしたことは一部ですが以下のようなものがあります(括弧はページ数)。
★帆高くんが家出をした理由についてはっきり書かれている。
・あの日、父親から殴られた痛みを打ち消すように、自転車のペダルをめちゃくちゃに漕いでいた。(P206)
・つい先月まで、誰かに命令されることや押さえつけられることをあれほど憎んでいたのに。(P58)
元々親とは折り合いが悪く、殴られたことが決定打になったようですね。小説では島に戻った後での親や周囲のことも映画より詳しく語られています。
★帆高くんは須賀さんや夏美さんを「好き」だと思っていたし、二人がいるあの場所を大切に思っていた。
・僕の今までの身の上話も強引にさせられて、それはくすぐったくはない場所をずっとくすぐり続けられているような――たとえば頭の後ろを誰かの優しい手で掻き続けられているような、不思議な感覚を僕に残した。……(中略)……ずっと未来、自分が老いて孫を持つような歳になった時にも、僕はこの雨の夜のことを不意に思い出すのではないか。(P52,53)
・二人ともなんかかっこいいな、と僕は思う。……(中略)……須賀さんも夏美さんも、…(中略)…当たり前の従業員として、当たり前に頼ってくれるのだ。僕を叱りながら、お前はもうちょっとマシになれる、彼らはそう言ってくれているのだ。(P63)
・どうして僕は、好きだった人に銃を向けているのか。(P253)
劇中だと帆高くんと須賀さん夏美さんとの関わりはどうしても陽菜ちゃんと比べるとあっさりしていたので、二人のこともこれほど大切に思っていたんだなあと思うと、須賀さんに「もう大人になれよ、少年」とお金を握らされ突き放されたらどうしようもなくなりますよね。
★陽菜ちゃんについて。
帆高くんに抱く感情についての独白があった。
・もし君に会えていなかったとしたら、私は今ほど、私自身も世界も愛せていなかった。(P207)
・――いやだ、と、満ちてくる多幸感と同時に私は思う。まだいやだ。私はまだ、君になにも伝えていないのに。ありがとうも、好きも、言えていないのに。(P208)
★夏美さんについて。
夏休みまで就活すらしていなかったらしく、その理由が語られている。夏美さんの父親、つまり須賀さんの兄が財務官僚ということも判明。父親とは相性が悪く、須賀さんの所でアルバイトをしていたらしい。
・……なにかに抗議するような心持ちで毎日を意識的にだらだらと過ごしていた。そのなにかとは言葉にするならばたぶん「親」とか「社会」とか「空気」とか「義務」とかで、それが幼い反抗心だとはわかっていても……(中略)……私はまだ、なににも屈服なんてしたくない。
――要するに私は大人になりたくなくて拗ねているのだ。(P54,55)
家族というコミュニティに息苦しさや不満を感じていた点は帆高くんと一緒だっただろう夏美さんは、帆高たちとの一連の出来事を通して、自分でそうなりたいと願って大人になることを選ぶ所まで書かれていました。
・――私はここまでだよ、少年。
私の少女時代は、私のアドレセンスは、私のモラトリアムはここまでだ。
少年、私はいっちょ先に大人になっておくからね。君や陽菜ちゃんがどうしようもなく憧れてしまうような大人に。早くああなりたいって思えるような大人に。(P242)
★須賀さんについて。
須賀家は代々地方で議員をやっているような名家だったことが夏美さんの口から語られている。
須賀さんが涙を流したシーンで須賀さんの心情も書かれていました。
・……そこまでして会いたい人。帆高にはいるのか。俺にはどうか。全部を放り投げてまで会いたい人。世の中全部からお前は間違えていると嗤われたとしても、会いたい誰か。……(中略)……俺にも、かつてはいたのだ。明日花。もしも、もう一度君に会えるのだとしたら、俺はどうする? 俺もきっと――。(P238)
そしてその後帆高くんを諭そうとしますが、「俺はただもう一度あの人に会いたいんだ」という叫びを聞いて、ああなるわけですね。
その後、帆高くんと陽菜ちゃんが戻ってきて再び雨が降ってきたときの須賀さんの独白が印象的でした。
・その時――誰もがおそらくは、その雨が普通ではないと感じていた。……(中略)……俺たちは別になにもしていない。なにも決めていない。なにも選んでいない。それでも、このまま逃げ切れるわけはない。世界はいつか決定的に変わってしまうだろうと誰もが予感していて、誰もがずっと、知らないふりをしていたのだ。(P269)
他にも「なるほどそういうことだったのか」と思えるようなことが沢山書いてあって、これは小説を読まなければわたしのようにこの映画の良さがわからない人が沢山出てしまうのでは……?と思いました。監督ご本人は映画は描ききれなかったわけではなく、小説にあって映画にないというのは、映像と小説というメディアの違いに起因するとのことです。うーん、難しいところですね。
一度観てこの映画の良さがわかった方はすごいなあと思います。わたしはここまではっきり言葉にされないと意図を汲み取れないので……。それすらも合っているのか分かりませんが。
そして二度目の鑑賞を終えて、改めてこれは確かに賛否割れる映画かなあと感じました。子供時代にどこか息苦しさを感じていた人、流されるままここまでやってきてしまったとどこかで後悔している人。過去やこれからする「選択」に対して思うところがある人には訴えるものがある映画なんじゃないかと思います。
内容としては★5なんですが、小説を読まないとこれほど感情移入出来る作品にはならなかったのでアニメ映画としては★4.5で。
嫌い・無理という方は別ですが、わたしのように一度観て何だか納得いかない・もやもやしたという方は小説を読めば見方が変わるかもしれません。
全1951件中、621~640件目を表示