「共同体の利益と個人の命」天気の子 ^_^さんの映画レビュー(感想・評価)
共同体の利益と個人の命
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とても面白い作品だった。
ネタバレになるが、天気の巫女の説明のシーンで800年前(500年だったか?)の天井絵が出てきて、人柱の秘密が明かされる。
ここでは、深く説明されないが、その時代は米の出来が命に関わることだった。
つまり、巫女といわれるような人は、儀式と称して生贄にされた。
これに本人やその家系の人々が反対すれば村八分や、追放になった。
共同体でいるための少数の犠牲。
この作品は、天気の重要性を現代に蘇らせる事で、それを問いかけているのだと思った。
雨が三年も降って都市が沈むというのは、農業と離れ、長雨に危機感を持たなくなった現代人に向けた設定であり、実際には起こりえないことの例えでもあると考えられる。
結末も賛否あるけれど
これは、普段の生活で、東京が沈むという問題よりもっと小さな事で、人を犠牲にしているのではないか?そんな事でいいのか?というメッセージだと感じた。
色々なレビューで主人公の身勝手さを指摘する向きがあるけれど、女の子は晴れにする力を持っただけで、雨の原因ではないのだから犠牲を強いるのはおかしいと感じた。
また、拳銃の必要性についても共同体(社会)の規律に従わせようとしても、そこから抜け出て
個人を守ろうとしても、実際の実力や暴力で行うことしか出来ず、そこにお互いの「守るため」の行いとの矛盾を表現していると思う。
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