「君の名は。にはあった、“あるもの”が無かった。」天気の子 夜間飛行さんの映画レビュー(感想・評価)
君の名は。にはあった、“あるもの”が無かった。
作画は綺麗、声優も良し。
けれど、脚本が微妙……。
結局アレって何だったの?っていう状態で終わってしまったため、秒速五センチメートルのとは違う、嫌なモヤモヤ感が残ってしまう。
それは自分で考えろ。と言われてしまえば、それまでだけれど……。
君の名は。のような清涼感を期待して行くと不満があるかもしれない。
それから感情移入が全く出来ないのが致命的だった。
例えば家出。
息も詰まるような家庭風景を描いていれば、家出した帆高に同情して応援出来たかもしれない。
しかし実際はただひたすらに「帰りたくない」と言ってるだけなので、「いやもうお前一旦帰れよ……」となってしまう。
とにかく感情移入出来なかったため、最後に東京を犠牲にしたシーンにおいても、「帆高と陽菜が結ばれて良かった!」とはならなかった。
ただただ「これからどげんすると……?」という不安ばかりが残る。
そもそも陽菜にたくさん祈りをさせた理由が金稼ぎだから、尚のこと感情移入出来ない。
そして1番残念だったのが、 “タイムリミットの不在” かな。
君の名は。には “彗星落下” という滅びへのタイムリミットが存在した。
けれど、今回に関してはタイムリミットがまるでない。
ただ警察の正当な抑止を振り払い、空の上へは鳥居をくぐるだけで容易く移動でき、空の上に普通に横たわっている陽菜と再会して落ちていくだけ。
ミッションインポッシブルはタイムリミットがあるから面白い。
別に爆弾解除すんのいつでもいいぞ。では面白くはない。と思う。
だから陽菜を取り戻した後で、雨の塊?(船の甲板や路地裏に落ちたもの)が時間と共に少しずつ東京の空へと溜まっていき、東京の空を覆うほどに膨らんで、落ちてきたら東京が水没する!あの水溜まりをどうにかしなきゃ!みたいな展開にしていた方が、もっとスッキリエンドへ繋がったのではないかと思う。
新海さんは望んでないんだろうけれど。
そういうわけで、タイムリミットがあった方が個人的には好きでした。
あとは小エロネタ挟む時間あるなら感情移入させるための深堀をしてほしかった。
それからしれっと東京水没してて怖かった。
君の名は。は鑑賞後すぐにでも観たくなったけれど、今回はそうはならなかった。
また気が向いたら観に行こうと思う。