「作品の持つメッセージ性には最初から期待はせず見た。」天気の子 ゆきみ大福さんの映画レビュー(感想・評価)
作品の持つメッセージ性には最初から期待はせず見た。
コミカル、恋愛、社会への問題提起、アクション、これらが2時間という枠に収まりきらなかったように感じられました。
映画は映像美だけでなく、そのものが訴えるメッセージ性も重要だですが、
ただ、今回は上記の理由でメッセージ性がまるで、まるで相手に小声で、自分の耳に届かなかった時のように感じられてしまって、残念でした。
あくまで個人的な意見としては、メッセージ性は薄くても、ヒロインとの恋愛、須賀の親子愛、須賀と穂高の人間愛などを美しい映像美とともに描きあげていただくのでもよかったのかもと思いました。
新海監督の映像美は、良くも悪くも、描く対象そのものの持つ印象を拡大させる気がします。ですので、最初のシーンの東京での風俗店などのネガティブな描写は、新海監督の映像美をもって表現されると、いささかいきすぎのように感じられ、個人的にですが、受け付け難いものがありました。
バックボーンの描写の薄さがそれに拍車をかけた部分もあり、感情移入は厳しかったです。
あくまで個人的な意見としてですが、メッセージ性は薄くてもいいから、ヒロインとの恋愛、須賀の親子愛などを美しい映像美とともに描きあげてもらうだけでも自分は満足でした。
今までに比べて先行が不透明になりつつある現代においては、もはや良心の拠り所としての意義だけあれば、個人的には、すくなくともチケット代の価値が十分あったと思います。
ただ、それが映画の収入を支えるまでの多数の嗜好になりえるかどうかは別の話なのは承知ですが;;
奥深いメッセージ性も両立させた新海作品は、20年に一度でもいい。個人的にはそう思います。たまには、ただ楽しむだけの今回の天気の子のような作品があってもいい。
それは雨粒の中のような今の時代にあって、天気の子は雨雲からときおり差す日の光のように感じられ、それは疲れた人にとっては、夏の強い日差しにも匹敵する価値がある。そして、それは冒頭で神社に射した日の光に魅せられた陽菜も、もしかしたらにそんな風に感じてたので、外に駆け出していったのかもしれませんね。