「スケールダウンした『君の名は。』」天気の子 頼さんの映画レビュー(感想・評価)
スケールダウンした『君の名は。』
「『君の名は。』が好きだった人達の評価はイマイチ……」
そんな事前情報のみで観に行きましたが、確かに話は薄っぺらく地味でした。
しかし、私は「いつもの新海誠じゃん、特に『君の名は。』と内容ほぼ一緒じゃん」と思いました。
私は『君の名は。』もそんなに好きではないのですが、今回の天気の子は「思っきりスケールダウンした『君の名は。』」という感想です。
スケールダウンしたと感じたのは舞台がほぼ「新宿」のみであったこと。どうしてこんな規模の小さい話にしたのだろう?お金あるのになぜド派手な世界観の話にしなかったのだろうか……と感じました。
新宿(御苑)といえば『言の葉の庭』ですが、こちらは少し大人の話ですし、作品自体がコンパクトであったので新宿という舞台が活かされたお話でした。
しかし今回の主人公達はかわいいタッチの少年少女。舞台の新宿とはミスマッチであり、新宿の町の描き方も汚すぎることもなく、華やかすぎることもなく中途半端に感じました。
つまり、多くのスポンサー様の商品を出現させるため『君の名は。』の舞台を新宿に移したとしか私には思えませんでした。
私は作中で現実にある商品が出てくると、いまいち作品の世界にトリップできません。現実逃避がしたくて映画を観にきています。
また話の展開がとても地味だったので、どうせ新宿を舞台にするのであれば、
「晴れ女」がマスコミに取り上げられて荒稼ぎする3人、東京で大成功するもネットで「カルト」と大炎上、袋叩きにあいメンタル病む陽菜、晴れ女ビジネスを辞めたいが彼氏の帆高が金をせびりにくるので仕方なくバーニラバニラで求人を探し、それを見かねた凪が手切れ金を稼ぐためホストクラブへ入店……
というような新宿らしい展開があっても良かったのではないでしょうか。
あとは、そもそも帆高の家族についてほとんど描かれないので、終始「薄っぺらいキャラだなぁ、早く家に帰れよ。」と大人目線でしか見ることができませんでした。また、終始拳銃を持ち歩き、人に向けまくり、最終的に周りの人間を犯罪に巻き込みまくるので非常にイラつきます。
一見悪役かのように描かれる警察も、非行少年帆高に巻き込まれた被害者ですよね。
また、警察署からいとも簡単にすり抜け脱出する帆高。原付を全く止めようともせず帆高を乗せる夏美のシーンは笑いました。
そしてラストまで見た私の感想は「それで……??」という一言につきます。
最後に、声優関しては、もはやメインどころを声優でない芸能人が演じることを避けられない現実が悲しいばかりです。アニメ映画は「字幕で見る」という選択肢がありません。
本田翼さんは下手でしたが、あの適当なしゃべり方が意外にも活きていました。しかし下手だなぁ…、と気にはなります。
須賀の方は、格好つけて喋る小栗旬さんの顔が浮かんできてあまり集中できませんでした。