「何故こんなにロングラン?」天気の子 あざみさんの映画レビュー(感想・評価)
何故こんなにロングラン?
令和2年1月。未だに私の地域の映画館では上映中です。
観たのは結構前です。
主人公が何故家出をしてきたのかは描かれず、一人で東京を当てもなく彷徨うのが序盤。
お金もあまり無い時に入ったお店で食べ物を分けてくれたヒロインを後に助けてから物語が変動します。
今回様々な会社がタイアップしているのかチラホラ。特にバニラの広告カーがバニラのBGMと共に出た時はちょっと萎えました。
現実とファンタジーを上手く織り交ぜる事で引き込む映画なのではと思うのですが、流石にやり過ぎ感があり、入れるならもうちょっと主張を下げて欲しい。
物語はヒロインが天候を晴れに出来る力を持ち、それを利用して商売を始めますが、実はヒロインの存在と引き換えの能力だった…というもの。
主人公は雑誌編集をしている須賀という男性にとあるきっかけで出会います。晴れ女の商売以前はその須賀さんの下で記事を作成しています。
この須賀さんの考察で奥さんが晴れ女だったのではないかというモノをいくつか見ましたが、私は否定します。
理由は作中で事故死と須賀さんが口にしている事もですが、晴れ女について調べていた際、神社の晴れ女に関する伝説を聞いた時の須賀さんの反応がノーマルだからです。
心当たるのならば、ここでその反応があっても伏線的におかしくないと思います。
なのでその考察を見た時はロマンチストだなと思いました。
恐らく須賀さんは愛する奥さんの事や昔の自分の事で深い心残りがあり、主人公を見ているとその心残りから刺激されるものがあった為、突飛な行動をしたのだと思います。
世界は主人公がヒロインを望んだ為に大きく変化してしまうのですが、それを後悔なんてせずに生きていくという結末です。
いつかの作品で、新海監督が視聴者が望むものが分かった気がするの様な発言をされており、映画もヒットしておりますが、正直にそこまでのものを感じませんでした。
描かれていない部分(主人公の家出の理由、須賀さんの過去、拳銃の存在にまつわる事など…)が多い為、共感の部分が刺激されづらかったかと思います。
映像美は、リアル過ぎる広告まで素晴らしかったです。
主人公が一人上京して東京で生きていこうとする大変さ。私も似た様な経験があり、苦さが込み上げていましたが、拳銃の存在により現実と映画の落差を感じました。
映画なので勿論、創作物なのは分かっていますが、拳銃の存在で一気にこれは作ったもの感を受けてしまったのです。
なので私の中では作中、拳銃はずっと違和感でした。
主人公は一人東京を生きて行かなければならず、且つ拳銃も隠して生きていかなければいけないってどれだけ大変に生きてるの…。
拳銃を二度目にぶっ放した時、人生終わったなと思いました。
そしてヒロインを迎えに行く方法が的確過ぎる。よく思いついたなと褒めたい位です(馬鹿にはしてません。本当よくそれで迎えに行けたなと…)。
ファンタジーなのでツッコんではいけないかもしれませんが、もう少しこうしたらこうなる的な伏線が欲しい。
例えば以前も居たという晴れ女の伝説から思い当たる方法を神主から聞く機会があったとか…大人になってしまったからなのか、ファンタジーがファンタジー過ぎると感じました。
子供に戻ればもっと素敵な作品だと思ったかもしれません。
新海監督の作品の中で一番印象の薄い作品です。