「呪いの言葉」天気の子 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
呪いの言葉
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「大人になれよ、少年」
帆高を観ていて、私も須賀と同じ事を思いました。だけど、そんな事を思った大人の私は、ラストで誤魔化しの自分と向き合う事になるのです。私は「大人だから」という呪いの言葉でどれだけ大きな代償を払ってきたのか。私は「大人だから」という呪いの言葉によって、天候が狂いディストピアを作っていた事にも今まで気づく事が出来なかったのか。
今、日本を支配しているのは「○○だから」という呪いの言葉。それが現代日本の閉塞感を作り出しているのだと思います。誰もが均一的な社会の中で、晴れ女は異物の存在で、排除の対象になる存在です。晴れ女を助ける人間もまた、この世界では排除の対象になります。
だけど、晴れ女という異形を救おうとする帆高の様な人間は、ずっと昔から昔話でも文学でも映画でも漫画でも普遍的に描かれてきました。誰かを助ける人は、昔からとても尊敬されてきた人間です。それに、異形を排除することは、ファシズムにも繋がります。排除ばかりする社会にいるから生きるのが苦しいんだという当たり前の事を「天気の子」は、思い出させてくれました。
感性や感情を使う表現者は、大衆の気持ちも異形の気持ちも想像できてしまう才能の持ち主です。いわば、晴れ女と同じなのではないでしょうか。そのせいか、アマゾンに住む異形を描いた「シェイプ・オブ・ウオーター」から聞こえてきた祈りと同じ様な祈りが、「天気の子」からも聞こえた気がしました。
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