「この狂った令和を生きる人々へのエール」天気の子 masaさんの映画レビュー(感想・評価)
この狂った令和を生きる人々へのエール
この映画は表面上、「君の名は」のような恋愛映画に過ぎない。
しかし、そのメッセージ性の深さは比べ物にならない。間違いなく新海誠監督の最高傑作だと思う。
この映画を語る上で外せないことがある。「天気」って現実でいうとなんだ?人々を傷つけ、苦しめる台風、暴風、洪水。僕は天気を「人々が生きていく上でぶち当たる問題、天に課された課題」と解釈した。
問題を解決してくれる人がいたらそりゃ誰でも感謝するし、人によっちゃ大金も払う。でも、そんな生き方を続けて生きていると人間なんて疲れちゃうし、壊れたり自殺しちゃう人もいる。
周りによくいない?鬱になったり自殺しちゃったりする社会人。
少女が昇天するのは自殺、死の暗示だと思う。
そんな少女を主人公は助けに行く道を選んだ。当然、命は救えても天気は元に戻ってしまう。
でも主人公はそれでいいと言った。これはつまり世の中の問題を解決するより自分や大切な人間を守ることが大切という暗示だと思う。死んじゃったらどんなに偉い人間だって何も残らない。それよりどんなに醜くても生きていることが尊いんだ。
3年後、狂った天気の中でも電車の代わりに船を使い、人はそれなりに適応して生きていた。どんなに問題が困難だろうと案外どうにかなるもんだし、人間は意外としぶとい。生きてさえいりゃなんとかなる。
おじいさんも言ってたじゃん。800年スパンで見りゃ、最近の異常気象なんて大したこたないって。
戦国時代や戦時中に比べりゃ令和なんて狂ったうちに入らないんだよ。全然、乗り越えていける。
少女は3年の間、天気が晴れることを祈り続けてたんだ。まずは自分や身近な人を大事にして無理し過ぎず、人々の幸せを祈って生きていけば、きっと天気=課題は自分の成長の糧となり、新しい道もひらけてくるんじゃないかな。
これはこの狂った令和(笑)を生きる僕たちへのエールだ。
>>さーさーさん
コメントありがとうございます。
確かにちょっとオーバーに表現しすぎましたね。
社会は先人達の積み上げてきた歴史、技術で成り立っており、死してなおその偉大さは変わることないとは思います。
ちなみに私は若くなく(30代)、しかも技術者です。
働いていると社会や技術の進歩に貢献していることを誇りに思う気持ちも確かにあるのですが、反面、死ぬ程やるのは悪手だろと思うこともあるんですよ。
私の会社でも昔は自殺者がよく出たと聞きますし、鬱病・精神疾患の患者は今でも時々出ます。
となると私個人としては仕事を頑張り過ぎて自殺してしまった人よりは怠け者だろうがなんとかかんとか生きている人を評価したいんですよ。
映画ではその辺りのメッセージが強く感じられたためあのようなレビューを書かせて頂きました。
こんにちは。
レビュワーさんはお若い方とお見受けいたします。
>>世の中の問題を解決するより自分や大切な人間を守ることが大切という暗示だと思う。死んじゃったらどんなに偉い人間だって何も残らない。それよりどんなに醜くても生きていることが尊いんだ。
と書かれていましたが…この世の中、自分たちより偉い人間が作ったもので成り立ってます。簡単に言うと、あなたが感想を書き込んだこのWEBのシステム、これは私たちよりとても偉い誰かが知恵を振り絞って作ったものです。座ってる椅子、握ってるハシみたいなものから、ネット、スマホ、電車、飛行機、あらゆるもの全て、そうです。
ただ生きてるだけではなく、なにかを残す生き方をされてる人がたくさんいるから、世界は成り立っているんです。
目に見えるものだけではありません。
法律やシステムなんかも全てそうです。
誰かの知恵や努力の結晶なんです。
なので、その考えは違うと私は思います。
若い時分はただまっすぐ、ひたすらまっすぐ生きる時代もあると思います。
でも、たくさんのものへの感謝って大切だと思います。
その観点から私はこの映画にはあまりいい印象は持ってませんが(穂高やヒナには、周りへの感謝がありません)あなたが感じた感動は素晴らしいものですし、それはそれでいいと思います。
ただその1点だけ気になったのでコメントさせていただきました。
ひたむきさの中にも、感謝を忘れないでいただきたいな、と思います。