「鑑賞には想像力が必要。」天気の子 こたつたこさんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞には想像力が必要。
一番の感想はやはり映像美!
風景や自然の描写はアニメーションの表現としては最高峰だと思う。
音楽は前作に引き続きRADWIMPS。最後の最後、ラストシーンでは持っていかれましたね。劇中の音楽もとても良いです。
主役2人の声優さんは良かった。若手の俳優さんのようだけど違和感はなく、ピュアな演技で胸キュンでした。
商業ベースに乗せるにはスポンサーも不可欠・・なのは分かるけども、これでもかのCMでちょっと胸焼け。ただ、想像の世界ではなくて現実の東京の設定なので、ある意味リアリティには貢献しているのかも。
ここまでは分かりやすいものの感想。
さて、内容についてというとストーリー、登場人物共に描写がが少なくて分かりづらいというのが正直なところ。話の展開に根拠が薄く、感情移入はしにくい。
前作、「君の名は。」のような分かりやすいストーリー、見事な伏線回収とそこに至るまでの爽快感。それを求めて鑑賞するとつまらなく感じるかもしれません。
ただ、全てを説明するのが良いかというとそうは思いません。足りないピースは観客に委ねられているのだと思います。
それを手抜きという方もいらっしゃるようですが、感じ方は人それぞれ。少なくとも想像力をフル回転してあれこれと考察して鑑賞するのが楽しいです。
すでに色々な方が考察されていますが、登場人物の須賀をどう見るかで感じ方はだいぶ変わってきます。
監督の本当のところの意図は分かりませんが、「須賀の亡くなった妻も天気の子だったのでは?」という設定を(想像ですが)加えるだけで、物語はぐっと深みを帯びます。
クローズアップされる須賀の2つの指輪、雨で体調を崩す娘、陽菜が消えたことを知り突然流した涙、帆高より鳥居のある廃ビルに先回りしていた事。全てに納得ができます(私は不思議に感じていたけど初見では分からなかった。)
実際には分からないけど、色んな事を感じて、結末を含め賛否両論、話をするのが楽しいのだと思います。
帆高がなぜ家出をしたのか、陽菜が年齢を偽りなぜ弟と2人で暮らしていたかなど、上記の須賀についてのように、考えるヒントは散りばめられていたように思いますし、明確な答えはないけどそれで良いのだと思います。
劇中で答え合わせができる作品だと、それはそれで分かりやすく万人受けかも知れませんが、想像力を働かせる余地がない作品はつまらないように感じます(嫌いというわけではなく、むしろ腑に落ちてスッキリ見られますが)
答えが知りたいもどかしさと、結論づけて欲しくない自分とがいます。
とりあえず、すぐ2度目を見直したいと思ったのは「君の名は。」より上!全体的に素晴らしい映画でした。次回作も楽しみです。
駄文長文失礼いたしました。