「まあまあ良かった」天気の子 ユウさんの映画レビュー(感想・評価)
まあまあ良かった
新海監督であり、やっぱり映像がとても綺麗。
晴れの時の空の青さや太陽の熱、そして大雨の時の道路や傘に当たる大量の水、重く煙る街など、「天気」をとても感じられる。
帆高が東京で居場所もなく彷徨っていたことや、陽奈が学校に行かず18歳と偽ってバイトをしていたこと、警察や児童相談所の職員から逃げる3人、などの描写から「君の名は。」とはまた異なった、大人や学校などの庇護下から外された10代が社会のしがらみで生きることの難しさを感じた。
陽菜が次々と雨を晴れに変え、それでみんなが笑顔になっていくシーンがとても良かった。
こんなことを思うのはおかしいと自分でも思うが、正直、陽菜が依頼者のために次々と雨を晴れにしていくシーンが一番好きだ。
私も もちろん、朝起きて雨が降っているとちょっぴり憂鬱になる。毎朝必ずスマホで天気を確認してから着る服を決める。そんな、日常と決して切り離せない天気というものを、美しい映像によって実感させられた。
この世界よりも陽菜が大切だ、ということをはっきりと言うシーンでは、帆高のシンプルで強い意志を感じた。陽菜は帆高にそう言ってもらえて、とても嬉しかったと思う。
陽菜は望んで天気の巫女になったわけではない。そのため、この選択は責められるべきものではないだろう。ただ、この水没により死者が出ているとすれば、2人はそれを背負ってしまうのか、「元の世界に戻っただけ、思い上がるな」などの励ましを受けて、背負わずに生きて行けるのか、それは分からないが、この重みのあるラストは良いと思った。
ただ、私個人としては帆高と陽奈にイマイチ感情移入ができなかった。
2人の過去や背景については敢えて深く描いていないのだと思う。それは分かるが、私はそのせいで2人の人物像を薄く感じた。感動のシーンも客観的に観てしまい 感動できなかった。新海監督のオリジナリティはもちろんしっかりあるのだが、なんとなくどこかで見たようなシーンやヒロインの言動のせいもあるかもしれない。かなり細かいことだが、いきなり拳銃をぶっ放した相手には、まず「この人怖い、犯罪、なんで拳銃を持っているの?」などの思いが浮かぶが、「最低!気持ち悪い!」という言葉がまず最初に出てくることに少し違和感。主人公に最低!などの言葉を放つヒロインは非常に多く魅力的であるため、この言葉を使ったようにも思える。そして次の瞬間には「痛かった?」と優しくなったりと、何を考えているのか分からずどんどん感情移入ができなくなる。セリフと行動が全体的に薄い。陽菜のノースリーブパーカーはとても可愛いし見た目は好き。ストーリーは重いようで、全体的に若者に向けのライトな感じだった。
言の葉の庭では雪野先生にめっちゃ感情移入して泣いたので私が自分と重ねられなかっただけかも。
私と同い年で同じ女性の友達は号泣していたので年代や性別よりも感性の問題だと感じた。
期待しすぎてたかもしれないが、やはり映画を観て、新海監督は才能があると思った。
でも私にはあまり合わなかった。今後もこういう方向なのかな…