「完成度の高さが際立つ」天気の子 事務屋さんの映画レビュー(感想・評価)
完成度の高さが際立つ
君の名は。で受けた批判
「主人公とヒロインが恋する過程が分からない」
「ミュージックビデオみたい」
「運命を都合よく弄るな」
....等々に応えたのが「天気の子」なんでしょう
代償として、前半部は前作と比べて少しテンポは落ちてます。これは主人公とヒロイン、あと脇役の描写を丁寧にやったせいですね
私的には全然有りと思いました。
本作のテーマは「天気の子」というタイトルに反して、天気を操る神様(龍神)と対決するシーンはほとんどありません。
強いて言えば、人柱にされたヒロインを主人公が強引に神様の元から連れ戻したところぐらいです。
それよりしっかりと描かれていたのは、社会のルール(大人)と、その枠からはみ出してしまった子供の価値観の対決です。
拳銃については、子供が大人に抗うもどうしようもなくなった時に飛び出すリーサルウエポン、いわばロトの剣ですね(^^;
この拳銃を某所で見つけてしまった主人公は「お守りとしてそのまま保持」してしまい、それを年下のヒロインに非難されたにもかかわらず2度発砲
その行為の持つ重さを理解していないほど社会的に未成熟、かつ純粋な心の持ち主です。
そして、主人公と同じくかつて枠からはみ出していたけど、今ではルールに従って生きざるを得ない須賀さん
クライマックスで主人公に立ち塞がる最後の壁となるも、最終的には潜在的に同情していたために主人公の手助けをしてしまう。
こういうところに私のような年代は共感してしまうんですね。
そういう意味では、影の主人公は須賀さんでしょう。
ラストについては、
大人の処世術(世界なんて元々狂っていた)に慰められ、自分を納得させようとした主人公が、能力を失ったにもかかわらず晴れるように、もしくは沈めてしまった街への贖罪のために必死で祈るヒロインを見て、自分たちのやったことを再確認
しかしその不都合から目を背けることなく、狂った世界で2人で生きていく....
こういう解釈でよいでしょうか?
前作のプレッシャーに負けず、作りたいように作り、しかも完成度を上げてきたことに敬意を表し、★5つとしました