「全員、大人気ない。」天気の子 movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
全員、大人気ない。
正直、よくわからなかった。
女の子の身体や恥じらいをわざと描くような描写も多すぎてなんだか苦手。
物語は島から家出をしてきた16歳帆高が、船の指示に従わず甲板に飛び出し転んで、助けた須賀という男のオカルト記事事務所に身元保証もない帆高が転がり込んでオカルト記事の取材手伝いを始める。
転がり込む前に、帆高は新宿の裏道で絡まれ、たまたま拳銃を拾ってしまっていて、親も帆高を行方不明者として捜索願いを出しているため、帆高は警察に追われて探されている。
須賀の元に転がり込む前に連日マックで夜を過ごし出会ったマックのバイトの娘、陽菜。陽菜は親を亡くし、弟を養おうとして売春に落ちそうになっていたところを帆高に助けられ巻き込まれていくが、実は晴れ女のようだ。天気を晴にできるが、代償として、いつか人さらいにあうという逸話もある。
15歳や16歳の少女少年達が、大人が思うよりもずっと、現実を背負い、大人との境目の年齢ながら、現実を生きている。
その中で、晴れ女雨男だと言っても、そうたやすく信じられる話ではないのだが。
見ていても、これが少年少女が素直に見聞きした話を信じてしまい、自身を晴れ女などと信じてしまった話なのか、はたまた語り継がれている逸話通り、人柱として天気と繋がる子が存在するのか、わからないファンタジー。
ただ、東京は大部分が海で、人が天候を見ながら入江の江戸を切り拓いていったのは確か。
長い長い歴史の中で、雨だらけの3年は自然の短期変動に過ぎず、異常というか自然の一部と捉えるのかは人それぞれ。
銃を見つけ、家出中だから交番に届けられないにしても、触ってしまう判断力のまだ子供な帆高達だからこそすんなり信じられる話なのかもしれないし、判断力が子供な帆高が思い込んでしまっただけなのか、わからない。
陽菜と帆高が一緒にうまくバランスを保てている時、陽菜の弟の凪の名前のように、天気の均衡が保たれるのかな?と思った。となると帆高は雨男?
なんにせよ、帆高が東京で出会う大人達は、アウトローだらけで、須賀はもっと早くに帆高からよく話を聞いて、少なくとも未成年を意思を持って働かせなくても済んだはず。
陽菜は弟を守りたい意志を児童相談員に伝えて、姉弟離れず過ごせる手段を考えて貰えることもできたはず。
なぜそうならないかは、雨男だ晴女だ以前に、帆高も陽菜も大人を信用していないから。
家出したり、親が亡き後お金の工面に困りながら生活をしたり。
もっと大人に甘えていい年齢なんだよと思うが、家族でない他人の大人が寄り添い親身になり、未成年の心情事情に合わせて仕事をさせてあげたり匿ってあげると、法を侵してしまう現実がある。法に則る警察では、少年少女達の理解が全く足りていない。
親の保護下にあるはずの年齢の少年少女達に、保護=終わりだと思わせて、かえって子供達を追い詰める息苦しい社会の仕組み。
世知辛い。
子供は親がいないと、社会的に本当に生き辛い現実。
そこが1番印象に残った。
事情がある子達の目に映る大人の世界が、優しくあったかく、信頼できるものであってほしい。
帆高が読んでいる本が、「ライ麦畑で捕まえて」なことからも、帆高は大人や社会に猜疑心や鬱屈を抱えて、家出をし、東京に来てそれを抜け出し大人になろうとしているのかな?とわかるし、実際本の通りに、話が進むごとに社会的な象徴である警察のルールからも逸脱していく。「ライ麦畑で捕まえて」からは何十年も経っているのに、そういう社会の構成員に、いつの間にか自分が大人としてなっている。
なんだかなぁ。