「全く共感を感じられなかった。」天気の子 にゃんこさんの映画レビュー(感想・評価)
全く共感を感じられなかった。
主人公があまりに常識を知らず矮小な価値観で動いているので、行動の意味が理解できない、全く共感を感じることが出来ず終始イライラしてしまった。自分が信じた感情や想いは自分だけが正確にわかっている、またそのために誰がどのような犠牲をうけても構わない、それがみなが見えていない正義であるから、という青年期特有の突っ走る言動に加え、自分自身は特別な存在で世の中や世界を大きく変えることが出来る存在なのではないかという子供ながらの我の強い承認欲求が終始目立っていた。それらを若く生き生きとした子供らしい描写と共感を感じられるかどうかでこのアニメの判断は大きく分かれる。
個人的には展開が最初から最後まで突っ込みどころ満載すぎていちいち書ききれないが、特に気になったのは彼女は15歳だと発覚したのになぜラストの三年後にまだ田端に住んでいたのか?制服だったから高校生だと思うが児童相談所はどうした??(児童相談所田端にあるの?)また、拾ったとはいえ本物の銃を複数の人に向けたり(実際一度発砲している)線路を走ったり警察を振り切ったり殴ったりと様々な違反行為を繰り返しておきながら、ただの保護観察で済むのか?全ては丸く収まり地元に帰って無事高校を卒業しましたとはどういうことか??(この映画にはちゃんとした大人は出てこないのか?そう思うこと自体ナンセンスであれば私はこの映画をみる資格はなかったようだ)
そもそも権利を主張するのであれば義務を果たす必要がある。彼は何一つの義務を果たさず嫌なことから逃げだし、自分よがりな心地いい世界を作ろうとして失敗し、最後は親の庇護を引き続きうけ無事高校を卒業し上京、憧れの彼女と再会を果たす。子供ながらにやりたいことだけやって大冒険の結果子供として受けられる享受は全て受けて終わるのである。あまりに幼稚で子供ぽい発想。天気云々がなんらかのメタファーだとしてもここまで共感を感じないストーリーは初めてだった。
子供と一緒に見ていたので止めることが出来ず最後まで観てしまったが一人ではとても無理だった。同じ青年期の突っ走る話なら三島由紀夫の春の雪を思い起こさせるが、深い描写や葛藤というものが皆無でまさに『清々しい』ほどの安直な浅い未熟さであった。
彼女を救いだす際の『もう晴れなくてもいい』には絶句した。もっと周囲を観て、本当は誰に守られ、愛されていたのか知ってほしい。あと歌舞伎町で拳銃を拾ったら警察に届けるくらいの常識は持っていてほしい。
中高生には受けそうでしたが個人的には時間の無駄でした。秒速5センチメートルがやや良かっただけにがっかりでした。残念ながら不快だったためもう二度と観ることはありません。