「感心はしたが感動はない」天気の子 Black Seaさんの映画レビュー(感想・評価)
感心はしたが感動はない
普段アニメを観る事はないが「君の名は」がとても良い作品だったので、今回もあのような感動を得られたら、と期待して観に行ったが、結論としては、わざわざ40代の大人が観に行くような映画では無かったかな、というのが感想。
確かに街の描写など制作技術の高さは随所に感じられ、その感心はあったが、ストーリーはとても感動を得られる内容ではなかったし、期待があっただけに残念度が深まってしまったように思う。
以下、自分の消化不良ポイントを書き上げる。
・船の甲板やビルの合間から降り注いだ、水の膜のようなものは?→説明なく描写の必要性分からず。水の魚?入道雲には違う生態系がある?それらの疑問はモヤモヤと最後まで残った。
・母親の病室から見えた、光差す場所を辿って行ったら廃墟ビル屋上に祠を見つける
→地上から見上げて場所が分かるはずなく、廃墟を上がってまで祠を訪れた動機に欠ける。そもそもビルの上の祠にはさほど歴史もなさそうだが、多くの設定に浅さを感じる。
・母親ともう一度青空の下を歩きたいと願って鳥居を潜ったら、天気を操れる力が備わった→少女が大きな力を宿したきっかけとして、あまりに導入が弱い。
・母を亡くした女子中学生が、小学生の弟と自分のアパート暮らしをマックのバイトで両立してきました、仕事がクビになったので男達と援助交際をしようとしていました。施設は嫌だから福祉の手からは逃げます。という設定は若年層なら共感できるのかもしれないが…
・16歳で家出した少年の動機の弱さ。雲の蔭間を追いかけたけど光に追いつけなくて?顛末では島に戻り何事もなく高校生活を終えた模様。そこまで東京で自立したかった強い理由は何だったのか。
少年少女の思考や行動に対する動機やリアリティが薄く、ストーリーが全体的にご都合主義すぎる。
・広い空から指輪が彼の前にポチョンと落ちてきた?→ベタすぎるアニメ的展開に、そろそろ時計が気になりはじめた。
・廃墟ビルで拳銃を撃ち放った少年を取り押さえた警察官に対し、「そいつに触るんじゃねぇ」と須賀逆ギレの無理矢理感に加え、一人で児童保護施設から抜け出し、来た事もない廃墟に辿り着き、ベテラン刑事をタックルして押し倒す小学生…さすがにご都合主義がすぎませんか?
と、書けばキリがなく、疲れてきたのでこの辺で辞めますが、とにかく考えれば考える程、モヤっとした謎や矛盾が浮かんでしまう映画で、この監督の映画に足を運ぶのはもう遠慮しておこうと思った一本でした。